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2020.08.04

暑がりと寒がりどちらに合わせる?パジャマと寝具で考える夏夜対策

kencom公式ライター:春川ゆかり

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夏の熱い夜にエアコンをつけっぱなしで寝ているご家庭も多いですが、いつのまにか寝具をはいでしまい、身体が冷えて体調不良を起こすことも。
逆に、冷えすぎないように冷房のタイマーを設定すると、切れた後に室温が上がって目が覚め、寝ても疲れが取れないというケースも多々あります。

エアコンを適度に活用しつつ睡眠を阻害しないためにはどうしたらいいのでしょうか。夏の寝具や寝巻の選び方について快眠セラピストの三橋美穂さんにお話を伺いました。

熱帯夜を快適に過ごすには?

夏の夜の寝苦しさから解放されるには、睡眠環境を6つの要素で考えることが重要です。人が心地よいと感じやすい基本の環境からチェックしてみましょう。

・温度:エアコンの温度設定は28℃以下に。寝床内(寝具をかぶった内側)が33℃前後が理想
・湿度:40~60%。寝具内は50%(±5%)が理想
・気流:秒速0.5m(微風)以下
・寝具:熱がこもりにくく通気性の良いもの
・着衣量:暑がりな方は半そで+ハーフパンツ、寒がりな方は長袖+長ズボンなど個々に調整
・体質:同じ室温でも、筋肉量が多い人や体温の高い子どもは暑く感じがち。筋肉量が少ない人や冷え性の女性は寒く感じるので着衣量で調整

特にエアコンの温度と湿度を適温に保つのがポイント。エアコンに湿度調節機能がない場合、温度を下げることで湿度も同時に下がるため、神経質にならなくてOK。気流がないほうが好みという人は、微風モードがおすすめです。

基本の気温と湿度、気流を整えて、かつ自分が「心地よい」と感じられる睡眠環境を探してみましょう。

寝巻・寝具にこだわってぐっすり眠ろう

エアコンを使っているけれどなかなか寝付けない、家族と体感温度が違って寒すぎる/暑すぎるという方は、寝具や寝巻を変えてみるのも手です。

パジャマ・寝巻の選び方

皆さんは、いつもどんなパジャマで寝ていますか?

着古したスウェットやTシャツという方も多いですが、よりよい快眠のためにはパジャマもこだわってみては。通気性のよい素材を選ぶことで寝やすくなるだけでなく、部屋着からパジャマに「着替える」という行為を通じて、自然と身体が睡眠モードに切り替わります。

パジャマは肌触りが重要!サッカー生地やガーゼがおすすめ

パジャマの形状やデザイン、素材はさまざまですが、一番は「肌触り」と「圧迫感のなさ」で選ぶのがおすすめです。

素材は通気性・吸湿性が高い「綿・コットン」や、肌触りの良い「シルク」「麻」がおすすめです。実際、多くのパジャマが綿でできていて、手ごろな価格で手に入るのも嬉しいポイント。
生地はガーゼや、凹凸があり通気性の良いサッカー生地などが夏のパジャマに向いています。一方、スウェットやタオル生地を使ったものもありますが、厚手でゴワゴワした着心地になりやすい上に、保温性が高く熱を放出しづらいため、一般的には夏のパジャマには向きません(寒がりの方が低めの室温で寝る場合は〇)。

またパジャマに限らず、下着も圧迫感や締め付け感があるものは厳禁。締め付けがあると血行が阻害され、深部体温の低下も妨げられてしまいます。

男女・子どもで選ぶべきパジャマは?

性別で素材の使い分けは特に必要ありませんが、汗をかきやすく大人に比べて体温調節機能が未熟な子どもには、ガーゼやサッカー生地のパジャマを選んであげると良いでしょう。

また、年齢性別に限らず、薄着すぎる格好での睡眠はおすすめしません。冷気に直接肌が触れることで身体が冷えやすく、体調不良につながってしまいます。きちんと衣服は身につけて、適正温度でエアコンはつけておきましょう。

枕や布団など、寝具の選び方

冬用の寝具はこだわるけれど、夏用は薄手のタオルケットなどで済ませてしまいがち。
しかし、季節に合わせた寝具に変えることで寝苦しさが改善されるだけでなく、エアコンの冷風による体調不良も防いでくれます。

枕は通気性が良い粒状がおすすめ

暑さによる寝苦しさは、脳などの深部温度が下がりにくいことが原因。そのため、脳に近い枕を通気性の良いものに変えることで体温が放出され快眠に近づきます。

夏場におすすめの素材は「そばがら」。低反発クッションやわたとは異なり硬さのある枕ですが、通気性がよく頭や首回りの熱が熱がこもりません。ただし、そばアレルギーのある人は使用を控えましょう。
他にも、プラスチックビーズやパイプなど粒状の素材が入った枕も良いでしょう。

暑さが気になる方は、冷感シートを使って頭やおでこを冷やしたり、ジェルタイプの冷感枕を使ってみるのもおすすめです。

掛け布団でグッと快眠!お気に入りを見つけよう

掛け布団を使わない方もいるかもしれませんが、冷風が直接当たったり身体が冷えすぎないように薄手の布団があるほうがベター。

掛け布団は薄手のタオルケットやガーゼケットなどでもOK。ふんわりとした軽さで身体に圧がかかりにくく眠りにつきやすいメリットがあります。触れたときに冷たさを感じる「接触冷感」を用いたアイテムなら、暑がりな方でも快適に使えます。
同様に、敷きパッドも夏用に通気性の良い素材や接触冷感素材を使うと、寝苦しさが軽減されます。

暑がりと寒がり、どちらに合わせる?

家族で寝室が同じ場合、同じ室温でも暑がりと寒がりで感じ方に差があります。

この場合、室温は「暑がり」の人に合わせるほうが良いでしょう。寒さは着衣量や掛寝具の厚みで調節できますが、暑さを感じたままでいると寝苦しさや夜間の熱中症の危険につながりやすいためです。

冷え性の方は、長袖のパジャマに肌着や腹巻、レッグウォーマーなどを着込みましょう。肌に密着するものを身に着けることで、身体の周りがしっかりと保温され、温度変化から身を守ることができます。薄着で寝ていた時よりも熟睡できると感じるでしょう。

夏の寝室を大改革!快眠で疲れを吹き飛ばそう

「寝苦しくて冷房をつけたのに、冷えて風邪を引いてしまった」「寒くて起きてしまった」「寝ても疲れが取れにくい」という方は、エアコンの使い方を間違っていたり寝具や寝巻の選び方が原因かもしれません。

夏場は薄着だからこそつい家にあるもので済ませてしまいがちですが、寝巻や寝具をきちんと身につけ、エアコンを適切な温度で使用することで快眠に繋がります。
夏の眠りを見直して、夏の暑さに負けない日々を過ごしましょう。

三橋 美穂(みはし・みほ)

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快眠セラピスト/睡眠環境プランナー。全国での講演や執筆活動のほか、睡眠関連企業のコンサルティング、ホテルや旅館の客室コーディネート、快眠グッズなどを多数プロデュース。著書に『眠トレ!ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習』(三笠書房)ほか多数。豊かな眠りが世界中に満ちあふれることを願いながら、日々活動中。

著者プロフィール

■春川ゆかり(はるかわ・ゆかり)

フリーライター・編集者。大手IT企業にてウェブメディアの広告やマーケティング業に携わる。その後フリーランスのライターとして独立し、住まい・子育て・ヘルスケアなどのジャンルで執筆。

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