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2020.07.09

育児アドバイザーに聞く、みんなの子育て相談室 第35回 宿題をさせる「叱る」「黙認」ではない第3の方法とは?

マイナビニュース

「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。

ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

子どもに宿題をさせる第3の方法とは?

参照元:https://news.mynavi.jp/article/kosodateqanda-35/

子どもに宿題をさせる第3の方法とは?

小学生の子どもを持つ親に「子どもに望むこと」を聞くと、「自分から宿題をやる子になって欲しい」「自分から片付けをして欲しい」など、親が言わなくても自分からできる子になって欲しいという答えが圧倒的に多いです。

しかし、実際はなかなか難しく、「あれだけ毎日宿題しようね、と優しく言ってもちっともやらずに、最後には『何度言ったらわかるの! 宿題しなさい!!』と怒ってしまった」という声はよく聞きます。

そこで今回は「宿題は最初から叱ってやらせた方がいいのか、子どもが痛い目にあうまで放っておくべきなのか、どうしたらいいのでしょうか」というご相談に、親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。

子どもに宿題をさせる第3の選択肢

今回のようなご相談はとても多く、日々お母さんお父さんを悩ませています。そして、子どもに宿題をさせたい親は、「叱ってやらせる」か「許して放っておく(黙認)」か、の2択の手段を取りがちです。

しかし、この2つでは子どもはなかなか自分で考えてやるようには育ちません。なぜなら、どちらも親が考えて決めているからです。

親は、「そろそろ始めないと間に合わないのでは?」とか、「宿題をしなかったら明日の授業が理解できないのでは?」と心配になって言うのですが、人から言われてすぐにできるようになるのは大人でも難しいこと。そう思うと、子どもにいくら言ってもやらない、というのはある意味仕方ないことだと思うのではないでしょうか。

では逆に、放っておかれたらやるようになるのかというと、そうではありませんし、放っておくと、明日の宿題には間に合わないかもしれません。

そこで、もう1つの選択肢「聴く」の登場です。この「聴く」は、「答えありきの問い」ではありません。子どもが自分の考えを整理し、必要な答えを出せるようにするための会話を前提としたものです。

つまり、「答えありきの問い」というのは、「なぜ宿題をしないの?」「宿題は忘れてもいいの?」「いま宿題を始めないと、寝るのは何時になると思う?」「今日はちゃんと宿題やるって言ったよね?」など、「今すぐ宿題やるよ」という正解を子どもに言わせるための問いかけですね。その時の子どもが考えることは「お母さんに叱られない返事は何かな?」であり、自分で宿題をする意欲や意味を考えるチャンスを奪ってしまいます。

そのため、子どもが自ら考えを整理できるような聴き方(会話)が親には求められるのです。

親は「聴く」ために会話をする

では、どのように親は聴けばいのか、具体的な場面で考えてみましょう。子どもが宿題をせずにゲームをしているとき、どう「聴く」といいのでしょうか。

まずは、子どもの世界に親も少し入れてもらうところからです。
×「宿題いつやるの?」(最初の問いかけでは効き目が薄いです)
◯「ゲームしてるのね」(現状をことばにします)

親「ゲームしてるのね」
子「……」
親「……(一緒に隣にいる)」子どもが何も言わなければ邪魔せずに。
子「なに?」
親「すごい集中力だなと思って」感想の中で肯定的なことを言う。
子「……」
親「……(一緒に隣にいる)」
親「うまいね!」「難しそう!」など一緒に見ていて感じたことを言う。
子「こんなの簡単だよ」
親「簡単なんだ」(言葉を繰り返す)
子「ほらね!」
親「すごいね! このゲーム面白いんだね。見てたいけどママは夕食作るね」
子「……? 今日は、宿題しろって言わないの?」
親「宿題あるんだ?」
子「あるよ」
親「あるんだね」
子「これクリアしたら、やるから」
親「お! それクリアしたら、やるんだ!」

1回でこんなにうまくいかないと思いますが、まずは子どもの世界に興味を持ち、理解するところから始めましょう。子どもはいつもと違う親の反応をよく見ています。

自分のこと(ゲームをしている自分)を認めてくれたと感じると、本来すべきことにまで考えが及ぶようになります。そして、親と会話をしながら、自分がすべきことを整理するようになっていくのです。

「聴く」とは相手の世界に入らせてもらうこと

先日も、あるお母さんが受験を控えるお子さんがゲームばっかりでどうしたらいいのかと泣きながらご相談にいらっしゃいました。

「受験をやめてゲーマーになる」と言い出したそうで、お父さんも加わって日々大げんかになるとのこと。そのお母さんは私といろいろ話をした結果、「では、私も息子と一緒にゲームしてみます」と帰っていきました。

それから2カ月後、とびきりの笑顔で「息子との関係が劇的に変わって、一緒に遊園地にも行けるようになりました。今は受験に向けて息子も頑張っています」との報告がありました。

聞けば、息子さんはそんなにゲームが好きだったわけではかったそう。お母さんが息子さんのゲームに興味を持ち、できないながらも一緒に楽しもうとした姿を見て、息子さんも少しずつ心を開き、本音を出してくれるようになったそうです。

皆さんも親の考えをわからせようとする前に、お子さんの世界に興味を持ち、一緒に考えを育み、整理していくための、「聴く」を実践するように心がけましょう。

執筆者プロフィール :天野 ひかり

・親子コミュニケーションアドバイザー
・NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事

上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。
NHK「すくすく子育て」キャスターとしての経験を生かし、全国の親子に寄り添いながら、講演会や講座、シンポジウム、企業セミナー講師などを実施。
自身が立ち上げたNPO法人でも、子どもの自己肯定感を育てる親子のコミュニケーションを学ぶ教室「ことばでおやこみゅ教室」を主宰する。

■公式HP:h I k a r i a m a n o
■著書
・Amazon子育てランキング1位のロングセラー
「子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ」サンクチュアリ出版
・最新刊
「賢い子を育てる夫婦の会話」あさ出版 ほか。

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