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2020.08.04

今日から快眠!熱帯夜でも快眠を誘う、エアコンのかしこい使い方

kencom公式ライター:春川ゆかり

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本格的な暑さを感じる季節になってきました。また今年も、蒸し蒸しと寝苦しい夜や熱帯夜となる日も少なくなさそうです。

疲れや体力を回復させるのに欠かせない睡眠。夏場の寝苦しさにもはや睡眠時にエアコンは欠かせなくなってきましたが、冷えすぎたり、家族との体感温度が合わず苦労している方もいるのでは。
今回は、熱帯夜でも快眠できるエアコンの活用法について、快眠セラピストの三橋美穂さんにお話を伺いました。

三橋美穂 (みはし・みほ)

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快眠セラピスト/睡眠環境プランナー。全国での講演や執筆活動のほか、睡眠関連企業のコンサルティング、ホテルや旅館の客室コーディネート、快眠グッズのプロデュースなどをしています。著書に『眠トレ!ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習』(三笠書房)ほか多数。豊かな眠りが世界中に満ちあふれることを願いながら、日々活動中。

夏の寝苦しさの原因

夏の寝苦しさは、寝室の温度や湿度が高く、深部体温(脳・内臓などの身体内部の体温)が下がりにくいことで生じています。

人間の身体は暑さを感じると身体の表面から汗として体温を逃しますが、夏場のように温度や湿度が高いとうまく発汗が促されません。その結果、熟睡に必要な体温低下が妨げられてしまうのです。さらに身体に熱がこもることで眠りが浅くなり、途中で目覚めてしまったり、翌日に疲れを持ち越してしまうのです。

夏の寝室は「温度・湿度・気流」を整えよう

夜でも25℃を超える熱帯夜が当たり前の日本で、エアコンはもはや必要不可欠。高気密住宅の室内は外気温より高くなることが多いので、エアコンを使うことで、眠りにつきやすくなることはもちろん、夜間の熱中症を防ぎます。
しかし、エアコンを使うことで身体が冷え過ぎたり体調不良が起こしてしまったり、うまく活用できていない方も多いようです。

実は三橋先生も昔はエアコンに苦手意識を感じていた一人だったそう。「エアコンは身体に悪い」と一括りにするのではなく、温度・湿度・気流を意識して快眠の救世主になってもらいましょう。

エアコンの基本設定はこれでOK!

朝までぐっすり眠るには、寝室の温度と湿度を整えることが重要。加えて、微風があると涼しく感じるのでエアコンやサーキュレーターの気流を使って体感温度の調整をするのも良いでしょう。

まずは以下の状態に近づくようエアコンを設定してみましょう。

・温度:28℃以下(26~28℃が目安)
・湿度:40~60%
・気流:風速0.5m(微風)以下
・タイマー設定:なし

除湿機能が備わっていない場合は除湿機を使ってもよいですが、冷房で温度が下がることで自然と湿度も下がるためあまり厳密に考えなくてもOK。タイマーは設定しない方が朝目覚めるまで快適な温度を保て、途中で目が覚める心配もありません。
気流は直接身体に当てないようにします。風を壁に当てると、部屋の空気全体がゆるやかに動き、身体にも直接当たらないので冷え過ぎを防ぎます。

なお、快適な環境の感じ方は個人差があるため、少しずつ調整しながら心地よく過ごせる設定を探してみましょう。

我慢は危険!熱帯夜のNG行為

実は室温が28℃を超えると熱中症リスクが高まります。暑さを感じているものの、「冷え過ぎは身体に悪い」と我慢してエアコンをつけずに就寝される方がいます。
睡眠中の熱中症は自覚がないまま進んでいくため、寝苦しさで起きたときには自力で動けないほど重度になっていることもありえます。

また、夜中にトイレに行きたくなるからと水分を取らずに寝ることもNG。季節を問わず睡眠時にも発汗するため、コップ1杯の水分をとって眠ることで脱水を防げます。快眠には白湯や冷たすぎない麦茶、ノンカフェイン飲料、ハーブティがおすすめです。

エアコンが苦手な場合は、着衣量で調整を

エアコンが苦手な方は、エアコンを極力使わず薄着で暑さを乗り切りたくなるかもしれませんが、それだけでは深部体温は下がらず、室温が28℃以上になると熱中症の危険も。
また、家族との快適温度が合わず、エアコンで寒い思いをしている方もいるでしょう。

冷えを感じることなく眠りにつくには、エアコンはONにしたまま「しっかりと着込む」のがポイント。エアコンをつけるのに服を着るなんてもったいないと思うかもしれませんが、身体に冷風が直接触れないことで冷えを感じづらくなります。
着衣はパジャマの下にもう一枚肌着を身につけたり、長袖やアームウォーマー・レッグウォーマーなど身体に密着して暖かいものが◎。パジャマはニット素材が肌触りが良く保湿性もありおすすめです。

暑がりさんは、ひんやりアイテムの活用も

暑がりな方や、熱帯夜で身体のほてりが冷めない時は、頭(耳から上)やおでこを冷やすと体温が下がり寝つきやすくなります。濡れタオルや冷感枕でも効果を感じられるでしょう。

ただし、首や肩など筋肉が大きく収縮するような部位は冷やさないこと。また、冷たさを感じやすい脇や太ももの付け根を冷やしても構いませんが、5~10分程度と短く区切り「冷やしすぎない」ことも快眠の秘訣です。

生活習慣改善でより快適に

寝室内の環境を整えることが快眠の要ですが、日々の生活習慣の見直しでも快眠が期待できるそう。

ここでポイントとなるのは「体温のメリハリ」です。

【入浴】短時間でも湯船につかる

人間は体温が急激に下がることで眠気が増し、熟睡感が得られます。そのため就寝1~2時間前にお風呂に入って体温を少し上げ、就寝時に向かって体温を下げることで、体温のメリハリをつけて眠りにつきやすくします。

夏場はシャワーで済ませる方も多いですが、ぬるめのお湯に15分ほど浸かって深部体温を上げることで身体が睡眠モードに入りやすくなります。時間がなくても、5~10分入浴すると水圧や浮力によって血行が良くなり疲れが取れやすくなります。

【食事】身体を温める食事がベター

内蔵が活発に動いていると快眠の妨げになるので、食べ過ぎない程度の量を、できるだけ早い時間(寝る3~4時間前)には済ませておくことが理想。

暑さゆえに食欲が落ちることも多いですが、食べやすいからといって、そうめんや冷やし中華など冷たい食事が続くのは考えもの。少量でもよいので温かいスープをとるなどして、身体を冷やさないようにしましょう。
また、キムチやカレーのように辛いものも夏場にはおすすめです。辛い食べ物に含まれるカプサイシンなどが体温を上昇させる働きがあるため、冷房が効いた室内でも体温のメリハリが生まれます。

エアコンと生活習慣で夏場もぐっすり眠ろう!

いい睡眠がとれると、身体も健康になり、仕事の集中力も上がって、気分もスッキリ。毎日元気に過ごせます。

快眠はもちろん、睡眠時の脱水や熱中症を防ぐためにも、まずはエアコンを使って寝室の環境を整えてみましょう。
また、冷えた室内で過ごすことも多い夏場は、生活でいかに体温を上げるかがポイント。夏場もしっかりと湯船に浸かったり、少量でも温かいものを口にできると良いですね。

著者プロフィール

■春川ゆかり(はるかわ・ゆかり)

フリーライター・編集者。大手IT企業にてウェブメディアの広告やマーケティング業に携わる。その後フリーランスのライターとして独立し、住まい・子育て・ヘルスケアなどのジャンルで執筆。

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