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2020.07.10

外出はどうする?3密プラスα?新しい生活様式の中で個人ができる対策

kencom公式ライター:松本まや

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※この記事は7月1日(水)に取材した内容に基づいています。

個人は今後どのように対策をすべきなのか、引き続き公衆衛生や感染症対策などを専門とする国際医療福祉大学医学部の和田耕治先生にお聞きしました。

コロナ禍は長期化することを踏まえ、気を緩めすぎずに必要な対策は取りつつも、前向きな気持ちと思いやりを維持することが大切と言います。具体的に、どのように過ごしていけばよいのでしょうか。

個人の新型コロナウイルス対策は3つの「基本原則」を再確認

マスクや手洗い、ソーシャルディスタンスを意識

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繰り返し言われていることですが、新型コロナウイルス感染対策の基本はやはり「飛沫感染」と「接触感染」を防ぐことです。そのために個人で最低限気をつけてほしいことは引き続き、【①話す場合にはマスクを着用すること】【②小まめに手洗いをすること】【③身体的距離を確保する】ことの3つ。他人との距離は最低1メートル、できれば2メートル確保するようにしましょう。
その上で、感染リスクの高い「3密プラスα」の環境を避ける必要があります。

避けるべき3密プラスαって?

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英語では3Cs(Closed spaces・Crowded places・Close-contact settings)と言われるようになった3つの密。「密閉」「密集」「密接」のそろう空間は、感染のリスクが上がりやすいと言われています。

3つの密はそれぞれ、必ずしも同程度のリスクがあるわけではありません。特に人が近くで会話をする「密接」がポイント。発声をする場所や運動をして呼吸が増す場所、飲酒をする場は特に感染リスクが高まるので意識的に避けてください。これら「プラスα」を3密に加えて意識しましょう。

一方で、会話をしない映画館や通勤電車などの密閉空間は、プラスαと比較するとそれほどリスクは高くありません。

ウイルスの除去は拭き掃除を基本にしよう

ニュースなどで薬剤を空間噴霧するような映像をよく目にしますが、医療機関での環境の消毒は「拭き取りが基本」です。消費者庁も先日、次亜塩素酸水を含め、消毒や除菌効果がある商品を人がいる状態で空間噴霧することや、マスクに噴霧して吸い込んでしまうことへの注意喚起をしていましたね。空間除菌という概念はあまり有効ではなく、それよりも窓を開けての換気は良いかとは考えます。

拭き取りは、特別な薬剤などは必要ないので、アルコールや界面活性剤を使用してください。洋服に付着した場合も、通常通りの洗濯をすれば十分です。

職場への出社時に気を付けることは?

対面の会議を実施する際は、距離を保つことを意識

距離を保つことを意識していても対面での会議が避けられないこともあるでしょう。会議の際は、マスクを着用した上で、十分な距離を取り、密閉空間にしないよう気を付けてください。より感染が拡大した場合に備え、将来的にリモートで会議が開催できるように準備しておけると安心ですね。

同僚とのランチは許容できる?お酒の席は?

食事に出かける場合も、地域での流行状況を考慮し、要否を判断しましょう。流行していない地域ではあまり過敏になる必要はありません。ランチよりも飲酒を伴う懇親会などの感染拡大リスクが高くなります。万が一、感染が拡大した場合には同席者にも連絡が入ったり、検査をしたりする必要があります。

そうした形で迷惑をかけてしまうと困る、または自分自身が困る、という場合には感染拡大している時期は(例えば今の東京など)避けておいた方が無難かもしれません。特に、不特定多数が集まる場などはリスクが高くなります。

例えば、1メートル以内の距離で15分以上、マスクを着用せずに会話した場合は、「濃厚接触者」と判断されます。ひとつの目安としてもよいでしょう。

国内での移動は「地域のリスク」と「個人のリスク」に注目

ゴールデンウィークは自宅で過ごしていた方も、そろそろ夏休みやシルバーウィークの計画を立て始める時期。控えていた国内出張もそろそろ避けられないケースが出てきている中、気になる国内の移動は、「地域のリスク」と「個人のリスク」の双方から判断する必要があります。

移動前1~2週間はリスクを下げる行動を

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「地域のリスク」とは現在地と移動先などの地域、「個人のリスク」は自身の行動に基づいて個人が抱えるリスクです。まずは、地域の感染状況を見て移動の可否を考えましょう。繰り返しになりますが、新型コロナウイルスとの戦いは長期化が予測されます。

地域の感染状況に基づく判断に加え、移動が分かっている場合には出発前1~2週間は毎日体温を測る等の体調管理を徹底したり、「3密プラスα」を意識的に避け、可能な限り自粛生活を送ったりと個人の感染リスクを下げる意識を持ちましょう。

移動時に健康であることは大前提ですが、移動時も3密となってしまわないよう、混雑する時季や時間帯を避けて移動を計画することも大切です。

今後より流行が進んでしまう可能性も視野に入れ、「行ける時に行っておく」という判断も必要になると考えてください。親族の都合で里帰りをしなくてはならない、最後の旅行かもしれないなど、人によって国内の移動にも理由は様々あるでしょう。移動された方をみて、非難を浴びせるようなことは止めましょう。

不要不急の海外旅行は避けて

残念ではありますが、海外への不要不急の渡航は、少なくとも1年は控える必要があるでしょう。感染を持ち出すリスクも、日本へ持ち込むリスクもあります。
より重要性、緊急性の高い用のある人が少しでも安全に、優先的に渡航できるよう配慮しましょう。

個人でのコロナ対策にかける費用の目安は1日100円程度に

職場での対策と同様、個人の対策も長期的な視点で「無理のないもの」とする必要があります。例えば特別なマスクを使用する必要はなく、1枚30円前後のマスクで十分です。1日の対策費用は100円程度が目安。お金をかけすぎる必要はありません。

フェイスシールドなどより踏み込んだ対策は、生活や仕事上の必要性や影響も考えつつ、試しに使ってみることも一案ですが、あまりに高価な対策を講じると家計に負担がかかります。要否を冷静に判断しましょう。

前向きな気持ち、思いやりを持って

コロナと共存していく中、今後さらに社会の分断を引き起こしかねない出来事が起こることも予想されます。コロナ禍が去った後で、分断されてしまった社会が残るようなことにならないよう、感染者への差別感情を持たず、他人への思いやりを持つこと、前向きな気持ちを維持することがとても大切です。

誰でも感染しうる病気です。「マスク警察」なども話題になりましたが、ほとんどの人がきちんとマスクをしていれば1、2人マスクを着用していなくても大事には至りません。新しい生活様式は、自分を守り、他人を守る思いやりに満ちたものになるよう考えられています。お互いに守り合う文化を作っていきたいですね。

▼和田先生による「新しい生活様式における感染症対策・環境編」はこちら

監修者プロフィール

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和田耕治(わだ・こうじ)先生
1975年生まれ。国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授。産業医科大卒。専門は公衆衛生学、グローバルヘルスなど。北里大准教授、国立国際医療研究センター医師などを経て、2018年より現職。著書「企業のための新型コロナウイルス対策マニュアル」(東洋経済新報社)

著者プロフィール

■松本まや(まつもと・まや)
フリージャーナリスト。2016年から共同通信社で記者として活躍。社会記事を中心に、地方の政治や経済を取材。2018年よりフリーに転身し、医療記事などを執筆中。

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