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2020.07.15

医師が教えるマスク熱中症の7つのポイント【マスク熱中症・後編】

kencom公式ライター:森下千佳

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最悪の場合は医療崩壊も引き起こすかもしれないマスク熱中症。新型コロナウイルスの感染を防ぎながら熱中症にならないためにはどう予防したら良いのでしょうか?
絶対に覚えておきたい「今年ならではの熱中症対策のポイント」を、済生会横浜市東部病院患者支援センター長である谷口英喜先生に伺いました。

▼コロナ禍で危険性が増大!マスク熱中症について知るならこちら

今年の熱中症対策7つのポイント

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①マスクは周囲に配慮しながら積極的に外す

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マスクの着用は身体への負担がかかるので、ソーシャルディスタンスが保てる場合は、積極的に外しましょう。交通機関や公共施設、スーパーなどの人が集まる場所はマスクの着用が求められますが、大抵は冷房がきいているため、熱中症になるリスクは低いです。

注意が必要なのは、屋外での移動や活動をするときです。だるさや暑さを感じたら、日陰など人の少ない涼しいところでマスクを取り、水分をしっかり摂って身体を冷ますことを心がけてほしいと思います。

②出かける前に熱中症アラートをチェック!

環境省『熱中症予防情報サイト(https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php)』内「暑さ指数(WBGT)とは?」より引用・改編

環境省『熱中症予防情報サイト(https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php)』内「暑さ指数(WBGT)とは?」より引用・改編

環境省と気象庁が7月1日から、関東甲信地方の1都8県(東京都、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県、長野県)で「熱中症警戒アラート(試行)」を実施します。
アラートは、熱中症の危険性が極めて高くなると予想される前日か当日に発表されるので、対象地域の方は行動の目安にしてください。発表された日は熱中症予防を普段以上に徹底することが大切です。環境に敏感になることが一番の対策です。

③喉が渇く前に水分補給

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マスク生活では喉が渇きにくいため、「喉が渇いたら水分補給」では気がつかないうちに脱水になってしまう可能性があります。定期的な水分補給を習慣にしていきましょう。

成人の1日の水分補給の目安は、約1.5リットル。この量を1日かけてゆっくり飲みます。例えば、午前中に500mlのペットボトルを1本、夕方までに1本、寝る前までにもう1本。といった方法で、1日に飲む水分量とタイミングをざっくりと決めておくと、飲み忘れがなく安心です。
お酒以外の飲料であれば、何を飲んでも構いません。

④タンパク質、夏野菜をたくさん摂ろう

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暑くなると食欲が落ちる方も少なくありません。しかし、食欲がないからと、冷たいそうめんなどで済ませてしまうと、栄養が偏ってしまい体力が落ち、暑さに耐えられなくなってしまいます。どんなに暑くて食欲が落ちてしまっていても、日頃から栄養バランスを意識して取ることが大切です。

なかでも熱中症予防に効果的な食べ物はタンパク質を多く含む食材や旬の夏野菜、フルーツです。タンパク質は、水を身体に蓄える役割の筋肉を作るために必要ですし、夏野菜やフルーツは水分とミネラルが豊富で、汗と一緒に排出されてしまった塩分やカリウムなどのミネラルを補給してくれます。

⑤十分な睡眠をとる

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体温コントロールは、汗をかくことによってだけでなく、自律神経によっても行われます。気温が高くなり体温が上がると、副交感神経が優位になって、皮膚の血管を広げ、熱を逃して、体温を下げようと働きます。ところが、寝不足になり自律神経が乱れると、この体温コントロールがうまくできなくなってしまうのです。寝ている間に熱中症になる人も多いので、エアコンを使って、朝まで熟睡できる室温を保てるように調節すると良いでしょう。

⑥エアコンを積極的に使い、暑いと感じる場所にいない

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病院に搬送されてくる患者さんの半数以上が、屋内での熱中症です。
屋内にいても油断せず、暑いときは適切にエアコンを使い、水分補給を心がけてください。エアコンをつけるタイミングは室温が28度、湿度が70%を超える時と言われていますが、これはあくまでも目安。日中は自分が最も過ごしやすく、夜はぐっすり眠れる温度を見つけて調整することが大切です。

また、感染症対策として換気をする場合は、エアコンをつけたままにしながら扇風機や換気扇を使って、室温が上がりすぎないように注意しましょう。

⑦人混みを避けた散歩、お風呂で暑さに強い身体を作ろう!

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朝や夕方など涼しい時間帯に、人混みを避けた散歩や室内での軽い運動をして、汗をかく練習をしておきましょう。暑さに身体が慣れ、体温調節などがうまく機能するようになります。どうしても外に出られない場合は、湯船に浸かることも有効です。ぬるめのお湯に肩までゆっくりと浸かり、じんわり汗をかくまで入りましょう。

覚えておきたい!熱中症が疑われる時の応急処置

熱中症は、軽度、中度、重度の三段階に分かれますが、軽度の熱中症であれば自宅での応急処置で治せます。いざという時のために、知っておきましょう。

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①涼しい場所に移動する

まずは、暑いところから避難させます。日陰やエアコンの効いた場所で熱を逃します。

②身体を冷やす

衣服を脱がせたり、きついベルトやネクタイ、下着を緩め、首の両脇、脇の下、太ももの付け根の前面などに氷嚢などを当てて、皮膚のすぐ近くにある太い血管を冷やします。露出させた皮膚に冷水をかけて、うちわや扇風機で風を送るのも有効です。

③経口補水液を飲む(水分補給をする)

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意識がはっきりしている場合は、水分補給をさせましょう。一番効果的なのは経口補水液。経口補水液は、脱水によって失った水分と塩分などの電解質を素早く身体に取り入れ、保持してくれるもの。いざという時のために2〜3本を常備しておくと良いでしょう。

ただし、呼びかけに反応しないなど意識障害がある場合は、誤って水分が気道に流れ込む可能性があるため、無理に飲ませずにすぐに医療機関を受診しましょう。また、発熱症状がある場合も臓器にダメージを受けている可能性があるので、早めに受診してください。

マスク熱中症は防げる!非常事態に谷口先生からメッセージ

熱中症というのは、予防すればゼロにできる病気です。今年は新型コロナウイルス対策をしつつ、熱中症対策をしなくてはいけないという非常事態。
しかし、熱中症対策は感染症対策よりもシンプルでわかりやすいので、ぜひ取り入れて欲しいものです。それが、健康にもつながりますし、医療崩壊の抑制にもつながります。みなさんで、この非常事態を乗り切っていきましょう。

谷口 英喜(たにぐち・ひでき)先生

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済生会横浜市東部病院 患者支援センター長
専門は麻酔・集中治療、経口補水療法、体液管理、臨床栄養、周術期体液・栄養管理など。日本麻酔学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医、東京医療保健大学大学院客員教授。1991年、福島県立医科大学医学部卒業。学位論文は「経口補水療法を応用した術前体液管理に関する研究」。

参考文献

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかったオーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国後、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て現職。一児の母。

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