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2020.06.22

「コロナ離婚」を回避するために今できること|自粛期間で「夫婦だけの時間」が増えたが…

東洋経済オンライン

長年連れ添った夫婦の関係性を良好な状態で維持するには、どうすればいいでしょうか?(写真:IYO/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/356819?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

長年連れ添った夫婦の関係性を良好な状態で維持するには、どうすればいいでしょうか?(写真:IYO/PIXTA)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。

コロナ禍において、夫婦がともに過ごす時間が増えた方も多くいらっしゃると思います。いつかは子どもが巣立ち夫婦だけになる、今はお互いに仕事というフィールドがあるが、リタイアしたら夫婦だけの時間を持つようになる──。考えてみたことはあるけれど実感を伴わなかった将来を、コロナの影響で四六時中一緒にいることを余儀なくされ、多かれ少なかれ疑似体験した方々がいます。そしてそれは幸せな未来ではなく、どちらかというと不安に感じられた人が多いようです。

結婚当初は、相手のことを「もう離さない」と思っていた気持ちも、やがて、相手と「もう話さない」という状況に陥ることを面白おかしく表現することもあるように、気持ちは変化するものですし、役割も関係性も人生のステージによってさまざま変わってきます。

退職後は居場所がなく妻に依存

人生100年時代と言われるようになり、健康寿命も大きく伸び、それに伴い結婚生活の時間も長くなっています。一時期、退職金をもらったら離婚する熟年離婚というものが取り上げられたり、定年退職で夫がいつも一緒に居るようになったことを「濡れ落ち葉」と称し、いろいろなところについて回られることがうっとうしいと表現されることが話題になり、世の女性たちの共感を得たこともあります。

このように長年連れ添った夫婦の関係性がネガティブに取り上げられる背景には、耐える日々を過ごしているのは自分だけではないという安心感を妻たちが求めていることがあるように見受けられます。



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夫は退職後に、ようやく夫婦の時間が持てると思う人が多いのに対し、妻は、やっと夫の面倒(夫を支える仕事)から解放され、自分の時間を持ちたいと思う傾向が強いようです。現役でも、夫が単身赴任先から戻ると妻がうつになるケースもたくさん見てきました。

多くは、夫が自分の居場所を家庭以外に持てずに、妻に依存しすぎることが問題です。とはいえ、不倫などは問題外ですが、働いているうちは仕事上の付き合いはあっても、それがなくなってしまえば、おのずと付き合いが途絶えてしまうということもあります。

しかも、その働き方もこれからは大きく変わっていきます。ですから、早いうちから積極的に自分のコミュニティーを築く必要があります。また、組織の中で管理職などの立場だと、必然的に周りから気を遣ってもらえたり、大切に扱われることに慣れてしまい、家庭でも、ほかのコミュニティーでもその感覚が拭えずに、偉そうな態度がにじみ出て、周りの人から少しずつ排除されてしまうこともあります。

ご本人は配慮しているつもりでも、長年培われた習慣は態度や言動に表れ、なかなか変化させることはできません。こうした自分の居場所がない寂しさからも、より妻への依存が強くなる傾向にあると思います。

依存が強くなるということは、相手との距離が近くなることでもあり、ある意味、執着です。

夫婦関係もさることながら、どんな人間関係もある一定の距離感があることが心地いい関係性を作っていく条件の1つです。近すぎると、自分と相手との境界がわかりにくくなり、相手をコントロールしたい支配欲求にさいなまれます。そして、自分の思いどおりにならないと、ことさらに怒りや悲しみを覚えてしまうものなのです。自分の世界と相手の世界を切り離せなくなることが大きな問題です。

お互いが自律し、意思を確認し合える関係性に

親子関係にもこの問題が多く見られることがありますが、夫婦の場合はもともと他人ということもあり、ある一定の距離を保つことが何よりも大切なことになってきます。距離感は精神的なものと物理的なものが存在しますが、そのうち精神的なものが大きく影響します。

しかし、目に見えない精神的な距離を保つのは至難の業です。距離感は、ご夫婦によってさまざまだと思いますが、いずれにせよ、お互いの距離感の感覚をすり合わせていかないとトラブルが起きてしまいます。それが、束縛と感じたり、威圧と感じたり、放任と感じる元になるからです。そのギャップが大きくなればなるほど、相手と一緒にいることが苦しく感じるようになってしまいます。

パートナーを自分の自由を奪う相手としてうっとうしく思ったり、さらには憎みながら夫婦生活を続けていくのはやはり寂しくつらいものです。

お互いを尊重しつつ、よりよい関係性を模索していくためには、まずは、お互いが自律すること。そうでないと相手と対等になることは不可能です。そのうえで距離感を、勝手な思い込みや想像ではなく、きちんとお互いが意思疎通して確認していくことが大切です。また、家族構成や健康状態により変わるものなので、いつも同じ距離感である必要はありません。だからこそ、面倒がらずに随時確かめていくことが必要です。

人との距離感は、トライ&エラーを繰り返しながら、折り合いをつけていくものです。さまざまな人たちと適切な距離感でつながれる力こそが、夫婦関係はもとより、安心して豊かな日々を送ることができる大きな要因です。これからの人生、孤独や孤立を招かぬよう、何かに強く依存するのではなく自律し、周りとの適度な接点を見出し、身近な関係性をよりよいものにしていきましょう。

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大野 萌子:日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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