2020.06.27
ビジネス以外でも大活躍。私生活のやる気がアガる「SMARTの法則」
「SMARTの法則」というのをご存知ですか?
知っている、使ったことがあるという方という方は、ビジネスシーンで使うイメージを持っているかもしれません。
主に仕事の成果目標設定などで活用されるSMARTの法則ですが、ビジネスシーンだけで使うのはもったいないのです。日常生活に上手に取り入れることで、漠然とした「〇〇したい」「〇〇できたらいいな」を実現するためにも役立ちます。
「SMARTの法則」とは?
「SMART=スマート」と聞くと、ダイエット用語のようにも聞こえてきてしまいますね!
このSMARTの法則とは、5つの項目に基づいて目標を立てることで、目標を達成しやすくするのに有効な目標設定手法のことです。この法則を最初に提唱したのは、ジョージ・T・ドラン氏です。その後ブライアン・トレーシー氏などにより改良が進められました。
5つの項目で、目標がより具体的で達成しやすいものへ
SMARTの法則は、以下の5つの項目の頭文字を取って表したものです。
Specific(具体性):目標が具体的であるか、わかりやすいか
Measurable(計量性):目標達成率や進捗が計測可能か、計量化できているか
Achievable(達成可能性)その目標が非現実的ではなく、達成可能かどうか
Realistic(現実的):目標達成が現実的であるか
Timely/Time-bound(期限):目標の期限が明確であるか
※SMARTの法則には様々な派生があり、上記とは異なる項目も生み出されています
仕事に関わらず、何か目標を定めようとする時には、この項目に沿って作ると達成しやすい目標が作れるのです。
実際、筆者もライフオーガナイザーとしてお客様のお宅の片付けに伺った際には、SMARTの法則を使ってお客様と片付け作業のゴール(目標)設定を行っています。
目標は、具体的であればあるほど達成しやすいものです。その具体的で達成しやすい目標を立てるために、SMARTの法則が有効です。
比較するとわかる!「SMARTの法則」を使った目標設定/使わない目標設定
SMARTの法則を使うか使わないかで、どのような違いがあるのか、片付けのシチュエーションで目標設定をしてみます。
例1:SMARTの法則を使わずに定めた目標
部屋をきれいにする
例2:SMARTの法則を使って定めた目標
・友人を招きたい(具体性)
・リビングを友人が見ても恥ずかしくない空間にするため、毎朝15分床やソファに置きっぱなしになっているものを定位置に戻す(計量性、達成可能性、現実的)
・週末はリビング全体に掃除機をかけて床を拭く(計量性、達成可能性、現実的)
・これを1ヵ月間続ける(期限)
具体的な目標で行動しやすく
上の2つの目標を見て、イメージしやすいのはどちらでしょうか?
例1の「部屋をきれいにする」では、きれいにしたい部屋はリビングなのか、子ども部屋なのか、書斎なのかがイメージがわきませんね。また、「きれいにする」といっても、家族が過ごしやすいようにするのか、来客があっても大丈夫なようにするのか「きれいにする」のレベルが分かりません。
例2の「友人を招きたい」という目標設定の方が、具体的で誰が見ても同じような状況を思い浮かべることができるのではないでしょうか。
このように、目標設定にSMARTの法則を使ったほうが、具体的で、行動に移しやすいと思いませんか?行動に移しやすければ、モチベーションも上がりますね!
日常生活への活かし方
それでは、日常生活にSMARTの法則をどのように取り入れていけばよいでしょうか?
日常生活で漠然とした目標を立ててしまうことが多いものについて、具体例を挙げてご紹介します。
部屋を片付けたい
キッチンの片付け
・家族が家事を手伝ってくれるキッチンにする(具体性)
・家族にとって「何がどこにあるか」が分かるようにものの定位置を定めて、調味料にはラベルをつける(具体性)
・キッチンの食器棚、調味料入れを毎週土曜日20分掃除する(計量性、達成可能性、現実的)
・これを1ヵ月間続ける(期限)
洗面所の片付け
・朝の支度が今よりも5分短縮できる洗面所にする(具体性、計量性)
・朝の支度に必要なもの(ひげ剃り、ドライヤー、化粧品など)を人別に取り出しやすい場所にまとめる(具体性)
・1日1分使って、化粧品を基礎化粧品から使う順番に沿って整理する(計量性、達成可能性、現実的)
・一週間ごとに、収納場所や並べ方を変えて使い勝手を確かめる(期限)
節約したい
・1ヵ月1万円貯金する(具体性)
・財布に入れる現金は、1日1000円、キャッシュレス決済は1日2000円までとする(計量性、達成可能性、現実的)
・家計簿をつけて、無駄な買い物をしていないか一週間ごとに確認する(期限)
・これを1ヵ月続ける(期限)
ダイエットしたい
・1ヶ月に1キロ痩せる(具体性、計量性)
・1日5分ラジオ体操の音に合わせて体操する(計量性、達成可能性、現実的)
・ランチの外食を毎日から週3回に減らし、残りの2回は弁当や軽食にする(計量性、達成可能性、現実的)
・これを1ヵ月続ける(期限)
生活リズムを整えたい
・平日は毎朝6時に起床する(具体性、計量性)
・平日は毎晩23時に就寝する(計量性、達成可能性、現実的)
・これを1ヵ月続ける(期限)
頭の中を整理したい
・漠然と感じているモヤモヤをノートに書きだす(具体性)
・書き出したものを「自力で解消できるもの」と「自力では解消できないもの」に分けて、どれから解消していくか簡単なものから優先順位をつける(計量性、達成可能性、現実的)
・優先順位をつけたものに、実行する日付を書き込む(計量性)
・毎週月曜日の朝に書き出し、達成できたかどうか、できていないものはどうすれば達成できるか考える(期限)
「目標」と「目的」を明確にする
目標と目的の違いについて考えたことはありますか?
目的は、目標の先にあるものと言えます。辞書(広辞苑第七版)で「目標」の意味を見てみると、「目じるし。目的を達成するために設けた、めあて。的(まと)」となっています。
目標を一つずつクリアしていくと、目的が果たせるというイメージです。山登りに例えると、頂上が「目的」であり、その途中に配置されたフラグや目印が「目標」と言えるでしょう。
達成しやすい目標をたてることが成功の道
目標、というと今の自分に達成できそうにない大きな目標を掲げてしまう方も多いのではないでしょうか?
その方がやる気が出る!という方はそれでもいいのでしょうが、大抵の方は高すぎる目標を前に挫折してしまいがちです。
おすすめなのは、「まずは達成しやすい目標を立てること」です。立てた目標を一つ一つ達成していくことで、やる気のエンジンの回転数が上がってくることを実感できるでしょう。
回転数が上がってくると、どんどん難しい目標に挑戦していくことができます。
小さな成功を積み重ねが自信に
片付けの現場においても、お客さまには「はじめは大きな場所を片づけるのではなく、この程度なら片づけられる、という小さい場所を片付けましょう」と勧めます。お客様自身が「この程度の範囲ならできる」くらいの小さな範囲を選び、1ヵ所ずつ一緒に片付けていくことで成功体験を積み上げていきます。
ここでいう小さい範囲とは、「財布ひとつ」「化粧ポーチ」「ペンケース」「引き出しひとつ」「かごひとつ」など「このくらいは頑張らなくても片付けられる」という最低限の大きさです。お客様によっては、自分で片づけられるという手応えを感じると自信がついて、1人でどんどん範囲を広げて進められる方もいらっしゃいます。片付けのプロの間でも、こういったお客様の変化に触れたことがある経験者は多いです。
目標設定で日々のやる気をUP
仕事で目標を立てることはあっても、プライベートや日常生活での目標は、考えたことがない。もしくは、漠然と「○○したいな〜」「○○できたらいいのにな〜」などと頭の中だけで考えてばかりいて、なかなか実行に移せないことも多いです。
ぜひSMARTの法則を取り入れて、具体的な目標を立ててみてください。やる気の回転数が上がることを願っています!
門傳奈々(もんでん・なな)
ライフオーガナイザー®、整理収納アドバイザー1級。夫と3人の子どもがいる5人家族。夫の転勤に伴い、中東、インドなどで海外生活を送った後、日本に帰国。「片づけが苦手」だった自分の経験を生かし、だれでも簡単に整理できる収納方法を提案するため、個人宅を訪問しお片づけのお手伝いをしたり、お片づけ講座、お片づけお悩みシェア会などを開催。