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2020.06.17

「人間ドック」40代で受けたほうがいい人の特徴|目安は55歳以上、「上手な利用法」を徹底解説

東洋経済オンライン

人間ドックを選ぶ際のポイントはどこにあるのでしょうか(写真:Rina / PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/356281?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

人間ドックを選ぶ際のポイントはどこにあるのでしょうか(写真:Rina / PIXTA)

人生100年時代と言われる昨今、病気に悩まされずに生活するために、人間ドックの受診を考える人も増えてきている。だが、なかにはどの病院を選べばいいのかわからず、躊躇してしまう人もいるようだ。荒井秀典編『40歳からの健康年表』を一部抜粋・再編集し、人間ドックの上手な選び方を伝授する。

50歳を超えてくると、「一度、人間ドックを受けてみたら」と、周囲から勧められることがあるかもしれません。とはいえ費用は自己負担ですし、職場や地域で受けている健康診断と、どう違うのか分からない、と気乗りしない方もいるでしょう。

また、働き盛りの方のなかには、いま体調には何の問題もないし、リタイアして時間に余裕ができたら一度ぐらいは受けてもいいかな、とお考えの方もいるでしょう。なかには、受診を考えてみたけれど、追加検査がたくさんあって、何を選べばいいのか分からない、とお悩みの方もいるかもしれません。

そこで、今回は人間ドックの上手な利用法についてご説明いたします。現在、私は愛知県大府市にある国立長寿医療研究センターで、「長寿ドック」という健康寿命の維持に重点をおいた人間ドックの責任者を務めています。

ここでは一般的な人間ドックを念頭に、健康診断との違いにはじまり、基本的な点について解説していきます。

健康診断と人間ドックの違いはどこか?

日本では、40歳から74歳までの方を対象に、勤務先やお住まいの地域で、「特定健診」が実施されています。これは生活習慣病の予防に力点が置かれており、検査項目も、その目的に沿ったものとなっています。

この特定健診の検査で重視していただきたいのは、脂質異常症(中性脂肪、善玉コレステロール、悪玉コレステロールの値)、それから高血圧、そして糖尿病と、やはり生活習慣病に関係するものです。

これらには痛みなど症状がないので、悪い結果が出ても放置してしまう方もいます。とくに血圧の異常値を放置する方がとても多く、それが私たちや、自治体の担当者の悩みの種となっています。しかし血圧異常や脂質異常症、糖尿病などを放置しておくと、知らないうちに血管が老化してしまい、のちのちさまざまな病気につながってしまいます。

特定健診の最大の役割は、こうした生活習慣病の予防であり、異常があれば早く治療につなげるというものです。それに特定健診の結果は、国の健康施策のベースになるものですから、私は外来の患者さんにも、「選挙の投票みたいなものです。特定健診は必ず受けてください」と、いつもお伝えしています。

ただ、特定健診だけでは悪性腫瘍(がん)や、脳出血、脳梗塞などの脳血管障害、心筋梗塞・狭心症といった虚血性心疾患について、細かくチェックすることはできません。また、私ども「長寿ドック」が得意とする認知機能診断や、骨折予防の骨密度測定などもカバーされていません。

人間ドックのメリットは、いま挙げたような病気、症状に関して、オーダーメイドで検査項目を組めるところです。

何歳から人間ドックを受けたらいいのか、という質問もよくあります。当センターでは55歳以上を対象にしており、それが1つの目安になると思います。ただ、ここで重要になってくるのが家族歴です。ご両親、ご兄弟などに、とくに若くして、がんや脳梗塞、心筋梗塞になった人がいる場合は、40歳代でも早すぎるということはありません。

これは肝臓の病気でも、消化器系の病気でもいえることです。本書でも、「こんな人は要注意」という項目で、「家族がその病気にかかったことがある」と家族歴がリスク要因に挙げられている病気がいくつもあります。家族に病歴のある場合は、とにかく早いほうがいいと思います。

また生活習慣病も進行して手遅れにならないうちにチェックしておきたいところです。心筋梗塞も40歳代から、ちらほらと発症するケースもあります。それと、20歳代のときより体重が15㎏から20㎏も増えていたら、生活習慣に問題があると思われます。そうした方も早めのチェックが望ましい。増加が10㎏を超えていたら、ちょっと注意だな、という感じです。

病院選びには家族の病歴が重要になる

いざ人間ドックを受診しようと思っても、どの病院にすればいいのか、悩ましいところです。人間ドックは、基本的な項目はともかく、医療機関によって受けられる検査が異なります。たとえば私たちの「長寿ドック」では、転倒・骨折予防のために、ふらつきの度合いをみる「重心動揺検査」や、骨密度の測定を行っていますが、一般的な人間ドックのコースには入っていないことが多いと思います。

どの病院で、どんな検査を受ければいいのか。ここでも重要になってくるのが家族の病歴です。若くして心疾患、脳血管疾患になった家族がいれば、それに関連した検査項目の多い医療機関を選ぶといいでしょう。

また、頭部MRIなどの検査や、がんの検査をする腫瘍マーカー、CT検査、エコー検査などが、標準メニューに含まれていない場合、どれを追加するか、迷っておられる方がいるでしょう。この場合も家族歴が大きな判断材料になります。

これは人間ドックだけではなく、特定健診でもいえることですが、検査結果が正常値の範囲内であっても、それで安心というわけにはいきません。重要なのは、時間の経過とともに、数値がどう変化しているのかということです。正常値の範囲におさまっていても、数値が徐々に変化している場合は、注意したほうがいいでしょう。

実際、検査の結果は正常値の範囲内でも、値が前年の倍だったので、念のため詳細に検査したら超初期のがんだった、というケースがありました。大切なのは自分の正常値を知ることと、それがどのように変化しているかを知ることです。数値の増減があれば、早めにエコー検査を受けるなど、対策をとったほうが安心です。

検査過程に違和感があれば病院の変更も

時間の経過にともなう数値の変化が重要なので、おなじ医療機関で検査することが望ましいのですが、もし検査の過程などで違和感を抱いたら、思い切って医療機関を替えてみるという方法もあります。

当センターでは自費で検診に来てくださる方々を最優先し、また検査結果の説明も、私たちは、かならず医師が対面で行い、ご希望に応じて、その場で専門診療科の予約を取るようにしています。こうした連携が十分でない場合は、一考の余地があります。


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毎年の検査結果を手元においておけば、別の医療機関で検査した場合でも、経年の変化をチェックすることはできます。

医療機関は同じところを選ぶにせよ、追加検査をどうするかという問題もあります。毎回、すべての検査を追加なさる方もいますが、費用面の問題もあります。追加する検査を選ぶ場合、初回の検査で異常があったかという点が重要です。なにかしらのリスクが発見されたら、検査の間隔を短くしたほうがいいですし、そうでない場合は、2年や3年といった間隔でも大丈夫であることもあります。これは検査項目によって異なります。

ただ前述のように、家族に病歴があるとか、脂質異常、高血圧、糖尿病、もしくは喫煙といった血管の病気のリスクを持っている方は、毎回、検査したほうがいいでしょう。血管の状況は1年でも変わってきますので、やはり検査データは多いほうがいいと思います。

このように中年期から人間ドックを上手に利用していくことが、健康寿命を延ばすことにつながります。

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徳田 治彦:国立長寿医療研究センター臨床検査部長兼長寿検診部長

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