メニュー

2020.06.20

家庭にも危険がたくさん。夏の食中毒の基礎知識とキッチン周りの細菌対策

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

記事画像

なかなか外出ができない中、毎日の生活で「食べること」を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。

これから暑くなる時期、食事の際に気をつけたいのが「細菌が原因となる食中毒」です。おいしい食事を安心して食べるために、食中毒のことを正しく知って家庭でも対策を実践しましょう。

食中毒の主な原因と症状

記事画像

食中毒とは、食中毒を起こすもととなる細菌やウイルス、有毒な物質が付着した食べ物を食べることによって、下痢や腹痛、発熱、はきけなどの症状が出る病気のことです。
食中毒の原因となるものには大きく分けると以下5つがあります。

食中毒の種類

●細菌性食中毒:サルモネラ菌やカンピロバクター、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌など
●ウイルス性食中毒:ノロウイルスなど
●寄生虫食中毒:アニサキス、クリプトスポリジウムなど
●化学性食中毒:水銀、ヒスタミンなど
●自然毒による食中毒:ふぐ毒、毒キノコ、じゃがいもの芽など

食中毒の主な症状「下痢・腹痛・嘔吐」

記事画像

原因菌によって様々ですが、食中毒によって引き起こされる症状は下痢、腹痛、嘔吐(吐き気)などの胃腸に症状が出るほか、悪寒や発熱、頭痛などの症状を伴うものもあります。食中毒の原因によって、病気の症状や、症状がでるまでの時間は様々ですが、時には命にも関わる可能性のある病気です。

食中毒と似たような症状として、食べすぎや冷たいものの飲みすぎの場合に下痢や腹痛が起こることがあります。しかしこれは菌やウイルスによって引き起こされたものではなく、食べすぎや胃腸が冷えることによってうまく消化できなくなることによる消化不良によるものです。

梅雨~夏場の「細菌性食中毒」の危険性

記事画像

日本の夏は気温と湿度の両方が高くなるため、食中毒の中でも特に細菌性の食中毒の危険性が高まります。特に魚に多い腸炎ビブリオ、鶏肉に多いカンピロバクター、肉類に多いサルモネラ菌、常在菌としても存在している病原性大腸菌などは夏場に増殖しやすいため注意が必要です。

冬場は気温や湿度は下がるので細菌性の食中毒は比較的発生しにくい代わりに、ノロウイルスなどウイルスによる食中毒が増えます。

今回は、夏場に増える「細菌性食中毒」について説明します。

細菌性の食中毒が発生しやすい3つの条件

記事画像

気温が高くなる6月頃から増える細菌性の食中毒の場合は3つの条件で細菌が増殖しやすくなります。

栄養源が豊富

細菌は生き物なので、栄養源(特にタンパク質)が豊富なところで増殖しやすくなります。タンパク質は主菜や副菜によく使われる肉や魚、卵、豆類に多く含まれるので取り扱いには注意をしましょう。

温度が20℃以上

細菌の種類によりますが、20℃~50℃と幅広い温度で生きることができます。
食中毒を起こす菌が特に増殖しやすいのは37℃前後と言われているため、特に真夏は食材を常温で放置しないように気を付けましょう。

適度な水分量

細菌が増殖するためには水分も必要です。生野菜や生魚、生卵などの食材は水分量が多く細菌が増えやすいため注意が必要です。

食中毒にならないために家庭で気を付けるべきこと

ご家庭でも、普段の調理はもちろんお弁当を作る場合、BBQなど屋外で調理する場合など特に注意が必要です。

そこで、農林水産省が提唱する細菌性食中毒の予防ために守るべき3大原則「つけない」「ふやさない」「やっつける」についてお伝えします。

つけない

記事画像

まずは食中毒の原因となる細菌をつけないことです。

食材を触る前だけでなく、調理の際はこまめに手を洗いましょう。特に爪の間は汚れや菌がたまりやすく洗うのが難しい場所です。爪が長い方やネイルをされている方は特に注意が必要です。
指輪や時計をつけていると接触部分に汚れがたまりやすいため、調理中は外すことをおすすめします。

調理道具を清潔に保つことも重要です。まな板は野菜用と肉魚用など食材ごとに分け、タオル、布巾、スポンジは定期的に除菌するなど清潔を保ちましょう。

また、直接調理に関係ないと思われているシンクや三角コーナーにも注意が必要です。シンクや三角コーナーが汚れていると、洗い物をした際や生ごみを捨てた際に菌が飛び散る可能性があるため、こまめに掃除をし清潔を心がけましょう。

ふやさない

記事画像

菌をゼロにするのは難しいですが、「付着した菌をふやさない」ということが食中毒予防においてはとても大切です。
そのためには食材を正しく保存することがポイントとなります。

まず食材を買ってきたら速やかに冷蔵庫や冷凍庫にしまいましょう。気温が高い時期は常温に放置しているだけでどんどん食材の温度が上がります。
また、冷凍・冷蔵食材はドリップ(魚や肉から出てくる水分やタンパク質)が出てくるため注意が必要です。多くの細菌は10℃以下で増殖スピードが遅くなるので、食材に応じて冷蔵庫、野菜室、チルド、冷凍庫に分けて速やかに保存しましょう。

やっつける

記事画像

多くの細菌やウイルスは加熱することで死滅します。加熱の目安は食材の中心温度が75℃の状態で1分以上加熱することです。
特に肉や魚・卵などを調理する際、「食中毒の原因となる菌をやっつける」という観点からしっかり加熱するのをおすすめします。

包丁やまな板などのキッチングッズにも注意が必要です。
包丁は洗う際に手でしっかり握る柄の部分を忘れがちなので必ず洗いましょう。柄が木製の場合はプラスチックに比べて乾きにくいため、しっかりと乾かしてからしまうということを忘れずに。

まな板は洗剤で洗った後にキッチン用の漂白剤をかけて消毒することもよいでしょう。漂白剤がない、という場合は仕上げに熱湯をかける方法でも除菌できます。温度が高いと菌の処理ができるだけでなく、乾くのも早くなりますよ。

食材・道具の衛生面に気を付けて

夏場の細菌性食中毒はちょっとしたことで予防することができます!
普段から衛生面に気を付けている方も、夏場は食材だけでなく、手指や使う道具の衛生面にも注意しながら安全においしく食べられる環境づくりをしましょう。

「夏の食中毒」に関するその他の記事

磯村 優貴恵(いそむら・ゆきえ)

記事画像

大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。
その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆など幅広く活動中。

この記事に関連するキーワード