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2020.06.06

【実例付き】毎日の料理がぐんと楽になる、動線で考えるキッチン整理術

kencom公式:ライフオーガナイザー® ・門傳奈々

毎日を心地よく過ごすためには、おうち時間の充実が欠かせません。中でも、過ごす時間が長いのが「キッチン」ではないでしょうか。

キッチンをより使いやすく整備するには、「動線」を見直すことが大切です。生活動線に沿った収納をつくることで、動きに無駄のない快適空間になりますよ。

キッチンで感じるストレスの原因

朝食、(お弁当や昼食)、夕食を毎日作り続けるキッチン。ここでの時間はあなたにとって楽しい時間ですか?それとも…?

キッチンで感じるプチストレスを溜め続けてしまうと、「調理時間」は「苦痛な時間」になってしまいます。また、キッチンはお皿や調理器具、ストック食材など大小問わず物が溜まりがちな場所でもあるので、在庫管理が行き届かず経済的に損してしまうことも。

このように煩雑になりやすいキッチンで感じるストレスの原因はどこにあるのでしょうか?ライフオーガナイザーとして相談を受けると多いのが、「何か使いにくいけど、どこをどう変えれば良いかわからない」という声。そのような方のキッチンには、次のような問題があります。

・物の住所が決まっていない(もしくは決まっているが、気分によってその場所に戻さない、戻せない)
・動線に沿った場所以外に収納場所がある

そこでおすすめするのは、「物の定位置を決める」ことと、「動線を意識した収納場所」に変更することです。
まずはこの2点を意識してキッチンを快適空間に変えていきましょう!

動線を意識した収納でストレスを軽減

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「動線」とは、人の動きを線で表したものです。
この動線上に必要な収納や物が配置されていないと、無駄な動きや無駄な時間が多くなるのです。

例えば、ご自身のキッチンでの動きを思い出してみましょう。図のように紙に書いてみるのも良いですね。
自分の動きを俯瞰してみると、思ったよりも無駄な動きが多いことに気がつきます。では、どうすれば無駄な動きを減らせるでしょうか?

今回は筆者宅の事例を参考に、使う人の動線に合わせて物の住所を一つずつ定める収納方法を考えてみましょう。

キッチンの収納実例

冷蔵庫は人の死角にものを入れない

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冷蔵庫はつい物を詰め込んでしまう場所です。夏場は特にその傾向が強くなります。
奥行きもあるので、一旦奥にしまうと目が行き届かず「なかったもの」として扱われがち。それらの行く末は「食品ロス」です。

冷蔵庫は常に目が届く範囲だけに物をしまい、死角をなくすのが大事。ですので、特に身長の低い方には手に届く場所だけにしまうことをおすすめします。また、子どもの食べるものや飲みものは子どもの手の届く場所に入れておくと、子ども自身で取り出せるので「ママ(パパ)あれ取って〜!」が減ります!
そして、冷蔵庫の中でもそれぞれの食料品の住所を決めておきましょう。在庫管理がしやすくなって無駄な買い物も自然と減ると思います。

食器棚はゴールデンゾーンにこだわって

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食器は使用頻度別に収納すると良いでしょう。
使用頻度の高い日常使いの食器は一番取り出しやすい場所にしまいます。人が一番取り出しやすい高さというのは、「ゴールデンゾーン」と言われる胸のあたりから膝上のあたりの場所です。筆者宅でも、食器棚の扉を全開にしなくても手に取れるこの場所には、使用頻度の高い食器を入れています。

食器の場所を決めておくと、家族も手伝いやすくなります。「家事をシェアしてくれない」と思ったら、家族と相談しながら物の住所を決めてみてください。家族に当事者意識が芽生えると、手伝ってくれる機会も徐々に増えてきます。

キッチンツールは使う人が主体的に決める

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鍋は使用する場所に応じて収納するのがおすすめです。動線のところでも少し触れましたが、鍋の収納は最初の動作で収納場所を決めましょう。

例えば、野菜を茹でたり汁物をつくる「水を入れて使う鍋」はコンロの下ではなく、水をすぐ入れられるようにシンクの下に収納。「火に直接かけて使う鍋やフライパン」はコンロの下に収納します。
物の配置は使う人が主体的に決めれば良いのです!「鍋は一ヵ所にまとめる」という固定観念を一つずつ見直して、動きにあった場所に収納することで作業がぐんと楽になるでしょう。

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ガスコンロの下の収納は、100円均一で購入した「ファイルボックス」で仕切り、フライパンなどを立てて収納しています。こうすることで空間を無駄なく使うことができます。
「ファイルボックス」は書類を入れるためだけのものではありません。キッチンや洗面所の下などを仕切るのにちょうど良いので試す価値ありです!

セット収納で一つの動作がラクになる!

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セット収納とは、使うタイミングが同じアイテムをひとまとめにして収納する方法です。

例えば、毎日お弁当を作るご家庭では、弁当箱、弁当用カトラリー、おかずカップ、ピック類、弁当箱バンドなど弁当を作る際に必要となるものを一ヵ所にまとめて収納しておきます。これならお弁当作りに必要なアイテムがまとまっているので、セットを出すだけですぐにお弁当作りに取りかかれて時短になります。

また、朝食を日によって和食と洋食と変えているという方は、冷蔵庫に「和食セット」と「洋食セット」を作ってみてはいかがでしょう。
「和食セット」は、ふりかけや納豆、醤油などをひとまとめに。「洋食セット」は、ドレッシングやバター、ジャムなどをひとまとめにしておくと、冷蔵庫を何度も開け閉めする動作が減るでしょう。
セット化することで家族にも分かりやすくなり、手伝ってもらいやすくなります。

習慣や当たり前を見直してスッキリ

動線を意識した収納方法だけでなく、普段の習慣や当たり前だと思って行っている行動の中にも無駄が隠れています。

ストレージがパンパンで損してるかも

買い物に行った店先で「ポイント○倍」や「2個買うと10%引き」などキャッチーな言葉につられて、余計なものまで買っていませんか?

家の収納には限界があります。「安いから」と買いだめしたものが結局使われないまま賞味期限切れになってしまう…そんな現実を相談者のお宅でたくさん目にしてきました。使わないまま廃棄してしまっては「お金を払って損をしている」状態です。使うものだけを収納量に見合った量で購入するのが一番経済的なのです。

キッチン雑貨の「使うのが当たり前」をやめてみる

筆者宅では、キッチンにあるのが当たり前なキッチン雑貨をいくつかやめました。一見使い勝手がよさそうなものも、ズボラな性格の筆者が一旦「面倒」と感じたら少しずつ手放しています。

三角コーナー

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三角コーナーは、ゴミを集めるものなのに「たまに掃除が必要」ということが面倒に感じてやめました。

野菜の皮などのゴミは、水分をつけないように気をつけてそのままゴミ箱に捨てたり、小さいビニール袋やパンの包装袋などを再利用してまとめてから捨てます。生ゴミは排水口の受け皿に溜まったらこまめに捨てるようにしています。

水切りカゴ

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水切りカゴもぬめりやカビが発生しやすく、定期的に掃除したり漂白するのが面倒になったのでやめました。水切りカゴをやめてみると、お皿を放置することなくこまめに洗って布巾で拭いてしまうようになりました。

キッチンマット

キッチンマットも洗濯が面倒ですよね。加えて筆者の場合は、キッチンマットにつまづいて転びそうになったことが原因でやめました。水や油がキッチンの床に飛び散ったら、その都度雑巾で拭き取ります。

これらをやめたことで不便を感じたことはありません。筆者の場合は「洗うのが面倒」と感じたものは、一旦使うのをやめてみます。やめたことで洗う手間が減り、「楽になった!」というメリットを強く感じています。

皆さんもキッチンで「これが面倒!」と感じることがあれば、それを使うのが当たり前という先入観を疑ってみると良いかもしれません。念のため、急に物を捨ててしまうのではなく、試験的に使わない期間を設けて様子をみるのも良いでしょう。

キッチンを自分にとって心地よい場所へ

家の中でも過ごす時間が長いキッチン。ここの動線の無駄を減らせると、毎日行う料理や洗い物が一層楽になり、時間にも余裕ができて心地よい場所に変化してくれます。
キッチンは本来「創造的な場所」です。環境を見直して家族の笑顔が増える料理を作れる場所になると良いですね。

門傳奈々(もんでん・なな)

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ライフオーガナイザー®、整理収納アドバイザー1級。夫と3人の子どもがいる5人家族。夫の転勤に伴い、中東、インドなどで海外生活を送った後、日本に帰国。「片づけが苦手」だった自分の経験を生かし、だれでも簡単に整理できる収納方法を提案するため、個人宅を訪問しお片づけのお手伝いをしたり、お片づけ講座、お片づけお悩みシェア会などを開催。