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2020.03.23

コロナで休業「会社員」は結局いくらもらえるか|「休暇取得」の支援金、フリーランスも対象に

東洋経済オンライン

新型コロナウイルス感染防止のため、仕事が休みとなった場合給与はどうなるのでしょうか? (写真:Fast&Slow/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/337626?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

新型コロナウイルス感染防止のため、仕事が休みとなった場合給与はどうなるのでしょうか? (写真:Fast&Slow/PIXTA)

新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、多くの企業で自宅待機や在宅勤務などの対策が取られています。通勤ラッシュに巻き込まれずに済むのはよいですが、業種・職種によっては、在宅での勤務が難しい場合もあり、仕事が休みとなった場合、「給与はどうなるか」と考えるのは自然なことではないでしょうか。

会社が従業員に自らの年次有給休暇を使い、事態が収束するまでの一定期間、積極的に休むことを「推奨」している場合があります。こうしたケースでは、休むかどうかの判断は従業員に委ねられているので、出社する必要があれば出勤するし、休んだとしても、有給休暇のため、給与は通常どおりに支払われます。また、年次有給休暇であれば、休む理由は何でも構いません。

「休んでほしい」と要請された場合

一方、会社から「休んでほしい」と要請された場合はどうでしょうか? 「要請」とは、「強く願い求めること」なので、命令ではありません。しかし、実質的に休むかどうか判断の余地は一切なく、休業を余儀なくされるケースも考えられます。



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あるいは、従業員が通っていたスポーツジムや食事をしたレストランなどで新型コロナウイルスの陽性反応者が出たような場合はどうでしょうか。従業員本人は陰性で健康状態も良好であったとしても、その事実を知った会社から一定期間、出勤停止を命じられるようなケースも考えられます。

このように、本人は働ける状態であるにもかかわらず、感染拡大を防ぐためなど安全措置を講じるためであっても、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、会社が従業員に「休業手当」を支払う必要があります。新型コロナウイルスに感染の疑いがあって休業させる場合も同様です。

なお、新型コロナウイルスの感染が明らかとなって、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないため、休業手当の支払い義務は会社にありません。

感染拡大防止のために仕事を休む場合であっても、休業手当がもらえるとなると安心感はあります。中には、給与の全額が補償されると思っている方も少なくありません。しかし、必ずしもそういうわけではなく、企業ごとにルールが異なるため、注意が必要です。

労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。

ここでポイントとなるのは、100分の60「以上」ということ。つまり、会社によっては60以上から100までの幅があるわけです。これは、就業規則で休業手当の支払い時にどう取り扱われるか、規定を確認すればわかります。

ただ、今回のような状況にあって、通常は平均賃金の60%であるが、新型コロナウイルスに関する休業は通常どおり全額支給の取り扱いが行われる可能性もあります。あるいは、臨時的に特別有給休暇を設けて、対応する企業もあるでしょう。

平均賃金の算出方法

では、休業手当を平均賃金の60%とする場合、休業1日あたりいくらもらえることになるでしょうか。ここでいう「平均賃金」とは、算定事由の発生した日以前3カ月間に支払われた給与の総額を、その期間の総日数(歴日数)で除した金額をいいます(労働基準法第12条)。

原則として起算日は、直前の給与締日となります。例えば、給与締日が毎月末日で、3月2日から休業となる場合、2月から前年12月分の給与総額(ボーナスを除く)を総日数で除します。毎月の給与が35万円だった場合、平均賃金は1万1538円46銭となります。

給与締切日:毎月末日

平均賃金算定事由発生日:3月2日

2月分(2月1日~2月29日)

基本給30万円 業務手当3万円 通勤手当2万:計35万円

1月分(1月1日~1月31日)

基本給30万円 業務手当3万円 通勤手当2万:計35万円

12月(12月1日~12月31日)

基本給30万円 業務手当3万円 通勤手当2万:計35万円

平均賃金

=(35万円+35万円+35万円)÷(29日+31日+31日)≒1万1538円46銭

この例で、3月2日から6日までの休業手当が支払われる場合、5日分で3万4615円(円未満端数は四捨五入)となります。

給与の全額が補償されると思っている場合に、休業手当が平均賃金の60%だとすると、意外と大きな差が出ることになって、驚かれる人もいるかもしれません。「金額が間違っているのでは!?」と思ってしまう場合は、冷静に計算をしてみましょう。

なお、こうした休業手当は、パートやアルバイト等の非正規社員も当然対象となります。時間給や日給、出来高給制の場合、上述の原則的な計算方法では金額が低くなってしまう場合もあるかもしれません。そこで、算定事由の発生した日以前3カ月間に、支払われた給与総額をその期間の「労働日数」で除した金額の60%が最低保障となります。

新型コロナの感染拡大防止策として、小学校などの臨時休校により、保護者である従業員が会社を休業した場合に、契約社員やパートなどの非正規社員を含め、労働基準法の年次有給休暇とは別に、有給の休暇(賃金全額支給のもの)を取得させた企業に対して、助成金制度が急遽創設されることになりました。

ここで対象となる学校とは、小学校をはじめ義務教育学校(前期課程)、特別支援学校(全ての部)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園などをいいます。

この特別休暇は、就業規則の改定による新たな休暇制度の導入を必ずしも求めるものではないので、会社が新型コロナ感染拡大防止のために臨時的な有給休暇を発表するような場合も含まれます。

フリーランスも対象に

対象となる期間は、令和2(2020)年2月27日から3月31日までに取得した有給休暇。大企業・中小企業など企業規模にかかわらず、1日1人当たり8330円が上限となります。新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金が発表されたことで、企業側も法定どおりの休業手当から、全額支給の有給休暇へ対応を切り替えることも想定されます。

フリーランスなどの個人事業主についても、小学校等の臨時休業に伴い、子どもの世話を行うために契約した仕事ができなくなった場合の保護者に、支援金が支給されることになりました。

臨時休業等の開始前に、すでに業務委託契約を締結していて、業務従事や業務の場所・日時等について、発注者からの一定の指定を受けている場合などの要件が設けられています。

対象期間は会社員の場合と同じですが、大きな違いは、支援額が4100円(定額)であるということ。また、労働者を使用する個人事業主は除かれます。

いずれにしも、新型コロナウイルスによって経済活動が冷え込む中、1日も早く事態が収束することを願ってやみません。

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佐佐木 由美子:人事労務コンサルタント/社会保険労務士

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