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2020.04.03

新型コロナウイルス感染後、上気道にウイルス量が最も増えるのはいつ?【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

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新型コロナウイルス感染症は、潜伏期間中も感染力を持つと言います。発症する日を起点にすると、ウイルス量が最も増えるのはいつなのでしょうか。

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにkencom監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、kencom読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、the New England Journal of Medicine誌に、2020年2月19日にウェブ掲載された、新型コロナウイルスSARS-CoV-2)の上気道感染についての、書簡形式の論考です。

▼石原先生のブログはこちら

ウイルス量が最も増えるのは症状が出る前?後?

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ここでは17名の新型コロナウイルス感染症で、発熱などの症状のある患者さんに対して、経時的に鼻腔と咽頭の検体を採取して、その推定されるウイルス量の推移を検証しています。
家族内感染で無症状である患者1名においても、同様の検証を行なっています。

その結果、症状のある患者さんでは、症状出現とほぼ同じ時期には、既に鼻腔や咽頭にウイルスは検出されていて、推定されるウイルス量は、咽頭より鼻腔の方が多くなっていました。

無症状の1名の患者においても、同様の咽頭や鼻腔におけるウイルス量の増加は認められていて、症状のあるなしに関わらず、想定される潜伏期の終わりから、少なくとも5日間は周辺に感染力を持つことが、推測ではありますがほぼ確認されました。

新型コロナウイルスはSARSよりインフルエンザに似ている

症状の有無に関わらず、潜伏期の終わりから5日間以上感染力を持つ

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このウイルスの上気道での検出のパターンは、SARSを引き起こしたコロナウイルスより、インフルエンザに似たパターンであると説明されています。

SARSは症状のない潜伏期には感染力はほぼなく、症状が出現してから早い時期に上気道のウイルス増加は始まって、10日後くらいにピークに達します。
そして血液中でウイルスに対する抗体が増加する14日後くらいになると、ウイルス量も減少します。

一方でインフルエンザは、症状の出現する少し前からウイルスの上気道での増加は始まり、症状の出現時にはほぼピークに達しています。

症状の出た時点で14日間の隔離という、新型コロナウイルス感染症の現時点での対策は、このウイルスがSARSコロナウイルと同様の性質を持っている、ということを前提としていた訳ですが、それは異なっている可能性が高いのです。

厄介なのは無症状の時期にも感染力を持つこと

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現状の問題は今回の新型コロナウイルスが、無症状の時期にも感染力を持っていることで、通常の症状が出現した時点からの対応では、その封じ込めは困難である理由の1つは、この点が原因であるようです。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36