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2020.03.24

「冬のかくれ脱水」に要注意!早期発見セルフチェックと予防法を徹底解説!【冬の脱水症・後編】

kencom公式ライター:森下千佳

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「脱水症」は夏だけのものと思われがちですが、実はピークが2回あり、冬にも起こりやすい病気。ノロウイルスやインフルエンザやなど感染症が心配なこの季節、健康な身体を保つためにも、脱水症になる前の「かくれ脱水」を早く見つけ、早期に対処することが重要です。

今すぐできるセルフチェック法と効果的な予防法を、脱水症の専門家・谷口英喜先生に教えていただきました。

■「冬のかくれ脱水」ってどんな病気?基本を知るならこちらから!

脱水のサインを見逃さないで! 早めのチェックが大事

冬のかくれ脱水セルフチェック

「かくれ脱水」は見た目にはわかりづらく、特徴のある症状はありません。しかし、よく観察してみると普段の生活の中で目安となるポイントがいくつがあります。
身体の声を聞くための手引きとして、セルフチェックを時々行うようにしましょう。

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脱水状態になってしまった時の対処法

チェックリストの症状が1つでも当てはまる場合は、かくれ脱水の傾向があります。脱水の傾向がある方は、本格的な脱水症になる前に脱水予防法を取り入れていきましょう。

まずは水分が飲める状態であれば、水分吸収速度が早い経口補水液をこまめに飲んで安静にしてください。もし、経口補水液が手に入らない場合は一時的にスポーツドリンクを飲んでも良いでしょう。

また、チェックリストの症状に加えてすでに水分が飲めない状態であったり、体調不良も感じられる場合は、すでに脱水症になっている恐れがあります。なるべく早めにかかりつけ医をはじめとした医療機関に相談することをお勧めします。

冬の脱水予防を徹底解説!

本当に正しい水分補給とは?

紹介した冬のかくれ脱水にならないためにはどのような生活をするのが良いのでしょうか。ここでは生活の中でできる予防法についてご紹介します。

■1日に必要な水分摂取量は?

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まずは、水分の摂り方です。
成人なら、1日に飲料水を1.2~1.5L程度飲むのが理想的です。ただし、運動をしてたくさん汗をかいたり、下痢や嘔吐をした場合には、この量に加えてその喪失分を補わなければなりません。

■理想的な水分補給のタイミングは?

次に気をつけるべきは頻度。とにかくこまめに取りましょう!
「のどが渇いた」と感じることがないように、常に水分をとっている状態が理想的です。一度に多量に水分を摂取しても、大部分は吸収されず尿として排出されてしまいます。
生活リズムに合わせて、コップ一杯程度の飲料を1日8回程度に分けて飲みましょう。

どうしても忘れがちな方にお勧めなのは、食事と付随して飲む方法。食事のタイミングでコップに一杯。食間にも一杯ずつ。
さらに、就寝中は水分補給ができないので、朝は脱水状態になっています。寝る前と寝起きには、必ずコップ一杯の水を飲むことを習慣にして欲しいと思います。

■何を飲めば良い?

基本的には、アルコール以外であれば好きな飲み物で良いと思います。温かい飲み物でも、冷たい飲み物でも良いです。
コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料も、日常的にカフェイン摂取している場合には利尿作用への影響は少ないため、水分補給としても有効です。

炭酸飲料は、満腹感が得やすいことと糖分の過剰摂取になりやすいことに注意が必要ですが、十分に水分補給になります。
ミネラルウォーターなどの真水は単独で大量に摂取すると水中毒(希釈性低ナトリウム血症)を起こし、ときに痙攣や意識障害を起こすこともあります。そのため食事をとらないで大量に飲むことは避けましょう。

冒頭に挙げたアルコール飲料は強い利尿作用があるほか、アルコールが体内で分解される際にも水分を消費してしまうため、水分補給には適しません。

水分だけでなく、食事もしっかりと!

脱水症の予防には、水分を取ることだけが重要視されますが、食事をきちんと摂ることも大切です。私たちは毎日の食事からおよそ1Lの水分を摂取していますし、カリウムやカルシウムなど電解質も食事から摂る必要があります。きちんと食事を摂ったうえで、飲料からの水分補給を行いましょう。

■脱水予防にオススメの食べ物は?

夏場ならば夏野菜、冬は冬野菜など栄養価の高い野菜類をたくさん食べましょう。

特に冬場は、具たくさんの鍋がオススメです。水分と一緒に野菜も摂れて、室内の加湿にもなり一石二鳥です。

脱水しない環境づくり

室内の温度と湿度を保つことは大変重要です。
冬は、暖房と加湿器などを使って、室温25度前後、湿度50〜60%を目安に室内環境を整えましょう。

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脱水症対策に!自分で作ってみよう経口補水液

子供が熱を出した!下痢をしている!など、脱水症対策のために、手早く、効率よく水分補給をしたい時にオススメの飲み物が経口補水液。
病院や薬局などでも購入できますが、ご家庭でもほとんど同じものを作る事ができます。

谷口先生直伝!経口補水液の作り方

【材料】
・水・・・1L
・塩・・・3g
・砂糖・・・20g

【作り方】
水(常温・ぬるま湯)に塩をとかし、砂糖を入れてよくかき混ぜる

これなら、簡単にできます。
予防のために飲む飲料水はどんなものでも良いですが、すでに脱水症になってしまった時は、 身体への吸収速度が早い経口補水液が有効です。どうしても、市販の経口補水液が手に入らない場合は参考にしてみてください。

脱水症を起こさないことは、健康への近道

脱水症を起こさないための予防法をたくさん教えていただきましたが、これらはどれも、風邪やインフルエンザ対策にも通じるもの。
「脱水しない事は、健康への近道」と心得て、日頃からの水分摂取と規則正しい生活を心がけましょう!

谷口英喜(たにぐち・ひでき)先生

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済生会横浜市東部病院 患者支援センター長
専門は麻酔・集中治療、経口補水療法、体液管理、臨床栄養、周術期体液・栄養管理など。日本麻酔学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医、TNT-Dメディカルアドバイザー。1991年、福島県立医科大学医学部卒業。学位論文は「経口補水療法を応用した術前体液管理に関する研究」。

筆者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかった、オーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国し、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て、現職。一児の母。

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