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2020.03.07

下剤だけじゃない。こだわりを捨てる快便ライフのコツ【便秘・後編】

kencom公式・ライター:松本まや

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前編では、排便の仕組みや便の形状を観察して状態を知る方法について説明してきました。それでは、実際に便秘を改善するためにはどのようなアプローチが考えられるのでしょうか。便秘を解消し、快便ライフを送るためには「自分に合った排便習慣を見つけていくこと」がカギ。前編に引き続き、大腸・肛門機能の専門医である神山剛一医師に、便秘との向き合い方を教えていただきました。

▼神山先生の便秘に関する記事前編はこちら

便秘の治療はどうするの?

専門外来では、まず記録から

神山剛一先生

神山剛一先生

専門外来に来院した患者さんはまず、最低1週間「排便日誌」をつけることになります。排便日誌では、食べたものや排便の時間、形状を記録。この日誌を見て、便のもとになる食物繊維がどのくらい摂れているのか、薬のタイミングは適切か、などを判断し、少しずつ薬の量やタイミングを調整していきます。

排便の適正は人それぞれ。治療するときも様子を見ながら、ひとりひとりにあった最適な排便習慣をデザインしていきます。

排便する上で重要な便意の検査も

排便トラブルの中には、「便意」に関する異常が含まれる場合もあります。
便意に異常がないかの検査では、直腸にバルーンを入れて少しずつ膨らませ、どのくらいの体積になったら患者が便意を感じるかを調べます。
便秘や宿便の改善のつもりで腸内洗浄を繰り返してしまうと、便意を知らせる直腸の感覚が失われてしまうことがあるので注意が必要です。

排便の状態は直前の生活習慣が大きく影響しています。まずは、ブリストルケールを確認しながら生活習慣の改善を心がけ、それでも好転しない場合には、専門医の受診を検討しましょう。

下剤はどう使えばいい?

下剤の使用はタイミングが肝要

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便秘と向き合う上で、強力な味方となりうるのが「下剤」です。今は市販でも植物由来のものなど種類が選べるようになっていますが、効果が強すぎてかえって軟便になってしまった経験を持つ人もいるかと思います。
そんな下剤を正しく使うためには、下剤の仕組みをよく理解し、客観的な指標に基づいて薬を調整していくことがとても大切です。

下剤には種類がありますが、どれも何らかの作用によって、腸の通過時間を早めることで排便を促しています。そのため正しく使用すれば、腸の機能低下による「通過時間遅延型便秘」には効果が期待できるのです。一方で、「排出困難型便秘」の場合には異なるアプローチが必要な場合があります。

また勘違いしてはいけないのが、「下剤は便のもとにはならない」ということ。
繰り返しになりますが、便が十分にたまった状態が排便のタイミング。便が十分にたまっていない状態で下剤を使ってしまうと、液状の便が出てしまうことがあります。
便が緩ければ頻度を下げ、まだ固いようだったら量を増やしたり、頻度を高めたり。下剤を使いながら、便の形状をよく観察し、「バナナ便」に近づけるよう、量や頻度を少しずつ調整するようにしましょう。

生活習慣によって、便秘を改善するには?

ライフステージによって排便の状態は変わる

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2016年度の国民生活基礎調査結果によると、便秘を訴える人の割合は20~60代では女性が男性を大きく上回るものの、その差は高齢になれば縮まる傾向にあります。さらに80代では、女性でも20~40代の倍以上の割合という結果が出ています。

背景には、便秘以外の病気を患いやすくなることや、筋肉量の落ち込みなどが関係していると考えられています。このように、同じ人でも人生のステージによって、排便の状態は変わることがあります。

まずは目指すべきゴールを確認しよう

便秘の改善を目指す上で大切なのは、
①本当に便秘なのか知ること
②「すっきりの幻想」に惑わされすぎず、バナナ便を目指すこと
です。

便の状態は直前の生活を反映しています。
まずブリストルケールで、自分の便の状態を確認。それから自らの生活に原因はないか、「前日までどのようなものを食べていたか?」「疲れは溜まっていないか?」「お酒は飲みすぎていなかったか?」などと振り返ってみましょう。影響していそうな要因が見つかったら、まずは少しずつ改善していき、どのように便の状態が変化するか観察してください。

「毎日出すこと」にこだわりすぎず、するするとバナナ便が出せる状態を目指していきましょう。

大切なのは健康的なライフスタイル

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排便の状態を改善するためのポイントは、「食事・睡眠・運動」です。何かひとつのことを意識しすぎるよりも、おすすめは全般に健康な生活習慣を目指すこと。偏った食事や睡眠不足の生活では、他のことをせっせと頑張っても、改善はなかなか期待できません。

便秘に効くのはどんな食事?

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スムージーや青汁、朝バナナ生活。便秘改善のために色々と試してきた人も多いのではないでしょうか。
「これだけ食べれば便秘が治る」ような魔法の食べ物は存在しないと思ってください。便秘改善のためにスムージーを飲み続けた結果、かえって軟便になりすぎて困ってしまう人もいます。

意識すべきはバランスの取れた食生活。地中海料理や、野菜の多い和食もおすすめです。便秘がひどい場合にはバランスを意識しつつ、過度にならない範囲で便を作る食物繊維が含まれている食品や発酵食品を増やしてみましょう。

運動は何でもいいので続けられることを。インナーマッスルを意識して鍛えるのも効果的です。

リラックスできる環境づくりを

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過度なストレスや自律神経の乱れも排便に影響すると考えられています。お腹を温めたり、やさしくマッサージしてみたりと、自分なりにストレスを軽減する方法を探すことも大切です。

排便に関しても同じ。「出さなきゃいけない」と力が入りすぎてしまうと、出るものも出なくなってしまいます。一度ぎゅっと全身の力を入れてからふっと緩めると、身体の力が抜けやすくなりますよ。

まずはブリストルケールを使った便の観察からはじめ、自分に合った快便ライフに生活習慣を改善していきましょう。

神山 剛一(かみやま・ごういち)先生

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医学博士。医療法人社団俊和会寺田病院外科・胃腸科・肛門科医師。同日暮里健診プラザ予防医学管理センター副センタ―長。1992年昭和大学医学部卒業。昭和大学講師、高野会くるめ病院排泄リハビリステーションセンターセンター長、亀田京橋クリニック診察部長などを経て現職。日本外科学会専門医。日本消化器外科学会、日本大腸肛門病学会、日本老年泌尿器科学会会員など。

著者プロフィール

■松本まや(まつもと・まや)
フリージャーナリスト。2016年から共同通信社で記者として活躍。社会記事を中心に、地方の政治や経済を取材。2018年よりフリーに転身し、医療記事などを執筆中。

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