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2020.01.24

いつも足が痛い人がやりがちな靴のNGな選び方|「靴底・中敷き」からわかる歩き方の悪いクセ

東洋経済オンライン

自分の足に合った靴を選べていますか?(写真:Graphs/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/321535?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

自分の足に合った靴を選べていますか?(写真:Graphs/PIXTA)

シニアになっても自分の好きなときに好きなところへ行ける。心も体も寝たきりにならないためには、まずは自分の足を知り、足をいたわるところからスタートしましょう。毎日が、どんな状況にあろうと、私の体を支えてくれる足。その足がどれほどの仕事をしているかをご理解いただければ、きっとみなさんもいたわりの気持ちを持たれることでしょう。拙著『転ばぬ先の"足"』の一部内容を抜粋しお伝えします。

仮に体重が50kgとしましょう。立っているとき、この体重はすべて足に加わっています。それだけではありません。足は同じだけの重さで地面から押し返されています。これを「床反力(ゆかはんりょく)」と言います。さらに「歩く」とは、今いる場所から別の場所への移動です。移動とは、速度を加えるということ。速度とは、パワーです。

歩くと、ただ立っているときよりも、足への荷重は増します。その力の量は、どのくらいなのでしょうか。アメリカのペドーシスト(足装具士)が集まる協会が調査したデータによると、ゆっくりと歩行した場合で、足に加わる重さは、体重の20%増。体重が50kgの人が、ゆっくり歩くと、足には60kgの重さが掛かるのです。

靴が教えてくれること

かかとが、こんなに減っている! 靴の中が黒くなってしまった……。慌てて修理屋さんに走ったり、雑巾でゴシゴシと靴の中を拭いたり。そのような経験をされていると思います。実は、この減りや汚れが、あなたの足の全体像を見るための道標です。

毎日、履いて歩いている靴は、あなたのアーチ(ドーム状になっている足の骨の構造で、これがバネのように機能し、歩行を助けます)の状態だけでなく、どのように歩いているかも映しているのです。とくによく映しているのが、底、甲、それに靴の中に敷いてある「中敷」です。では、みなさんの靴から何が読み取れるのでしょうか。

■靴底からわかること

まず、地面と接している靴底です。

①かかとの外側が極端に減っている

正常歩行でも、かかとのやや外側が減りますが、極端に外側が減るのは、足首が外側に傾いた状態で着地していることを示しています。原因は、アーチの機能が低下し、かかとの中央で着地できなくなっているからです。また、ハイ・アーチ気味で、歩くときに足が外側に倒れている場合も、こんな減り方になります。

②かかとの内側が減っている

これも、アーチ機能の低下が原因です。低下によって、かかとの正常位置で着地できず、足が内側に倒れ込み、その結果、かかとの内側での着地になり、かかとの内側が減るのです。

■靴の甲からわかること

足や歩行の状態は、靴の甲の変形としても現れます。

③小指のところが出っ張っている

小指が当たって痛い。我慢して履き続けていると、やがて出っ張るように靴が変形し、なんとも不格好な形になってしまう。それが、この状態です。

靴の幅が狭いからと、大半の方がお思いでしょうが、違います。原因は、歩くたびに足が外側に流れていることにあります。したがって幅の広い靴に変えても、小指が当たることや痛みは解消されません。むしろ靴の中に隙間がより生じるので、靴の中での足のブレが大きくなり、痛みを助長するかもしれません。

靴が笑う?

④履き口が内側に開いている

靴の専門家たちは、この状態を「靴が笑う」と言います。大きな口を開けて笑っているようだ、というところからきています。靴の設計に問題があると、履き口が笑うことがあります。しかしどんな靴を履いても笑ってしまう場合の原因は、足が内側に倒れることにあります。

倒れる原因は、やはりアーチ機能の低下です。アーチが体重を支えられなくなり、押しつぶされ、その結果、かかとの骨が外を向いてしまい、それに伴い甲が内側に倒れ込むのです。

紐やベルトなどの留め具が付いておらず、履き口の浅い靴ほど、顕著に現れます。

■中敷からわかること

最後に靴の中の底部に敷いてある中敷です。中敷の特定の部分が黒く汚れる、すり減るという形で現れます。中敷は足の裏と直に接しているので、歩くたびにフットプリントを採っているようなもの。足や歩行の状態を知る最適なツールといえます。

取り外せるタイプの中敷なら、手に取って状態が見られます。糊で貼り付けられているタイプなら、のぞき込んで見るもよし。靴の中に手を入れ中敷を触り、手の感覚で沈み込みをチェックするのもよいでしょう。

⑤指全体の付け根あたりが黒くなっている

黒くなるのは、その部分に圧がかかっているからです。圧が大きければ、より黒く、小さければ、薄い色になります。これは、中敷のどの部分でも変わりません。また中敷の色が黒い場合、黒ずみは見えにくいので、沈み込みや擦れ具合でチェックします。圧が強くかかるほど、深く沈み込み、擦れは強く出ます。

指の付け根あたりの黒ずみは、「横アーチ」が低下、もしくは消失していることを示しています。低下が進んでいるほど、濃い黒になります。中敷がこのような状態の場合、足の裏をご覧ください。人差し指(足では第2趾と言います)と中指(第3趾)付け根から1~2cmかかと寄りのあたり、タコや魚の目が見られます。

⑥親指の付け根が黒くなっている

親指の付け根は、歩くときに最も力が加わるポイントの1つ。したがってどんな足の方でも多少は黒ずみます。しかし外反母趾の方は、真っ黒になります。これは、外反母趾が、アーチ機能の低下や歩行の乱れによって親指の付け根に過度に力が加わることによって引き起こされていることを示しています。ここの黒ずみが濃かったら、要注意です。

⑦爪先がすり減っている

中敷の爪先辺りには、指の跡がついているのが普通ですが、黒ずむどころか、先端がすり減ってしまっている方がいらっしゃいます。これは、かかとの着地力が弱いためにアーチの機能が使えず、指の力だけで歩いている証拠。足の各所に痛みが発生している可能性大です。

⑧小指付近のフチが黒ずんでいる

歩くとき、足が外側に極端に流れていると、この部分が黒ずみます。靴の中で足の小指周辺が、甲のサイドに押し付けられることも示しており、小指に痛みを感じているはずです。

⑨かかとの両サイドが黒ずんだり、つぶれている

かかとが小さいために、着地したときに、靴の中でかかとが安定せず、外側へ、内側へとブレ、ローリング現象を起こしているのが原因です。取り外しの可能なタイプで、かかと部分がカップのようになった立体型の中敷では、かかと部のフチが完全に潰れてしまいます。

これら9つのサインは、複合的に現れます。例えば、かかとの外側が減っている(①)と、甲は小指部分が出っ張り(③)、中敷は小指辺りの縁が黒ずむ(⑧)といった具合です。早速、玄関に走り、靴をひっくり返したり、中をのぞき込んだりしていらっしゃるのではありませんか。

しかしいちばんお気づきいただきたいのは、靴の変形や黒ずみの原因が、変形や黒ずんでいるその箇所にあるのではなく、アーチの低下、それに正しく着地できていないことにあることです。原因がわかれば、それを解決する答えが見つかります。私がご提案する解決法は、正しい歩き方を会得することです。

小さい靴を履いている人は多い

さて、数十年、足のことに従事しておりました「フットケアコンフォートセンター」には、足のトラブルを抱えた多くの方がいらっしゃいました。

まず行うのが足の検査。その結果に基づいて痛みの原因などをご説明し、快適歩行への数々のご提案をします。また、いらっしゃる際には、お履きになっている靴をすべてご持参いただいておりました。検査結果と実際に履かれている靴を照らし合わせると、痛みの原因がわかるからです。

そしてご説明は、検査によって明らかになった実際の足のサイズをお教えすることから始めます。

ある日、いらっしゃった女性の足の計測値は、右23・75cm、左23・5cm。ところがご持参の靴は、すべて22・5cm!? 実際の足より1cmも小さな靴を履いていたなんて、足が痛くなかったのかしら!? そう思われるでしょう。しかし、こういう方は決して珍しくありません。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?

この女性に、なぜ、このような小さな靴を履いているのかと伺いました。答えは、「23・0や23・5cmを試したこともあるが、かかとがパカパカして脱げやすい」とひとこと。

この方の足は、細めでした。22・5cmでも履けないことはありません。しかし、この場合の“履ける”は、足が入るという意味。足が入っても、足のサイズよりも小さな靴で歩くと、痛みやトラブルが発生します。洋服なら、ボタンがはじけたり、破れたりしていたことでしょう。

またこの方の足は、かかとが標準より小さめ。かかとがパカパカするのは当然。かかとが脱げそうな状態での歩行は、誰しも好みません。ついつい小さめの靴を購入した気持ちがひしひしと伝わってまいりました。しかし、つらかったのは、足でございます。この方のかかとパカパカへの対処法は、間違っていたのです。

洋服を選ぶ感覚を思い出してください。どんなにデザインが気に入っても、きつい、ダブダブの洋服は買わないはず。靴も同様です。

靴を購入する際に最も大事なのは、足の実際のサイズに合った靴を選ぶこと。それには、まず靴の専門店で足を測ってもらい、自分の足の実際のサイズを知ること。そうすれば、かかとパカパカや痛いなどの不具合の原因が、靴のサイズだけではないことに気づくことができます。

靴売場に行くと、たくさんの靴があります。パンプス1つを取っても、トウのスタイルはピンと尖ったもの、丸いもの、四角いもの、ヒールの高さも3cm程度から10cmはあろうかというものまで、さらにヒールのシルエットもさまざまです。

靴を選ぶときのポイント

足の正しいサイズはわかったし、さあ、選ぶぞ! しばしお待ちください。足に合ったサイズを選んでも、すべてのデザインが選択対象になるわけではありません。足、そして歩くためのウエアとして十分な機能を発揮する靴を選ぶことが大切です。ではどうしたら選べるか。歩くためのウエアとしての靴を選ぶポイントをお教えしましょう。

1.かかとがしっかりした形状かどうか

次に挙げる3カ所(次ページのイラスト参照)を、親指と人差し指で挟んで押して、硬さをチェックしてください。フニャッとしていたら不合格。硬く成型されていることが実感できるものでなければなりません。

① ヒール、あるいは底と甲が接している箇所
② 履き口と①との中間
③ 履き口の際
3カ所すべてをクリアしないと、残念、不合格です。また、かかと部分の深さは人差し指一本程度が望ましいでしょう。

2.甲を包み込み、足をホールドする形状やデザインになっているか

ストラップや紐などの留め具が付いてないパンプスなら、履き口のつまさき寄りが、指の付け根よりも上にあり、甲を深く被っていること。またサイドの深さも重要です。外側の履き口を浅くカットしたデザインもあります。甲の露出部分が増えて、そのほうがエレガントな印象を与えますが、快適に歩くには、好ましくありません。

サイドの両側が同じ深さがベスト。深さのガイドラインは、人差し指の関節2つ。人差し指の付け根を、甲と底が接するラインに合わせ、履き口が2つ目の関節より上のところにあればOKです。

甲や足首にストラップが付いたもの、あるいは紐締め式であれば、ストラップや紐が足を靴に固定してくれるので、履き口の深さにそれほど神経を使う必要はありません。私は、足と靴が一体で動くことを「足靴一体(そっかいったい)」と言っています。

1.かかとがしっかりした形状かどうか、2.甲を包み込み足をホールドする形状やデザインになっているかは、足靴一体を実現するための必須条件。足と靴が一体で動いてこそ、快適歩行が叶います。

歩行に適正なヒールの高さについてお伝えします。一般的に考えると、ヒールは低いほど快適に歩けるとお考えのことでしょう。しかし、違います。適正なヒール高は、3〜4cmです。

アキレス腱は、足首の後ろ側の細くなったところを走っているスジ。ふくらはぎとかかとの骨をつなぎ、かかとを持ち上げる働きをしています。歩行には大事な腱です。丈夫な腱ですが、伸縮性があまりよくないのが特徴です。走る前などに足首を伸ばすストレッチを行いますが、この目的はアキレス腱を伸ばし、運動によるケガやトラブルを防ぐためです。

歩行運動では、爪先で蹴り出すと、ふくらはぎの筋肉が収縮し、これによってアキレス腱は引っ張られて伸び、そのとき、負荷がかかります。スムーズに蹴り出せて、アキレス腱に負荷をかけすぎない適正な高さが、3〜4㎝なのです。

これより高い、7cm以上のハイヒールでは、重心が前に行き、アキレス腱は縮んだままの状態になります。また3cm未満のローヒールでは、重心がかかと寄りになるので、アキレス腱が伸び気味の状態になります。

若い人は、アキレス腱が柔軟。どんなヒール高の靴を履いても対応できますし、縮んで固まった状態が続いても、少し休めば、すぐに柔軟性を取り戻せます。しかしシニアのアキレス腱は、加齢によって柔軟性を失い、対応力が低下しています。そのために蹴り出しがしやすく、負荷をかけすぎない靴を必要としています。

では、3〜4cmを、どのように見極めるか。物差しなど用意せず、ご自分で行える簡単な方法がございます。ヒールの内側に人差し指を入れ、第2関節までに納まる高さなら、おおむね4cm以下でございます。

試着の際の3つのチェックポイント

さて、フィッティングのチェックです。足の実際のサイズに合うサイズ表示を選んでも、製造メーカーやデザインによって大きめ、小さめはよくあることです。表示されたサイズは目安です。実際に合っているのかを、必ずチェックしなければなりません。そのポイントは、次の3点です。

① かかとが安定しているか:パカパカと足のかかとが抜けたりしないか? またかかとに体重が乗っていることが感じられるか?
② 幅が合っているか:親指、小指のところがきつくないか
③ 指を動かすことができるか

立ったままでは十分にチェックできません。店内を歩いてみましょう。購入前の歩行チェックは、靴にシワができたりして売り物にならなくなるケースもあるので困る、という靴店もあります。そのときは、立ったままその場で足踏みを15回ほどしてみましょう。この足踏みは、10m歩くことに匹敵します。

試着の段階で不具合を感じたら、その箇所を微調整してもらいます。信頼できる靴店であれば、販売員の方は、微調整の技術をお持ちです。遠慮せず、不具合の箇所をしっかり伝え、調整してもらいましょう。


『転ばぬ先の"足"』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

10年以上前から靴店にはアーチパッドやカウンターパッドなど、微調整に必要なパッド類がたくさん用意されております。たとえば最近、よく見かけるようになっているものに、シューベルトがございます。フィッティング調整のパッドとは違いますが、活用価値はあります。

かかとがパカパカする靴をお持ちなら、輪ゴムを2本用意し、左右どちらでもいいので片方に輪ゴムを通し、甲のいちばん高いところ付近にもっていってください。そしてその状態で歩いてください。輪ゴムを付けると、かかとのパカパカが軽減され、足と靴が一体化し軽くなったように感じられることでしょう。

この輪ゴムと同じ効果があるのが、シューベルトです。このようなグッズの活用やパッドによる微調整は、フィッティングの不具合を解消し、「足靴一体」の実現に大いに役立ちます。

記事画像

福岡 宜子:ペドーシスト(足矯正技師)

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