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2020.01.24

医者に「正しく」かかってない人の問題行動|おくすり手帳はなぜ持ち歩くべきなのか

東洋経済オンライン

医療機関の受診時にいちばん大切なことは、患者自身にまつわる情報なのです(写真:syogo/PIXTA)

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医療機関の受診時にいちばん大切なことは、患者自身にまつわる情報なのです(写真:syogo/PIXTA)

誰もが利用する可能性のある、病院の診察室。一見何気ない診察風景の中にも、医療者の視点から見ると「ちょっと待った」と思う患者さんの行動があります。今回はそんな行動の一部をご紹介したいと思います。

「おくすり手帳」はなぜ必要?

医療機関を受診するとき、おくすり手帳をいつも持参しているでしょうか?

薬の名前や種類は複雑で、すべてを正確に把握しておくのは医療者でも難しいことです。とくに高血圧や糖尿病といった生活習慣病の薬は、毎日多くの種類を飲むためサプリのような感覚になってしまい、申告漏れや申告間違いが起こりがちです。「高血圧の薬だけ飲んでいます」と言っていた患者さんが実は糖尿病の薬も飲んでいた、なんてことは珍しくありません。

また「血圧の薬と、心臓の薬です」とざっくばらんに伝える方もいらっしゃいますが、ひとくちに心臓の薬と言ってもその種類は大変多いのです。飲み合わせによっては、重篤な副作用が表れるために処方を変える必要があります。おくすり手帳で薬の情報を把握することは、ご自身の健康を守るために大変重要です。

女性の場合は避妊薬や、月経不順をコントロールする薬を「病気ではないから」と申告しないケースもあります。どんな理由であれ内服しているものは医師に正確に伝えるようにしましょう。そのほか、湿布などの貼り薬や塗り薬、点眼薬なども同様です。

これらの情報を正確に医師に伝えるため、おくすり手帳は普段使うカバンに入れておくなどして、必ず持参するようにしましょう。つねに携帯しておくことは、診察時だけでなく万が一救急搬送された場合にも役立ちます。問診などしなくても一目で内服の状況がわかるため投薬や治療の助けとなり、ご自身の命を守ることにもつながるのです。

過去に受けた手術を、軽い手術だったから大したことがない、もしくは忘れてしまったなどの理由で申告しない方がいらっしゃいます。局所麻酔で行ったもの、開腹手術ではなく内視鏡で行ったもの、ご年配の方が子どもの頃に受けた手術がその代表です。

例えば強い腹痛で受診し、「大きな手術はしていない」と言ったにもかかわらずお腹の診察で手術痕が見つかり、「そういえば若いとき、盲腸(虫垂炎)の手術をした」と初めてわかるケースがあります。

診察で見つかればまだ問題ないのですが、腹腔鏡手術でつくような比較的小さい傷痕は、年齢を重ねるうちにごく薄くなり見落とす可能性があります。頭部の手術も、髪の毛が伸びると隠れて見落とす場合があります。過去に複数回手術をしている場合もあるため、初対面でそのすべてを全身くまなくチェックすることは医療者でも大変難しいのです。

これがなぜ問題になるかというと、診断の妨げとなるからです。本来不必要な検査でコストがかかり、その検査を行ったぶん、正しい診断にたどり着くまでに時間がかかります。先程の具体例でいえば「盲腸の手術はした(虫垂は切除した)」という一言があるだけで、虫垂炎の検査をする必要はほぼなくなります。その結果、ほかの原因疾患に対する検査を行うことができ、早期の治療につながります。

したがって、どんなに小さな手術だと思っても、自己判断せずすべて医師に伝えることが必要です。ご自身では覚えていないほど小さい頃に手術をしている場合もありますので、1度ご家族に確認してから受診するとより確実です。

「すべて正常でした」はNG

健康診断の結果を聞くと、「すべて正常でした」「何も言われませんでした」と言う方がいらっしゃいます。しかし、具体的にどのような項目の血液検査(肝臓の数値、血圧や脂質の数値など)を受けたのか、具体的な数値がいくつだったのかわかりません。

加えて、こうした検査結果はその時その時の数値そのものに限らず、過去の検査と比較した上昇または低下の傾向も重要視されます。一見正常値に収まっていても、前回の健康診断と比較して大きく変動した数値があると、問題となる場合があるのです。

また、体質によって、ある項目が他人より高い方もいらっしゃいます。それが生来のもので健康に影響はないのか、現在の疾患によるものか判断するためにも、実際の検査結果を医師に見せることが重要です。

そのため、健康診断結果の用紙を、保管してあれば数回分持参することが望ましいです。心電図や内視鏡の検査も受けている場合は、あわせて持参しましょう。健康診断の結果には担当医師のコメントが書かれている場合もあり、診断や治療方針決定の参考になります。

いかがでしたか? ご自身やご家族の受診時の行動に当てはまるものはあったでしょうか。気づけば改善自体は簡単なことばかりですので、この機会にご自身の行動を見直し、ご家族と話し合う機会にしていただければ幸いです。

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上原 桃子:医師・産業医

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