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2020.02.01

快適な寝室環境とは?明かり編【快眠ナビ#8】

kencom公式:睡眠改善インストラクター・鈴木麻里子

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寝室環境において重要な要素は温度、湿度、寝具、音、光、空気の6つになります。前回は温度・湿度・寝具についてご紹介しましたが、今回は重要な要素である光。
光と睡眠の関係を知っておくと、寝室環境の改善に大きく役立ちます。

快適な寝室環境を作るために「光」を味方につけよう

「光」が睡眠ホルモン「メラトニン」を左右する

人が眠気を催す作用の1つとして、睡眠ホルモンの「メラトニン」の分泌があります。メラトニンは、脳の松果体というところから分泌されるホルモンで、生体リズムを24時間周期に整える作用があります。
メラトニンはいつも寝る時間の約1〜2時間前から分泌が始まり、効果的な量まで分泌されると自然と眠気が起こります。

このメラトニンがスムーズに分泌されないと眠気は起こりにくくなり、また朝起床時に分泌を止められないと体内時計がうまくリセットできなくなるのです。この分泌を大きく左右するのが光になります。

メラトニンは暗い環境では分泌されやすくなりますが、逆に明るい場所では分泌が抑制されます。分泌が抑制されるのは250から500ルクス程度といわれており、これは一般家庭の室内照明の明るさに相当します。

特に青白い光は要注意。約440-490nmの短波長(青白い)光、いわゆるブルーライトでより抑制されるという研究結果があります。蛍光灯やテレビ、パソコンの画面から出る強い光は分泌を抑制してしまう怖れがあるのです。
眠くないからといって蛍光灯で明るく照らされた部屋でスマートフォンやパソコンをいじりながら時間を潰していても、いっこうに眠くなる気配がないという経験はないでしょうか。むしろそれは眠くならないようにしていたといえます。

一方で、しっかり朝日を浴びるとメラトニンの分泌が抑制されて、身体は覚醒へと向かいます。同時にここで体内時計がリセットされ、また15〜16時間後にメラトニンの分泌が始まります。これを繰り返すことが体内時計のリズムを整えることになり、習慣化することで夜の自然な眠気を引き起こせるようになります。

このリセットに必要な明るさは2,500ルクスから3,000ルクスと言われています。朝日は10,000ルクス、晴れた日の部屋の窓辺が5,000ルクス、蛍光灯の照明を使った明るい事務所が750ルクス程度。朝起きたらカーテンをあけて朝日を浴びましょうといわれるのはこれが理由です。

眠気を妨げない明るさは50ルクス

では、夜メラトニンの分泌にいい明るさはどれくらいでしょうか。研究では分泌を抑制しにくい明るさは50ルクス程度といわれます。明るさのイメージとしては、薄暗く暖色系の夜のバーの照明を思い浮かべるといいでしょう。

急に光を落としたからといって即眠くなるだけの分泌量があるわけではありません。やはり身体の準備が必要。寝室だけでなく、寝る前に過ごす部屋は青白い蛍光灯ではなく、暖色系の暗めの光に切り替えておくといいでしょう。

最近の照明器具の中には、青白い光から暖色系まで調整できるものがあります。日が沈んだら暖色系の照明に切り替え、ゆっくり晩ご飯を楽しんだりできるといいですね。

寝室も、真っ暗よりは月明かりのような、うっすらシルエットが見える程度の暖色系の明かりがおすすめです。もちろん真っ暗なほうが眠れるという方はそれでも構いません。

家電製品やスマートフォンの光にも注意

注意したいのは寝室のデジタル機器です。暗やみの中で、青白いボタンが煌々と輝いていないでしょうか。気になるようならマスキングテープなどを貼って隠してみましょう。多少光を通す程度なら見えなくなって困るということもないはずです。

もちろんパソコンやスマートフォンの利用もおすすめできません。どうしてもベッドの中で電子書籍で読書したいなど、電子機器を使いたいときは、ブルーライトをカットする設定(画面がやや黄色かオレンジ色っぽくなるモード)などを上手に活用し、光による刺激を低減させましょう。

光で目覚める方法もある

寝室には遮光カーテンの利用もおすすめです。日の出が早い時期は、部屋に差し込む光で目が覚めてしまうことがあるからです。目覚め方は自然とはいえ、睡眠時間が確保できないのはもったいない話です。

目覚める時刻の30分前から寝室内を徐々に明るくすることで、すっきりとした目覚めが得られるとの報告もあります。この作用を利用した「光目覚まし時計」も登場しています。起床予定時刻の20〜30分前から徐々に朝日のような照明を点灯させていくことで、自然に起こそうというもの。突然音を鳴らして起こす目覚ましとは異なるため、すっきりとした目覚めが期待できます。

光を味方につけて快適に目覚めよう!

寝室の光環境は一工夫するだけでかなり睡眠の質を改善する可能性があります。特に寝室や居間の明かりを暖色系に調整するだけでも変わってきますのでオススメです。
光を上手にコントロールして、快適な睡眠環境を手にいれましょう。

著者プロフィール

■鈴木麻里子(すずき・まりこ)
ライター、睡眠改善インストラクター。睡眠系の話題に限らず、IT系から家電関連まで幅広いジャンルをカバーする。主な著書に「Facebook仕事便利帳」「iPhone 4 仕事便利帳」(ソフトバンククリエイティブ)など。

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