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2020.02.07

毎日体重を測るだけのダイエットの効果【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

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「〇〇を食べるだけ」「最寄り駅の1つ前で降りて歩く」など、世の中には数々のダイエット法がありますが、最も手軽なのが「体重計に乗るだけ」というダイエット法ではないでしょうか。

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにkencom監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、kencom読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、2015年のJ Acad Nutr Diet誌に掲載された、毎日体重を測定するだけのダイエットの効果を検証した論文です。

▼石原先生のブログはこちら

科学的にも効果が認められている「測るだけダイエット」

ダイエットには様々な方法が考案されていますが、最も簡単かつシンプルで、科学的にもその有効性が確認されているのは、毎日体重を測定するという方法です。

これは体重を測って、それに基づいて何かをする、ということではありません。
単純に体重を決められた時間に測定し、それを記録するというだけです。

しかし、それをするかしないかで、間違いなくその後のダイエットに影響があるのです。

何故そうしたことが起こるのでしょうか?

それはおそらくは、セルフモニタリングの効果だと想定されています。

体重を毎日測ることにより、「自分は太っている」という自覚や、「ああ、昨日食べ過ぎたので太ってしまった」という反省が、「体重を減らすために努力しよう」という自覚や、「今日は食事を減らそう」という目標に繋がり、その積み重ねがダイエット効果をもたらすという想定です。

ただ、これは推測に過ぎず、今回ご紹介する研究以前には、あまりそのメカニズムを検証するようなデータは、存在していなかったのが実際でした。

毎日欠かさず6か月間体重測定をした場合の体重減少効果を検証

そこで今回の研究では、ダイエットに関する臨床試験のデータを二次解析して、アメリカでBMIが25以上の過体重の男女47名に、6か月間毎日体重を測定するよう指示し、毎日体重が測定出来た場合とそうでない場合で、体重減少効果と体重減少に結び付くような生活改善に、どのような違いがあったのかを比較検証しています。

その結果、47名中51%に当たる24名は毎日の体重測定を欠かさず行っていましたが、残りの23名は時々さぼっていました。(回数は週に5.4±1.2日)
ここで毎日測定した人とさぼった人を比較すると、毎日測定した人の方が、半年後の体重は6.1キロ(95%CI:-10.2から-2.1)有意に低下していて、体重減少に結び付く行動を37項目で調査すると、毎日測定した人が17.6±7.6項目を実行していたのに対して、さぼった人は11.2±6.4項目しか実施していませんでした。

具体的には、間食や摂取カロリーを控えること、外食の回数を減らすことなどの項目に、明確な差が認められました。

毎日の体重測定習慣でダイエット成功へ

このように、毎日欠かさず体重を測定するという習慣は、食事量の減少や間食の制限などの行動を介して、体重減少効果をもたらしている可能性が高い、という結果が得られました。

勿論、体重を測るだけでは不十分な部分もありますが、最も簡便なダイエットとしては、毎日欠かさず体重を測定することには、科学的にも一定の有効性があるようです。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36