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2020.01.22

頭皮のにおい、ハリ・コシ不足...今日からできる40代以降の頭皮ケア

ILACY

「何回洗ってもにおいが気になる」「髪にハリがなくて、ヘアスタイルが思いどおりに決まらなくなった」など、毎日のシャンプーや朝の身支度の途中で、ふと頭皮や髪の変化に気づくことがあります。特に、女性ホルモンが減少して男性ホルモンの働きが優位になる更年期以降は、頭皮トラブルに悩まされる方が少なくありません。

そこで今回は、40代以降の女性に多い「頭皮のにおい」と「ハリ・コシ」のお悩みにフォーカスして、東京ミッドタウン皮膚科形成外科ノアージュの上島朋子院長に、効果的な頭皮ケアの方法を教えていただきました。

頭皮のにおいの原因は「過剰な皮脂」

――頭皮のにおいが気になるとき、最初に何をすべきですか?

最初にやっていただきたいのは、セルフチェックです。頭皮のにおいは自分では気づきにくいものですが、中にはわずかな体臭に敏感になっているだけで、第三者はほとんど気にならないというケースもあります。まずは、自分の頭皮が本当ににおっているのか、におっているとすれば、どの程度なのか判断することが大切です。セルフチェックの方法をいくつか挙げておきましょう。

・起き抜けに枕をチェック
寝ているあいだ、ずっと地肌に接触している枕には、においが残りやすいもの。朝起きたらすぐに、枕のにおいを嗅いでみましょう。

・ドライヤーの風を頭皮にあてる
頭皮のにおいが発生している場合、乾いた髪に後頭部からドライヤーの風を吹きつけると、風に乗ってにおいが鼻に届きます。

・頭皮をこすってにおいを嗅ぐ
指の腹で頭皮をこすり、指に残ったにおいを確認します。

・信頼できる人に嗅いでもらう
家族など信頼できる人に頼んで、客観的ににおいの有無を判断してもらいます。

――明らかににおいがあると感じたときのケア方法を教えてください。

そもそも、頭皮のにおいは、頭皮から分泌される皮脂が常在菌で分解されることによって発生します。つまり、過剰な皮脂の分泌がにおいの原因になるということですね。これを踏まえて、対策を4つご紹介します。

1 バランスの良い食生活を心掛ける
食べ物は、頭皮のにおいに大きく関係します。ラーメンや揚げ物などを食べた翌日は、においを強く感じることがあるのではないでしょうか。脂っこい物を食べれば皮脂量が増えますし、ニンニクなどにおいの強い物を食べれば汗に混じってにおい成分が分泌されます。偏った食事をしないことも、頭皮ケアにはとても重要です。

2 シャンプー前にブラッシングをする
シャンプーをする前に、やさしくブラッシングをしましょう。髪の絡まりがほぐれて、においの原因となる皮脂や汚れが浮き、シャンプーで落としやすくなります。

3 正しい方法でシャンプーをする
においが気になると、つい頭皮や髪の毛をごしごし洗ってしまいますが、実は洗いすぎはNG。何度もシャンプーをしたり、強くこすったりして、皮脂を落としすぎないことが大切です。髪を洗うときは、シャンプー剤を手のひらに取って、少しお湯で薄めてからよく泡立て、頭皮から洗い始めましょう。爪を立てず、指の腹で優しく小さな円を描くように洗うと、余分な皮脂だけを落とすことができます。意外と洗い忘れることが多いのが、耳の周り。汚れが残ってにおいを発することが多いので、頭皮といっしょに洗いましょう。

4 炎症があれば病院へ!
頭皮のにおいにかゆみや痛みが伴うときは、炎症を起こしていて、そこに菌がついてにおいを発している可能性があります。かゆみやフケなど、気になる症状があるときは皮膚科を受診してください。

ケアは長期的に、根気よく続けることが大切

――ハリやコシについては、どのようにケアすれば維持することができますか?また、失われたハリやコシを取り戻すことはできるのでしょうか。

きちんとケアをすれば、頭皮の環境を整えて毛髪の状態を改善することができますが、毛髪自体が細くなってしまうと、どうしてもハリやコシを保つのは難しくなってしまいます。髪の老化を完全に止めることはできませんから、毛髪がやせてしまう前にケアするようにしましょう。

育毛剤やアウトバストリートメントなども、正しい使い方をすれば一定の効果はあると思いますが、基本はバランスの良い食事と適度な運動、そして過度な筋緊張を解いてリラックスすることが大切です。特に、首から肩にかけての筋肉である僧帽筋(そうぼうきん)が緊張していると、頭皮に十分な血流が巡らず、髪を育てる細胞の生まれ変わりが滞ってしまいます。

肩こりがある人は、ゆっくり入浴したりマッサージをしたりして、血液の循環を促すようにしましょう。デスクワークなど、肩に力が入る時間が長い方は、仕事中に大きく肩を回すだけでも違うと思いますよ。女性ホルモンが失われていく更年期世代の方は、女性ホルモンに似た働きをし、肌や髪のエイジングケアにも効果を発揮する「エクオール」の摂取もおすすめです。サプリメントで手軽に補うことができます。

――髪に良いといわれる亜鉛や鉄などの栄養素も、意識的にとるべきでしょうか?

毛根に栄養を行き渡らせるために必要な血液を作る鉄と、ケラチンの生成に欠かせない亜鉛は、意識してとっていただきたい栄養素です。ただし、とりすぎには注意が必要。亜鉛を1日50mg以上とり続けると不安やイライラが出やすくなり、100mg以上では脱水、発熱、嘔吐といった症状が発生する場合があります。

亜鉛の摂取量が多すぎると、銅が排出されてしまうなどの作用もあるので、適度な量をとることが大切ですね。あらゆる栄養素に共通することですが、「頭皮にいいから」「肌にいいから」と集中的に摂取するのではなく、バランス良くとることを心掛けてください。

――においもハリ・コシも、長期的にケアをして頭皮を良い状態に保つことが大切ですね。

そうですね。どちらも、ケアをすればすぐに効果が出るというものではありません。更年期は、成長期・退行期・休止期というヘアサイクルに乱れが生じ、休止期が長くなって髪がやせたり薄くなったりしがちです。

においも、ハリ・ツヤの低下もエイジングサインのひとつと受け止めて、ケアを始めるきっかけにしていただくといいですね。日々の生活の中で取り組めるケアを見つけて、将来の髪のためにも、毎日根気良く続けていきましょう。

この記事を監修した人

参照元:https://www.ilacy.jp/tomoko/post_191210.html

参照元:https://www.ilacy.jp/tomoko/post_191210.html

上島 朋子 (かみしま ともこ) 医師

医学博士
専門分野:皮膚科

1992年新潟大学医学部卒業
東邦大学医学部大森病院、栃木県立がんセンター、財団法人鎌倉病院皮膚科部長を経て2016年より東京ミッドタウン皮膚科形成外科ノアージュ勤務、神奈川美容外科クリニックでは10年間非常勤医師として勤務、2018年5月よりノアージュ院長に就任。病理学の研究を経て皮膚科医になった経歴から、「肌」という繊細な臓器をしっかりと見つめ治療・施術を提供することをモットーとする。「肌の健やかな美しさ」にこだわり、疾患の治療から先端美容医療、そして再生医療の研究まで手がける。

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