メニュー

2019.12.16

「ふるさと納税」でトクする人、損する人の差|「お得に節税」は可能なのか

東洋経済オンライン

ふるさと納税の仕組みについて解説します(写真:CORA/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/319522?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

ふるさと納税の仕組みについて解説します(写真:CORA/PIXTA)

昨今、人気のふるさと納税。今年分の締め切りも12月末までと迫っています。でも、焦って活用しても大きなトクにはならなかったり、逆に損をしてしまうことも。 今回は、『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和2年3月16日締切分』(KADOKAWA)よりふるさと納税の仕組みについて解説します。

ふるさと納税の人気の理由

「自己負担2000円で、牛肉、高価なフルーツ、カニなどの特産品が手に入る!」と、人気の高いふるさと納税。「納税」という言葉がついていますが、実際は都道府県・市区町村などの自治体に寄附をするということです。

やり方はカンタン。「ふるさとチョイス」「さとふる」「楽天ふるさと納税」など、さまざまなふるさと納税のサイトから通販商品を買うような感覚でふるさと納税ができるようになっています。

今年は、台風や豪雨などで大きな被害が出ました。返礼品目的だけではなく、ふるさと納税は、被災を受けた自治体に対しても行うことができます。各ふるさと納税サイトでは、専用のページが設けられていますので、利用するとよいでしょう。

ふるさと納税をすると、原則として自己負担分2000円を除いた全額が控除されます。例えば、ふるさと納税を1万円した場合には、自己負担分2000円を除いた8000円を、自分が支払うべき税金から引いてもらえるようになります。さらに、各自治体は、ふるさと納税のお礼として、さまざまな返礼品を用意しています。

つまり①税金が控除されて、②自己負担分2000円で特産品が手に入る、というのがふるさと納税の人気の理由なのです。

なお、2019(令和元)年6月1日以後の寄附から、泉佐野市(大阪府)、小山町(静岡県)、高野町(和歌山県)、みやき町(佐賀県)などの4市町がふるさと納税の対象から外されています。今年は対象にならない自治体があるので、気をつけましょう。

押さえておきたい、ふるさと納税の注意点

このようにお得感のあるふるさと納税ですが、利用にあたってはいくつか注意点があります。

注意点1――ふるさと納税をしてもメリットのないケースがある

1つ目は、ふるさと納税をしても、メリットのないケースがあることです。ふるさと納税の恩恵を受けるためには、支払うべき税金のあることが前提になっています。自分の税金が「0」なら、そもそもふるさと納税のメリット分を税金から控除してもらうことができません。ふるさと納税をしても、必ず恩恵を受けられるわけではなく、恩恵は自分が支払う税金の範囲内になることに注意しましょう。

注意点2――寄附しすぎると自己負担額がどんどん増えていくこともある

2つ目は、ふるさと納税がある一定額を超えると、自己負担額が2000円を超えて増えていくことです。例えば、納税する方の年収が400万円で夫婦(ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケース)の2人世帯であれば、3万3000円を超えて寄附をすると、自己負担額がどんどん増えていきます。

この一定額は、扶養している家族の人数や所得によって異なるため、一概にいくらということは言えませんが、その目安は、総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」や各ふるさと納税サイトなどで確認することができます。

注意点3――ワンストップ特例の申請か確定申告が必要になる

3つ目は、ふるさと納税をしただけでは、メリットは得られないということです。ふるさと納税をしたあとで、必ず「ワンストップ特例」の申請をするか、確定申告をする必要があります。


『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和2年3月16日締切分』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ワンストップ特例とは、ふるさと納税をした自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出すると、確定申告をしなくてすむようになるという制度です。住所・氏名、マイナンバーなどを申請書に書き込んで、マイナンバー関係の証明書類を添えて提出すれば、手続きは完了。

実際は寄附をした際に自治体から申請書と返信用封筒が送ってもらえるなど、申請書の提出方法はシンプルな場合がほとんどです。確定申告をする手間を考えれば、ぜひ利用したい制度といえます。

2019年分の申請書は各自治体宛てに2020年1月10日必着になっていますので、忘れずに送っておきましょう(期限に間に合わなかったときは、確定申告を行います)。

ワンストップ特例が利用できるのは…

ただし、ワンストップ特例を利用できるのは次の場合に限られています。

①ふるさと納税以外で確定申告をする必要がない

ワンストップ特例は、会社勤めの方(給料・パート・アルバイト収入がある給与所得者)または年金所得者で、確定申告をする必要のない方が対象です。

医療費控除や住宅ローン控除などを受ける方、年収が2000万円を超えている方、事業を営んでいる方などは確定申告が必要なため、この特例を利用することはできません。

②ふるさと納税をしているのは5自治体以内

5自治体を超えてふるさと納税を行った場合は、確定申告が必要です。なお、同じ自治体に2回寄附した場合でも1自治体としてカウントされます。

③ワンストップ特例の申請書を提出する

上記①~③の3つの条件を満たして、初めてワンストップ特例が認められます。ワンストップ特例を利用すると、寄附した翌年に始まる住民税から、自己負担分2000円を除いた金額が減額され、会社勤めの方であれば、毎月、給料から引かれる住民税が低くなります。

注意点4――ワンストップ特例は確定申告をすると無効になる

4つ目は、ワンストップ特例を申請していても、確定申告をすると、その申請自体が無効になってしまうことです。確定申告をするときは、必ずふるさと納税の内容を含めるようにしましょう。そうしておかないと、2000円どころか全額自己負担という結果になってしまいます。漏らさないようにしてください。

ふるさと納税の仕組み

最後に、ふるさと納税の仕組みをより押さえておきたい人に向けて、仕組みを簡単にご説明しておきます。

最初に説明したように、ふるさと納税では、1万円を寄附すると、寄附金控除や住民税の税額控除を受けて、自己負担分2000円を引いた8000円を、自分が支払うべき税金から引いてもらえるようになります。

所得税では、図①のように「寄附金控除額」を計算し、住民税では、図②の算式で控除額が計算されます。この算式を見ると、自己負担額2000円という理由やふるさと納税がおトクな理由がおわかりいただけると思います。

しかし、この計算は正直、難しいと思います。そこで、各ふるさと納税の申し込みサービスをしているネットサイトを活用してはいかがでしょうか。

探してみると、「控除金額シミュレーション」のサイトが簡単に出てくるはずです。源泉徴収票を用意すれば、条件を入力するだけで可能な寄附金額が簡単にわかりますので、そちらを利用されるのもいいと思います。

ふるさと納税は、本来自治体への寄附ですので損も得もないはずですが、賢く使えば、メリットの大きいものです。支払う税金のある方は、ぜひ検討してみてください。

(構成:前窪明子)

記事画像

渡辺 義則:公認会計士・税理士

【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します