メニュー

2019.11.21

スーツさえ着ればOKじゃない時代の着こなし術|色や柄、生地を工夫するだけで印象が変わる

東洋経済オンライン

シャツとジャケットの間にカラーニットを挟むだけで存在感が生まれます(写真:筆者提供)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/313869?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

シャツとジャケットの間にカラーニットを挟むだけで存在感が生まれます(写真:筆者提供)

かつてスーツ一辺倒だった時代。ビジネスマンがスーツを着る理由は、「マイナス要素を完全に排除すること」だったといっても過言ではありません。スーツをエレガントに着こなすことが、相手に対する敬意として受け取られていたからです。ところが、ビジネスファッションが多様化した昨今においては、この方針が必ずしも通用しません。

ノーネクタイはもちろん、会社によってはTシャツやスニーカー、ジーンズまで許容されるケースも少なくなく、取引先がカジュアルな格好ならば、スーツ姿が場違いに映ることもありうるからです。

大勢の人がいる交流会で役立つオフィスカジュアル

「清潔感が大切だ」ということは誰もが知るところですが、「清潔感がある人」というだけでは、無味無臭な印象でしかありません。拙著『真似するだけで印象が劇的によくなる 38歳からのビジネスコーデ図鑑』に詳しくはまとめていますが、ビジネスファッションの正解が1つではなく無数にあるからこそ、清潔感と同様に「存在感の工夫」が重視されつつあります。「目的に応じて、着こなしに主張が求められる」ということです。

例えば、人が大勢いる交流会で、相手に自分を印象づけるためには「色のチカラ」を活用します。ジャケットとシャツの間に1枚カラーニットを挟むだけで、相手の記憶に残る「存在感」が生まれます。これは「挿し色」と呼ばれる手法で、色彩心理学の活用です。

スーツにネクタイという画一的なファッションの中で、こうした手法を採ると余計なノイズになってしまいますが、今は「マイナス要素を排除すること」に加え、「プラス要素を加えること」が差をつけるのです。

柄についても、捉え方が変わりつつあります。スーツスタイルでは、柄は最小限に抑えるのが基本でした。スーツの厳粛な雰囲気を醸し出すうえで、強い柄はノイズになると考えられていたからです。柄は「ネクタイなど小さい面積で取り入れる」もしくは、「スーツの織り柄などをうっすらと取り入れる」程度だったのです。

ウインドウペンチェック柄のジャケット(写真:筆者提供)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/313869?page=2

ウインドウペンチェック柄のジャケット(写真:筆者提供)

一方、オフィスカジュアルでは「柄のチカラ」が必要です。世間が柄に貼り付けている「暗黙のイメージ」を、人は受け取るからです。

中世のヨーロッパでは、柄は家紋のような役割と言われていますが、現代では「ストライプ柄」といえばビジネスを連想するのではないでしょうか。また、シャツによく使われる「ギンガムチェック柄」はクリエーティブ・カジュアルな印象です。さらに、ジャケットでよく使われる「ウインドウペンチェック」は知性をイメージする傾向があります。

例えば、セミナー・プレゼンで人前に立つとき、ウインドウペンチェック柄のジャケットを羽織れば、印象に知性が加わります。これは、私が延べ4500人を超えるビジネスマンの買い物に同行し、アドバイスしてきた過程で得た知見です。

商談で役立つオフィスカジュアル

一方、少人数で行われる商談においては、スーツの着こなし同様、挿し色や柄は控え目にします。ただし、黒・紺・グレーなどベーシックなジャケットを選びながらも、「生地の表情」で印象を微調整します。

左から、ダークネイビー・ライトネイビー・グレイッシュネイビー(写真:筆者提供)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/313869?page=2

左から、ダークネイビー・ライトネイビー・グレイッシュネイビー(写真:筆者提供)

同じ紺色であっても「ダークネイビー」「グレイッシュネイビー」「ライトネイビー」というように、ちょっとしたニュアンスで印象は変わります。

スーツでよく見かける厳粛な濃紺にくらべ、グレーがかった紺色は「柔らかい印象」です。また、青みが強い紺色は「アクティブ」に見えます。同じ紺ジャケットであっても、このちょっとした差が印象を微調整してくれるのです。

また、生地の質感も印象に影響を及ぼします。厳粛な雰囲気を醸し出すツルっとしたスーツ生地に比べ、ジャケット生地はザラっとした織りのあるものが多い。同じウール生地であっても、糸の紡ぎ方が違うため表情に違いが生まれます。このザラっとした表情は、親しみやすい印象を醸し出します。

レセプションで役立つオフィスカジュアル

レセプションパーティーにおいても、オフィスカジュアルは活躍します。「平服でお越しください」という文言を招待状で見かけますが、これはドレスコードです。「スーツを着ていれば間違いない」という考えもありますが、ジャケットにスラックスというスタイルは「スマートカジュアル」と呼ばれる平服です。


『真似するだけで印象が劇的によくなる 38歳からのビジネスコーデ図鑑』(日本実業出版社)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

このとき、スーツに見劣りしない華やかさを演出するため、ポケットチーフを挿します。シルク・ウール・リネンのチーフがありますが、季節を問わず、リネン(麻)はフォーマルの象徴です。「スクエア」と呼ばれる挿し方がよく合います。ハンカチのように折りたたみ、ポケットに入るよう長方形にし、胸ポケットから7ミリ~1.2センチ程度チラッと見せる挿し方です。

一方、フランネルジャケットと呼ばれる「秋冬の毛羽立ち生地」にチーフを合わせるときは、同じくウール素材で合わせてみましょう。温かみのある印象に仕上がります。

多様なファッションが許容されてきているからこそ、「スーツさえ着ていればOK」ではなく、顧客や職場に合わせて「スタイル」を変える柔軟性が、これまで以上に求められています。

記事画像

森井 良行:ビジネスマンのためのスタイリスト

【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します