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2019.11.19

転職で「後悔する人」「満足する人」の決定的な差|「昇進」や「成長」が目的の転職には要注意

東洋経済オンライン

転職の理由によっては今の会社にとどまったほうがよい場合があります。慎重になるべき理由とは?(写真:Mills/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/314192?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

転職の理由によっては今の会社にとどまったほうがよい場合があります。慎重になるべき理由とは?(写真:Mills/PIXTA)

最新の総務省『労働力調査』によれば、2018年の転職者(就業者のうち前職があり過去1年間に離職を経験した人)は8年連続で増加し329万人でした。

転職者比率(就業者に占める転職者の割合)は2018年平均で4.9%、年齢別にみると男女共に15〜24歳が最も高く、男性は10.4%、女性は12.2%と、20代前半以前の若手においてはおよそ10人に1人が転職しているという結果です。

もはや転職は珍しくなく、誰もがいつかは考えなくてはならないものとなっています。

なぜ転職は慎重に考えるべきか?

「転職するのが当たり前」になれば、転職時にモノを考えなくなります。転職が珍しいことなら、「なぜそんなことをするのか」と自分で考えますし、人にもきちんと説明しなければなりません。ところが転職が一般化すれば、誰もが「ああ、そう」と思うだけで、詳しい背景を伝えないようになります。

また、もし転職に失敗したとしても、次も転職できる可能性が高ければ、カジュアルな転職を繰り返す危険があります。もちろん人生をやり直せる機会があるのはよいことですが、転職は大変なリスクを背負うもの。本来はもっと慎重になったほうがいいのではないでしょうか。

転職を慎重にすべき理由はいくつかありますが、最もお伝えしたいのが、もう少しだけ我慢して待っていれば、転職をしようとする人が感じていた「壁」が破れたかもしれないということです。

転職者は現状に何らかの「壁」=「キャリアに関する障害物」を感じており、それがなかなか破れないから、自分が動くことで環境を変えようとします。その「壁」とは「昇進」や「給与」「能力開発」「人間関係」などいろいろありますが、とくにこのうち「昇進」と「能力開発」には要注意。なぜならば、転職によってこの2つはリセットされてしまう可能性があるからです。

まず「昇進」について、とくに一般社員から管理職へ役割の変化を伴う昇進について考えます。もしあなたが社内でマネジャーやリーダーなど管理職への昇進が見込まれているなら、できるだけ今の会社にとどまったほうがいいでしょう。

というのも、「3割しか課長になれない時代」と言われるぐらい、今は管理職になりマネジメント経験を積む機会は希少になっているからです。内外で高く評価されるマネジメント経験を捨てるのはもったいない。

しかも、いまだ多くの会社は中途採用者を簡単に管理職に登用しません。スキルは認められても、すぐには信頼されないもの。転職希望者はゼロから信頼を築く必要があり、管理職になるのはしばらく先になってしまうかもしれません。

あなたは「昇進間近」かもしれない

もしあなたが「もっと活躍できる機会を与えてほしい」と思っているとすれば、そろそろ昇進するタイミングである可能性あります。野球に例えるなら、もう次に打順が回ってきていて、すでにネクストバッターズサークルに入っているのに、気づいていないだけかもしれません。

確かめもせずに「会社が自分を評価していない」と思うのではなく、辞めるぐらいの勇気があるのであれば、人事や上司に「私はいつ昇進できるのでしょうか」と聞いてみてはどうでしょうか。プレーヤーと違ってマネジャーになるにはポジションが空かなくてはなりません。評価されていないのか、待たされているだけなのかをきちんと確かめましょう。

次に「能力開発」について考えます。人はどうやって能力を身に付けるのでしょうか。それは「長期間の繰り返し」によってです。どんな能力も一夜のうちに身に付くことはありません。何度も繰り返すことで意識しなくても自動的に処理ができるようになることが「身に付く」ということです。

つまり、もし「繰り返しが多くて仕事に飽きてきた」という感覚が出てきたとすれば、それはその能力がようやく自分のものになる一歩手前なのです。能力が完全に身に付けばあまり意識しなくてもスラスラこなせるために、繰り返しがつらくなくなります。しかし、その前にやめてしまうとせっかくの長い間の努力が水の泡になるのです。

もし転職希望者が「今の仕事に飽きたから新しいことをやりたい」と思っているとすれば、まさに今こそが能力定着のタイミングである可能性もあるということです。これまで頑張ってきた時間の長さに比べれば、あともうほんの少しだけの辛抱で、長く通用する能力が手に入るのです。

ある瞬間「わかった」だけではダメで、定着して再現できるようになるまでやらなければいけません。多くの人はここで我慢できず次に移ってしまうので、1度できたことが再現できないのです。逆に1度自動化するまで定着した能力はなかなか消えません。何年も自転車に乗らなくても、1度覚えた乗り方を忘れる人はほとんどいないでしょう。

転職理由が「人間関係」「給与」でもいい

「昇進間近ではないか」「能力定着間近ではないか」、この2つのチェックポイントで問題がなければ、転職に踏み切っていいと思います。時折、「人間関係」や「給与」を理由に転職したことを後ろめたく感じる人を見かけますが、決して悪いことではありません。

前回記事でも紹介したように、職場の人間関係は、配属先の居心地やパフォーマンスに大きく影響します。相性の悪い上司や同僚と我慢して一緒に仕事をするぐらいなら、相性のいいところで余計なことを考えず伸び伸び頑張るのもよいのではないでしょうか。

また、給与水準は業界や会社の利益率などである程度決まり、個人の努力ではどうしようもないところもあります。ですから、給与への不満がどうしてもあるなら、もっと水準の高い業界や会社への転職もありでしょう。

以上、転職を希望する動機を中心に、その転職はよいのかどうかを考えてきました。一応、よい場合と悪い場合を挙げてはみましたが、究極的には転職はしないに越したことはないと実は思っています。

理由は単純で、今の会社がどうであれ、新しい会社で活躍するのだって結構、難易度が高いことだからです。「隣の芝生は青い」で、よく見えているだけのこともありますし、実際いい会社だったとしても、新しい環境や文化に適応するだけでも大変なことです。それをわかったうえで何らかの理由であえて転職するというなら、それもまたよし、でしょう。

最終的には覚悟の問題かもしれません。それでも、転職はくれぐれも慎重に!

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曽和 利光:人材研究所 社長

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