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2019.11.22

こんな人がなりやすい! 虫歯になる原因、環境を徹底チェック!【虫歯・前編】

kencom公式ライター:森下千佳

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毎日歯を磨いているのに、なぜ多くの方が虫歯になってしまうのでしょうか?

それは「歯の正しいセルフケア方法」と「歯に良い生活習慣」を知らないから。虫歯はセルフケアで予防ができます。一生、自分の歯で美味しい食事を食べられるよう、まずは「虫歯になりやすさチェック」でご自身の虫歯リスクを知ることから初めてみましょう。お話いただいたのは、日本橋あみ歯科院長の堀江幹子先生です。

堀江幹子(ほりえ・みきこ)先生

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日本橋あみ歯科院長
鶴見大学卒業後、同歯科にて勤務。その後都内歯科にて勤務後2014年4月に日本橋あみ歯科を開業し、現在に至る。
歯科の雰囲気が苦手な患者もリラックスして治療を受けられると評判。特に予防歯科に力を入れている。

「そのうち治る」が通じない虫歯の話

虫歯とは歯の病気

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虫歯は、プラーク(歯垢)の中にいる虫歯菌が糖を分解して酸を作り出すことで、歯を溶かしてしまう病気です。プラークとは食べ物の残りカスが歯の表面につき細菌が繁殖したもので、いわば細菌の塊。プラーク1mgのなかにはおよそ300種類、1億個ものの細菌がいると言われています。

食後、口の中は虫歯菌などの働きで歯のカルシウムを溶かし始めます。(脱灰)

ごく表面だけ脱灰が起こった場合や、すぐにプラークが取り除かれた場合は、唾液の中の酸を中和する働きで自然修復(再石灰化)されますが、再石灰化が追いつけないほど脱灰が進むと、虫歯になってしまいます。

虫歯菌は、糖分を餌にしてどんどん増えるため、甘い物をよく食べれば虫歯になりやすくなります。ただ、虫歯の原因はそれだけではなく食事の回数や歯並び、歯みがきの状況、唾液の量など、さまざまな原因によって生じます。

虫歯になりやすい場所は?

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虫歯になりやすい箇所はプラーク(歯垢)がたまりやすい場所や取れにくい場所です。若年者では、「歯と歯の間」「歯の根元」、奥歯のシワや溝などの「歯のくぼみ」があるところ」の3ヵ所。

成人や高齢者ではこの3ヵ所に加えて、以前治療をした「詰め物と歯の隙間」も虫歯になりやすく注意が必要です。また、「歯の根元」も加齢により歯肉が下がり、歯茎に守られていた部分が露出してしまうと虫歯になりやすくなります。歯の根っこの表面はエナメル質よりも酸に溶けやすい象牙質でできているためです。

どんな人がなりやすい? 虫歯になりやすさセルフチェック

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・歯並びが悪い

歯並びが悪いと、歯が磨きづらく虫歯になりやすくなります。歯科医院で歯並びにあった磨き方や、歯ブラシの選び方などの指導を受けることをお勧めします。また、矯正を相談してみるのも良いでしょう。

・口の中が乾きやすい

再石灰化をしたり、殺菌作用のある唾液が不足しているため、虫歯菌が住みつきやすくなります。口呼吸をしている方や、高齢者などで複数の種類の薬を使用している場合、副作用で口の中が渇くことが少なくありません。

・お菓子やジュースなど甘いモノをよく口にする

虫歯菌は糖分を餌にして増殖するため、甘いものを食べる人は、虫歯になりやすいのは当然です。健康的なイメージの野菜ジュースや、スポーツドリンクなどの飲み物にも、糖分はたっぷり含まれているので注意が必要です。

・だらだら食べたり、頻繁に間食をする

口の中に糖分が溜まっている時間が長いと、歯にプラークが溜まり、口の中が酸性に傾くので虫歯になるリスクが上がります。特に砂糖入りのアメやガムの間食は、糖分が口の中に溜まる時間が長くなるため、歯にもっとも悪い行為です。

・小さい頃から何度も虫歯治療を経験している

虫歯治療の際に使う金属などは経年劣化するため、時間が経てば詰め物と歯の間に隙間ができ、虫歯になりやすくなります。詰め物の内側に虫歯ができる場合もあるので、気がつきにくく、注意が必要です。

・歯周病がある

歯茎が下がり、歯と歯の隙間が大きくなるため、プラークがたまりがちで、虫歯になりやすくなります。

・長い期間歯科医院に行っていない

虫歯は、歯と歯の間や詰め物の中など見えないところに出来やすく、自分では気がつかないうちに進行してしまう事があります。初期であれば、簡単な治療で済みますが、進行して重度の虫歯になってしまうと歯の大部分を削ったり、最悪は歯を抜かなくてはいけないこともあります。定期的に検診にいくことをお勧めします。

・親知らずがある

親知らずがあると、ブラッシングが難しいためプラークがたまりやすく、手前の歯が虫歯になる事があります。また、生えてくる途中の段階は痛みを伴いやすいため、ブラシを当てるのを避けがちです。親知らずは、早めに抜いてしまう事をお勧めします。

特に大人は要注意!「治した虫歯」の再発

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虫歯の治療では歯を部分的に削って詰め物やかぶせ物をします。それから長い年数がたつと金属などの経年劣化や噛みぐせなどで変形することにより、歯との間にわずかな隙間が出来てしまいます。すると、そこにプラークがたまり、虫歯が再発してしまうことがよくあります。(二次虫歯)

表面からは見え辛いため進行しやすく、初期の段階では自分で発見することは難しいのが特徴です。歯を削っている分、神経に近い場所で再発することが多く、痛みを感じて受診したときには神経が障害されていることも少なくありません。歯の詰め物やかぶせ物には寿命があると心得て、定期的に歯科医院を受診することをお勧めします。

虫歯治療は、削る時代から 早期発見で健康な歯に戻す時代に!

虫歯の治療方法は、削って詰め物をするものと思われていますが、ごく初期であれば、正しい歯磨きで治すことができます。穴が開く前の、エナメル質が少し溶けて白い斑点状になっている状態です。痛みはありません。

この状態で発見できた場合は、フッ素入りの歯磨き剤での正しい歯磨きと、食生活の改善を続けることで、半年程度で健康な歯に戻すことが可能です。フッ素入り歯磨きを使うことで、唾液に含まれるカルシウムを歯に取り入れやすくなり、再石灰化が促せるからです。

一旦歯を削って治すと、虫歯が再発しやすく、将来的に歯を失うリスクも高まります。そうなる前に、早期発見して健康な状態に戻すようにしましょう。そのためにも、定期的な検診と、正しいセルフケアを心掛けて欲しいと思います。

では、どうやってセルフケアをしていけば良いのでしょうか。次の記事では一生健康な歯でいるための「本当に正しい歯のセルフケア方法」を詳しくお伝えします。

■虫歯を防ぐ最高の方法、歯磨きはこうやろう!

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
お茶の水女子大学理学部卒。2000年に東海テレビ放送に入社し、主に報道記者として事件、事故を取材制作。女性ならではの目線で取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。2009年に家族の転勤で、ニューヨークに渡り4年間移住。当時日本ではなかなか手に入らなかったオーガニックのベビー商品、コスメなどを日本に届けるベンチャー起業を立ち上げに関わる。2013年帰国し翌年に女児を出産。2016年より子宮頸がん検診の啓発活動と健康教育を手掛ける一般社団法人の理事を務める。2019年よりフリーのエディターとして、主に女性と子供の健康、子育てに関する取材、発信している。

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