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2019.11.14

脱「代わり映えしない食卓」30品目をかなえる献立づくりのコツ

kencom公式ライター:春川ゆかり

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いろんな食品を食べよう

日々の食事の中に多様な食材を取り入れることは、アメリカ、イギリス、フランスなど多くの先進国や世界的な食事ガイドラインで推奨されています。

しかし、いざ実際に食生活を見直そうと思っても、具体的にどう変えていけばよいかわかりにくいものです。たくさんの食材を上手に取り入れる方法として、どのようなテクニックがあるかを大妻女子大学の小林先生に教えていただきました。

小林実夏(こばやし・みなつ)先生

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大妻女子大学・大妻女子大学大学院教授。栄養疫学・健康科学・公衆栄養学を専門とし、食事評価法について多角的に研究を行う。また、食習慣や生活習慣が及ぼす健康への影響について調べるべく世界各国でフィールドワークを実施。

摂取する食品数と死亡率に関係あり

「食品数」と「死亡リスク」。一見、相関関係があるようには見えづらいですが、日常的に多くの食材を摂取する人の全死亡リスクが低下することが、大規模調査によって明らかになっています。この傾向は、特に女性に顕著に見られ、食品別では摂取する大豆製品の種類が多いほど死亡リスクが低下することもわかりました。

一方、男性は喫煙・アルコールといった副次的要因が大きく、食事と死亡率との関連性が見えづらい結果となりました。食品別では、さまざまな果物を摂取することで全死亡リスクが下がりやすい傾向が見られました。

このように、男女別で結果に偏りが見られたり、相性のよい食べ物が異なったりと差異はあるものの、多様な食材を摂取することと死亡リスクには相関があると考えられています。

多品目の食品を摂るための5つのコツ

一日に摂るべき品目数について、現在の日本の食生活指針では「主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」となっていて、明確な記載はありません。また、諸外国のガイドラインでも明確に品目数が設定されていないことが多いです。

このように明確な品目数の定めはないものの、偏りなくバランスの良い食事を前提に、1985年に当時の厚生省が策定した『健康づくりのための食生活指針』で掲げていた「1日30品目」を目安として意識してみるのも良いでしょう。
数字として見ると多いように思えますが、日常のちょっとした工夫で多種目多品目の食事に近づくことができますよ。食品を多く取るためのポイントをご紹介します。

コツ1:スーパーマーケットに行こう

近年では通販や宅配から食品や食事を手軽に頼めるようになりましたが、あえてスーパーマーケットに足を運んでみましょう。普段は手に取らない食材も目に入るので、多種目多品目の食卓を目指すにはうってつけです。

実際に生の野菜や果物を目で見て、手にとってみることで選ぶ楽しさが生まれたり、それまで食べる機会のなかった食材を食べるきっかけになったりもしますよ。食品の栄養素を細かく調べる必要はないので、旬の野菜やフルーツ・自分の気になった食品を購入してみましょう。

コツ2:毎日の食事の品目を数えてみよう

多種目多品目の食事の目安としてお伝えした「30品目」。

その数字だけを見ると食生活に取り入れるには難しく感じるかもしれませんが、まずは現在の食生活で何品目とっているかを知り、目安との差を確かめることで、朝昼晩とどのように食品を足せばよいか考えやすくなります。

「絶対に30品目を摂らないとだめ!」と義務のように思うのではなく、万歩計で歩数を図るような気持ちで「今日はどれくらいの食品を食べられたかな?」と数えてみるところから始めてみましょう。

コツ3:ズボラでもOK。お惣菜やコンビニサラダ、缶詰を活用しよう

日々の食卓は、必ずしも手作りでなければいけないということはありません。

もし、多種目多品目の食事を意識するあまり、料理にこれまでの何倍もの時間をかけてしまったり、料理を作ることそのものが楽しめなくなったりするなら、お惣菜や缶詰などを上手に取り入れてみましょう。

化学調味料や添加物を気にしすぎるよりも、手軽に品目を増やせる工夫をする方が多品目の食事を長く続ける上で大切です。

コツ4:一人での食事はなるべくしない。みんなで食べよう

一人でご飯を食べるとき、「自分一人だし、ご飯は何でもいいか…」とつい手を抜きがちになってしまう人もいるのではないでしょうか?一人きりでの食事「孤食」は、自分の好きなものばかり食べてしまい食材も栄養も偏りがちになるだけでなく、会話がない時間を多く過ごしてしまうことで、協調性が育まれにくいといった側面も。

せっかく献立や栄養バランスを考えて作った料理だからこそ、コミュニケーションが弾むよう家族や友人と食卓を囲むとよいでしょう。

平日は忙しくて時間がない人は、休日だけでも誰かと一緒に食事をしたり、ホームパーティーを開いてみたりすることもおすすめです!

コツ5:カロリー・食塩の摂りすぎに気を付けて

多種目多品目の食事を心がけることは大切ですが、おかずの数が増えることで、自然と過度なカロリー摂取や食塩の摂りすぎにつながってしまう場合も少なくありません。

濃い味や塩気の効いた味付けが好みでも、なるべく同じ調味料は使わずに、食事の中にさまざまな味付けがあるとよいでしょう。調味料の偏りが防げることはもちろん、味付けに工夫を凝らすことで料理の幅が広がりますよ。香辛料やスパイスでアレンジしてみるのもいいですね。

脱「代わり映えしない食卓」で多品目の食生活

多種目多品目の食事は健康によいだけでなく、多品目の食品を揃えることで食卓が彩り豊かになります。家族から「また同じおかず?」と言われがちな方ほど、いろんな食材を使うことを意識すると、いつもの食卓にも変化を出しやすくなるでしょう。

多品目の食事をあまり意識してこなかった人にとっては難しく感じるかもしれませんが、食品を数えたり、スーパーで旬の野菜を買ってみたりと、自分が楽しめることから始めてみることが「多種目の食生活」を長く続けるための秘訣です。

献立作りを楽しみながら、脱「代わり映えしない食卓」を目指しましょう。

著者プロフィール

■春川ゆかり(はるかわ・ゆかり)

フリーライター・編集者。大手IT企業にてウェブメディアの広告やマーケティング業に携わる。その後フリーランスのライターとして独立し、住まい・子育て・ヘルスケアなどのジャンルで執筆。

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