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2019.12.11

足の専門医師直伝! 悩みを解決する究極のフットケア&靴の選び方 【足病学・後編】

kencom公式ライター:森下千佳

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日頃の足のケアは全身の健康にとってとても大切なこと。ですが、どうしたらいいのかよくわからないのが実情です。
一生自分の足で歩き続けるための、詳しいフットケア方法と正しい靴の選び方などを「日本初の足の総合病院」下北沢病院院長の菊池守先生に伺いました。

■足と全身の不調に関わりがある?足の基本がわかる記事はこちら

全身の健康を保つ足のケア方法を学ぼう!

足の機能を保つのに必要な3つのポイント

人は歳をとると足の筋力が弱り関節が硬くなります。すると足のアーチが崩れ扁平足が進行するのです。また、老化によって皮膚や脂肪が薄くなると歩くときに痛みが生じますし、血管の老化が動脈硬化を引き起こすこともあります。
こうしたトラブルは、早めの対策をしないとどんどん悪化をしていきます。逆に、足というのは鍛えていけば機能はどんどん回復し、ある程度若返らせるようなこともできるのです。

そのために、必要な要素は以下の3つになります。

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この3つの要素は、次にご紹介する簡単な体操を1日5分続けることで確実に鍛えることができます。

1日5分の体操で、健康な足を取り戻そう!

この体操は、足の腓腹筋やヒラメ筋、足の内在筋など、足の健康には欠かせない筋肉を効率的に鍛え、足裏のアーチを形成する筋肉にアプローチしていくものです。また、加齢とともに硬くなったアキレス腱を柔らかくして、関節可動域を広げる効果もあります。
1日5分の体操です。体操の注意点も載せてありますので、ぜひ、以下の動画を見ながら実践してみてください。

靴の選び方も足の健康には重要

続いて、足を健康に保つための正しい靴選びのポイントをご紹介します。
多くの方が誤解されている部分もありますので、ぜひ要素を生かした靴選びをしてみてください。

①試し履きで、かかとがしっかりホールドされてるかを確認

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足にあったサイズを選ぶことは、靴選びにおいて最も大切なポイントです。
にもかかわらず、ほとんどの方が「私の足は24cmだから……」といった思い込みで、サイズを決めています。そもそも、靴はメーカーの木型によって形がまちまちなので、サイズは目安でしかありません。必ず試しばきをして、足にフィットするものを選びましょう。

その時のコツは、靴を試着して歩いてみたときに甲とかかとの部分がしっかりとホールドされていること。靴の中で、足がずれないこと。つま先部分の遊びは1〜1.5cm程度で、親指を軽く曲げられるサイズが理想的です。

②自分のつま先のタイプで選ぼう

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人のつま先の形は、大きく「エジプト型」と「ギリシャ型」に分類することができます。
日本人に最も多いのが親指が一番長いエジプト型。2番目の指が最も長い足はギリシャ型です。エジプト型の場合は靴の中で親指が内側から押されて変形しがち。親指部分から小指にかけて斜めにカットされている「オブリーク型」の靴がおすすめです。
一方、ギリシャ型はつま先の中央部分が尖っていて左右対称に短くなる「ラウンド型」や「アーモンド型」の靴を選ぶと良いでしょう。まずは自分のつま先がどの形かを知って、形を選ぶことが大切です。

③硬すぎず、柔らかすぎない靴底を選ぶ

一番理想的な靴底はゴム底のスニーカーですが、革靴を選ぶときは、靴底が硬すぎず、柔らかすぎず、足の動きに合わせて柔軟に曲がってくれるものを選びましょう。
硬すぎると、衝撃を十分に吸収することができず、膝や足首に余計な負担がかかってしまいます。逆にぐにゃっと曲がるぐらい柔らかすぎると、足の関節が過度に背屈して痛みの原因になることもあります。

④ハイヒールは4センチ以下で、足がすべらない素材を選ぶ

そもそもハイヒールは非常に足への負担が大きい靴です。どうしても履きたい場合は、少しでも負担の少ない選び方を覚えて欲しいと思います。

まず、ヒールは、太めの物やウェッジソールなど、地面との接触面積が大きいものがおすすめです。高さは、できれば4センチ以下。また、立った時に体の重心がヒールの真上に来ていて、体重がしっかりとヒールにかかるような形のものを選ぶことが大事だと思います。また、靴の中で足がすべらないことも重要です。靴の内側がスウェード生地になっているものや、滑り止めがついているような仕様であること。ストラップがついていればさらに理想的です。

また、皮が伸びて足にフィットしなくなった緩んだ靴や、ヒールが擦り減った靴も、足にとても負担をかけます。定期的な買い替えや、靴のメンテナンスを心がけましょう。

インソールのススメ

崩れてしまったアーチは根本的に治すことはできません。しかし、インソールを使って足の崩れたアーチを正しい形状にサポートすることで、歩行の際の負担を軽減することができます。視力が下がればメガネをかけるのと同様に、足に痛みを感じたりする場合はインソールで足をサポートすることをおすすめします。

足のトラブルがそれほどひどくない場合は、市販のインソールでも良いと思います。なかなか自分ではインソール選びは難しいので、シューフィッターに相談するのが良いでしょう。立ち仕事についている人や足に痛みがある人は、身近な専門医に相談し自分の足に正しくフィットするインソールをオーダーメイドするのが理想的です。

深爪はNG!足の爪のお手入れ方法

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最後に足の爪のケア方法をご紹介します。
実は、手の爪と足の爪では指に対する体重のかかり方が異なるため、爪の整え方も変わります。手の場合は深爪さえしなければ問題ありませんが、足の爪は体重がかかるたびに地面から押されてせり上がります。爪を短く切りすぎていると歩くたびに肉に爪がせり上がり、ひどい場合は炎症を起こしてしまうのです。

これを防ぐためには切り方に一工夫を。足の爪はラウンド状ではなくスクエア型に切るのが正しい切り方です。爪の左右を体重を支えるブリッジとして残したまま、先端だけを直線状にカットしましょう。長さは、指の先端を押さえたときに指の肉が見えない程度に爪を残すのが理想です。
深爪には十分注意しましょう。

正しいケアで毎日の歩きを快適にしよう!

これまで間違った靴の選び方や、爪の切り方をしてきたことに驚いた方も少なくなかったのではないでしょうか。
足は単に歩くための道具ではなく心身の健康全てに直結する大切な部位。1日5分の運動と正しい靴選びを実践して、一生歩ける足を手に入れましょう。

菊池守(きくち・まもる)先生

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日本初の足の専門病院 下北沢病院 院長
大阪大学医学部卒業。国内医療機関に勤務。米国ジョージタウン大学創傷治癒センターに留学し足病学と出会う。帰国後、佐賀大学医学部附属病院形成外科診療准教授を経て現在にいたる。

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
お茶の水女子大学理学部卒。2000年に東海テレビ放送に入社し、主に報道記者として事件、事故を取材制作。女性ならではの目線で取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。2009年に家族の転勤で、ニューヨークに渡り4年間移住。当時日本ではなかなか手に入らなかったオーガニックのベビー商品、コスメなどを日本に届けるベンチャー起業を立ち上げに関わる。2013年帰国し翌年に女児を出産。2016年より子宮頸がん検診の啓発活動と健康教育を手掛ける一般社団法人の理事を務める。2019年よりフリーのエディターとして、主に女性と子供の健康、子育てに関する取材、発信している。