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2019.12.11

足の悩みは足の専門医に! 欧米では当たり前の足病学とは?【足病学・前編】

kencom公式ライター:森下千佳

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足が痛い!!そんな時、あなたはどの病院の扉を叩きますか? タコができたなら皮膚科?関節が痛いなら整形外科? では、足のしびれが取れない時は……?

果たして、どの科にかかるのが良いのか戸惑いますよね。欧米をはじめとした先進国では、足にトラブルがあれば迷わず足科に行くのだそう。日本ではまだ馴染みがない足科について、「日本初の足の総合病院」である下北沢病院院長の菊池守先生に、足病学や最新の足の医療について解説していただきました。

菊池守(きくち・まもる)先生

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日本初の足の専門病院 下北沢病院 院長
大阪大学医学部卒業。国内医療機関に勤務。米国ジョージタウン大学創傷治癒センターに留学し足病学と出会う。帰国後、佐賀大学医学部附属病院形成外科診療准教授を経て現在にいたる。

身体を支える2本の足をしっかり守る「足病学」の考え方

足・脚を専門に見る「足病学」とは

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日本ではあまり知られていませんが、欧米をはじめとした靴をもともと履く習慣のある国には足の専門医学・足病学(Podiatry:ポダイアトリー)という学問があり、足病医(Podiatrist:ポダイアトリスト)という足の専門医がいます。足病医は国家資格で、捻挫などの外傷はもちろん、外反母趾の手術からインソールのオーダーメイドまで、足に起こる様々なトラブルを総合的に手がけているのです。

歯が痛くなったら歯医者、目なら目医者にいくように、足の不調を感じたら迷わず「足病医」の診察を受けるのがスタンダード。アメリカの足病医の数はおよそ17,000人で、歯科医の数に匹敵すると言われています。どれだけ、足病医が身近な存在か想像できますよね。

日本の場合は、足病学が根付いていないため、事情が異なります。
足に怪我をすれば最寄りの整形外科に行くかもしれませんが、ちょっとした巻き爪やタコ、足のむくみくらいでは、わざわざ病院にも行かない方がほとんどではないでしょうか。しかも、症状ごとに科が違うので、「一体どの科を受診すべきか?」わかりにくいですよね。
そういったことから「日本の足病医学は100年遅れている」と言われることがあります。

足は健康の土台

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足が痛くなるとどうしても動くのが億劫になります。足の痛みをかばい続けていると腰や膝にも痛みが出るようになる。すると外出を避けがちになり、ますます運動不足になり、最悪の場合は寝たきりになってしまう。足はこういった負のスパイラルが起こりやすい部位です。

最初は小さな足のトラブルだったはずなのに、もう後戻りできない状態になってから病院を訪れる多くの患者さんを目の当たりにして、日本にも足病学を根付かせる必要性と、足の日常的なケアの啓発の大切さを痛感しています。
人生100年時代と言われる今、寿命がいくら伸びても健康でいる期間が短ければ意味がありませんよね。「人間の健康を支えるもの」まちがいなく、その大きな柱の一つが足です。

日頃の足のケアが、健康寿命を伸ばす!

中之条研究の結果を図化

中之条研究の結果を図化

ここで、足が健康を支えることを証明する研究を紹介しましょう。
群馬県にある中之条町で65歳以上の住民およそ5,000人を対象に、日頃の運動頻度や生活習慣、食生活など健康に関する詳細な調査が15年以上にわたって実施された調査です。
この調査で1日あたり4,000歩歩けばうつ病の予防に、8,000歩歩けば糖尿病や高血圧症などの予防につながるなど、あらためて歩くことの健康効果が具体的なデータで証明されました。

歩行は全身運動なので、身体が鍛えられます。また、様々な風景に触れることで脳の働きを活性化させ、発見や気づきによる刺激が精神のケアに役立ちます。つまり、歩くことは心身の両面に働きかける効果があるのです。
歩行の基本となる足が痛ければ、歩けませんよね? 

日頃の足のケアは、健康寿命を伸ばすことにつながっているのです。

足の悩みは、足の老化のサイン

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あまり認識されていませんが、足にも老化は起こります。
人間の足には、歩くたびに体重の約2〜3倍、走るときは約5倍の負荷が左右それぞれにかかると言われています。歩くたびに足は地面に叩きつけられ、毎日酷使されている部位なのです。

むくみ、巻き爪、タコや魚の目といった、つい軽視されてしまいがちな足のトラブルは、実は「足の老化」のサインかもしれません。暴飲暴食を続けていると内臓が疲弊するように、足の悩みを放置していると自分の足で歩くことができなくなるリスクがあります。

外反母趾、巻き爪、足のしびれ……足の不調はアーチの崩れが原因!

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外反母趾、巻き爪、タコ、魚の目。これらの悩みは一見別の病気に見えますが、原因はどれも同じ。足のアーチの崩れで起こります。

足の裏というのは、本来土踏まずの部分を中心に緩やかなカーブ(アーチ)を描いています。このアーチが綺麗に保たれていると、歩いたり、動いたりするたびに、足全体がたわんで衝撃を吸収し、スムーズに動くための原動力を生み出します。

ところが、老化により関節や筋肉、靭帯が衰え、このアーチが崩れてくると、特定の場所に圧力が集中してしまうため、様々なトラブルが起きるのです。これがいわゆる扁平足です。
座った状態で自分の足裏を見て「土踏まずが凹んでいるから大丈夫」という人も、立ってみるとアーチが崩れてしまう「隠れ扁平(へんぺい)足」の可能性があります。

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今、日本人の約7割が扁平足だと言われています。扁平足になると、地面を蹴る力が正しく伝わらず、歩くときに運動効率が低下します。その結果、ふくらはぎのポンプ機能が適切に働かず、血流が滞り、冷えやむくみやもちろん、全身の代謝が悪くなるなど多くの弊害を生みます。できるだけ早いうちから、足のアーチに注目し、ケアに取り組むことが長く足を健康に保つ秘訣です。

特に女性は、ハイヒールなどの足に負担をかける靴を履く時間が長いことや、もともと筋肉量が少ないこと、また、出産時に靭帯を緩めるホルモンバランスが出る影響で足がゆがみやすいので注意が必要です。

SOSを見逃さない!足のセルフチェック法

自分では気がついていなくても実はすでに足に不調が現れていることもあります。
足からのSOSを見逃さないためにも、まずは下のリストを使って足の健康セルフチェックをしてみましょう!

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いくつ当てはまりましたか?
これらのチェック項目のうち一つでも当てはまる場合は、足のトラブルが潜んでいる可能性があります。特に痛みがないから大丈夫と安心していても、こういったトラブルの原因を放置すると、将来的に足の病気や全身の疾患につながるかもしれません。足は適切なケアをすることによって、いくつになってもある程度は若返らせることができます。

足の健康を保つにはどうしたらいいのか、足病学から考える

意外にも足の衰えのサインが見られた方も多いかもしれません。若いからと油断せずに適切にケアすることが大切になります。
まずは、後編で紹介するフットケアと運動、靴の選び方を実践して、一歩ずつ改善していきましょう!

■足の悩みを解決する究極のフットケア&靴の選び方を学ぼう!

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
お茶の水女子大学理学部卒。2000年に東海テレビ放送に入社し、主に報道記者として事件、事故を取材制作。女性ならではの目線で取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。2009年に家族の転勤で、ニューヨークに渡り4年間移住。当時日本ではなかなか手に入らなかったオーガニックのベビー商品、コスメなどを日本に届けるベンチャー起業を立ち上げに関わる。2013年帰国し翌年に女児を出産。2016年より子宮頸がん検診の啓発活動と健康教育を手掛ける一般社団法人の理事を務める。2019年よりフリーのエディターとして、主に女性と子供の健康、子育てに関する取材、発信している。

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