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2019.10.31

繰り返す腹痛・下痢・便秘 もしかして過敏性腸症候群かも?【過敏性腸症候群・前編】

kencom公式ライター:森下千佳

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「大事な仕事の前になると、いつも便秘」「電車に乗るとお腹が痛くなって、隣の駅でいつも降りてしまう・・・」。こんな経験ありませんか?
日常生活のストレスなどで、お腹の調子が悪くなる「過敏性腸症候群」。若い女性や、働き盛りの男性に多く、日本人の約15%が悩んでいる疾患だと言います。
「第二の脳」とも言われる腸の不調は、ストレスとどう関わっているのか? 治すことができるのか? 過敏性腸症候群の最先端の研究を手がけている慶應義塾大学病院消化器内科専任講師の正岡 建洋(まさおか たつひろ)先生にお話を伺いました。

正岡 建洋(まさおか たつひろ)先生

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1997年 慶應義塾大学医学部卒 慶應義塾大学病院内科での研修の後、慶應義塾大学医学部内科学(消化器)に入局。
関連病院や慶應義塾大学病院救急部を経て、2008年よりベルギー・ルーヴェン大学に研究留学。
2012年より慶應義塾大学医学部内科学(消化器)助教。2016年より同専任講師。専門は上部消化管疾患、機能性消化管疾患。

働き盛りに増えている「過敏性腸症候群」を大解剖!

過敏性腸症候群とはどんな病気?

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検査をしても何も異常がないのに、下痢もしくは便秘といった便通異常とお腹の痛みが慢性的に続く状態を「過敏性腸症候群」と言います。
例えば、「試験の最中にお腹が痛くなって集中できない」「職場に行こうとすると、必ず下痢をしてしまい怖くて電車に乗れない」など、ストレスがかかったときなどに一時的におなかの不調が起こるような状態です。

診断の基準は、そういった状態が1ヵ月に4回以上起き、3ヵ月以上持続していること。どの年代にも起こる不調ですが、特にストレスの多い働き盛りの30代〜40代に多い傾向があります。

男性は下痢、女性は便秘が多い過敏性腸症候群の症状

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過敏性腸症候群は症状別に、下痢型、便秘型、混合型(下痢・便秘)、分類不能の4タイプに分けられます。

下痢型は男性に比較的多く見られる傾向があり、腹痛を伴って急激に便意が起こり、水のような便が排出されます。便秘型は排便回数が週3回以下に減り、強くいきまないと便が出なかったり、出てもうさぎの糞状の小さくコロコロとした硬い便となります。女性に多く見られますが年を増すごとに男女ともに多くなる傾向があります。
混合型は下痢と便秘を繰り返すもので、下痢が「続いて便を出し切ってしまうと、便秘になってしまうという方が多く見られます。

「第二の脳」腸はストレスに弱い!?

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便通異常が起こる原因は一つではなく、運動や、食事などの生活習慣や、生活環境、またストレスなどが複雑に関わって起きています。ストレスと便通異常が関係してるのは、脳と腸が自律神経でつながっていて密接な情報のやり取りを行っているからです。

大腸は胃や小腸で食べ物が消化された後に残る液状物から水分を吸収して便を作る役割をしています。ストレスの影響を受けて腸の動きが悪くなると便が大腸の中に滞ってしまうので、便の水分が吸収され硬くなり便秘が起こります。逆に速くなりすぎると、下痢になります。

ストレスにもさまざまなものがありますが、不安、緊張、周囲への過剰反応、抑うつなどがストレスとなって過敏性腸症候群を起こすケースがよく見られます。なかにはストレスがあることを自覚していないケースもあります。

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腸の炎症や腸内細菌が原因のことも

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過敏性腸症候群の発症では、精神的ストレスのほか腸自体の知覚が過敏になって通常より反応しやすくなっていることも要因の一つとして考えられます。
腸が知覚過敏になる背景には、「腸炎後の炎症」や「腸内細菌バランスの乱れ」が関わっていると考えられています。

▶︎感染症腸炎の後に炎症

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細菌やウイルスに感染して感染性腸炎になると、治療後に下痢などの腸炎の症状が治まったように見えても、腸に軽い炎症が続いていて腸が過敏な状態になっていることがあります。

感染性腸炎の原因菌には、卵が主な感染源となるサルモネラ菌、鶏肉が主な感染源となるカンピロバクター、赤痢菌、ウイルス性腸炎の原因ウイルスの代表格は冬場に生ガキが主な感染源となるノロウイルスです。これらに感染して感染性腸炎を起こしたことがある場合は、治ったあとも過敏性腸症候群を発症しやすいことがわかってきました。

▶︎腸内細菌バランスの乱れ

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腸内には約1000種、100兆個の様々な腸内細菌が生息してて、健康な腸ではこれらの細菌が絶妙なバランスを取りながら腸内環境をよくしていると言われています。

しかし、抗生物質(抗菌薬)などの影響でそのバランスが乱れると、健康に有益な"善玉菌"が減って有害な"悪玉菌"が増え、悪玉菌の毒素によって腸が過敏になってしまうことがあります。

生活の質を下げているなら、消化器内科を受診しよう!

一般に、過敏性腸症候群が命に関わることはありませんが、生活の質を著しく下げる病気といえます。
症状があって生活に支障がある場合は、治療すべきと考えて消化器内科を受診することをお勧めします。

次の記事では、便の悩みをスッキリ解決!過敏性腸症候群の治療法をお伝えします。

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
お茶の水女子大学理学部卒。2000年に東海テレビ放送に入社し、主に報道記者として事件、事故を取材制作。女性ならではの目線で取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。2009年に家族の転勤で、ニューヨークに渡り4年間移住。当時日本ではなかなか手に入らなかったオーガニックのベビー商品、コスメなどを日本に届けるベンチャー起業を立ち上げに関わる。2013年帰国し翌年に女児を出産。2016年より子宮頸がん検診の啓発活動と健康教育を手掛ける一般社団法人の理事を務める。2019年よりフリーのエディターとして、主に女性と子供の健康、子育てに関する取材、発信している。

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