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2019.11.14

「食事はいろんなものを食べるのが良い」は本当だった!死亡率との関係を研究結果から紐解く

kencom公式ライター:春川ゆかり

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日頃の食事で、あなたは毎日何種類の食材を摂っていますか?

「食材の数」を意識している方は少ないかもしれませんが、実は1日あたりの摂取品目数が多いほど死亡率が低くなるという研究結果があります。今回は、多種目・多品目の食事がもたらす影響や、栄養バランスのよい食事を摂る秘訣について、大妻女子大学の小林先生に伺いました。

小林実夏(こばやし・みなつ)先生

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小林実夏(こばやし・みなつ)先生
大妻女子大学・大妻女子大学大学院教授。栄養疫学・健康科学・公衆栄養学を専門とし、食事評価法について多角的に研究を行う。また、食習慣や生活習慣が及ぼす健康への影響について調べるべく世界各国でフィールドワークを実施。

一日にさまざまな食品・食材を食べている女性の死亡率は低い傾向

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「日常的に多種目多品目を摂取する人は、死亡率が低くなる傾向にある」

これは、健康状態に問題のない日本人の男女約8万人を対象に5年間にも及ぶ大規模調査によって明らかにされたものです。男女別では、女性にその傾向が見られ、日常的に数多くの食材を摂取する女性グループと、摂取する食材が少ないグループとでは、全死亡率に19%もの差が生じました。

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特に大豆製品がもたらす影響は大きく、全死亡リスクの低下に深い関与が見られました。大豆は豆腐・納豆をはじめ、豆乳やお味噌など日本人になじみの深い食材。飲料や調味料にも含まれ、おからクッキーなど大豆を使ったお菓子も人気です。食事としてはもちろん、小腹が空いたときにも手軽に摂取できますね。

多種目・多品目を摂っていても、男性の死亡率は変化が見られにくい

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一方、男性の場合は食品の多様性と死亡リスクに相関関係は見られませんでした。「女性と同じように食品を多く摂っているのになぜ?」と疑問に思うかもしれませんが、死亡リスクには食生活以外にも様々な要因が働いていると考えられます。

その要因のひとつとして、男性の場合は食習慣よりも、ストレスやたばこ・アルコールなどの外的影響が大きいことで、食事との関連が見えにくくなった可能性があります。そして、男性の場合は摂取する肉類や魚類の種類が多いほど全死亡リスクが上昇する傾向が見られました。これは、肉や魚の多品目摂取により、動物性タンパク質の摂取量が増えたことが原因のひとつとして考えられます。

なお、男性は多様な果物を摂取することで死亡率の低下につながりやすい傾向が見られました。デザートやおやつがわりに、カットフルーツを取り入れてみてもよいですね。

食生活を改善するコツは?

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上記の研究によって、特に女性において多くの食品・食材を摂取することと死亡率の低下に相関がみられました。
いざ実際に多品目を摂ろうと思うとハードルが高く感じるかもしれませんが、少しの意識で食生活を改善できます。生活にすぐに取り入れられるコツを3つご紹介します。

コツ1:一食の中にいろんな食品を取り入れる意識づくり

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死亡リスクを下げるには、多くの食品・食材をバランスよく食事に取り入れるのが大切。例えば、「スタミナをつけたいから肉だけ」「ダイエットをしているから野菜・果物だけ」と偏った食事ではなく、肉・魚・野菜・果物をまんべんなく食事に盛り込むことが大切です。

「そうはわかってはいても、最初はどう取り入れてよいかわからない…」というときには、スーパーで食材を選ぶときに意識的に旬の食材を選んだり、「昨日とは違う食材を食べよう!」と心がけたりするだけでも、偏りのない多種目・多品目の食事に近付けるでしょう。

コツ2:頑張りすぎない。たまにはお惣菜やコンビニサラダも活用

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女性の社会進出が進み共働き家庭も増えた現代では、3食全てをきちんと手作りすることは容易なことではありませんよね。

多品目食材とバランスに拘り過ぎるあまり、「ご飯を作ること」そのものがストレスになってしまわないように、スーパーのお惣菜やコンビニサラダも上手に取り入れ、頑張りすぎないことも大切。また、必要に応じて野菜ジュースや栄養ドリンクなどを活用するのもおすすめですよ。

添加物を過度に意識したり、「お惣菜は体に悪い!」と決めつけたりせず、さまざまな食材を用いて楽しく食事を取りましょう。

コツ3:塩分の摂りすぎに注意

多品種・多品目の食材を意識すると、自然とおかずの数が増えるので、ひいては味付けの「塩分」が増えてしまいがちになります。日本人好みの味噌や醤油などの調味料は塩分量が高く、その摂取量には注意が必要です。

WHOが定める一日あたりの塩分摂取目標量は、5g。数字で見ると意外と多いように思いますが、現在の日本人の平均塩分摂取量は男性で11.3g、女性で9.6g(2012年時点)とかなりオーバーしています。また、調味料はもちろんスナック菓子やカップラーメンなどは、そのたった一つで目標量ギリギリの塩分が含まれているため、注意が必要です。

塩分は特に腎臓や胃にダメージを与えやすく、胃がんのリスクも高めます。多品目の食事を摂る際は、塩分も意識しましょう。

食を楽しみながら、いろんな食材を取り入れよう

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多種目・多品目でバランスのよい食事は、少しの意識で手軽に取り入れられます。食材をどう選んでよいか分からないときには、スーパーで旬の食材を意識的に取り入れてみたり、体が今どんな食べ物を求めているか感じながら、無理せず「楽しく味わって食事をする」ことから始めてみましょう。

著者プロフィール

■春川ゆかり(はるかわ・ゆかり)

フリーライター・編集者。大手IT企業にてウェブメディアの広告やマーケティング業に携わる。その後フリーランスのライターとして独立し、住まい・子育て・ヘルスケアなどのジャンルで執筆。

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