メニュー

2019.10.02

実録!40代で「骨年齢は70代」だった女性の盲点|見た目も若く、トレーニングもしていたが

東洋経済オンライン

運動もしっかりとやっていた40代女性が見逃していたこととは(写真:Ushiko/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/304890?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

運動もしっかりとやっていた40代女性が見逃していたこととは(写真:Ushiko/PIXTA)

皆さんは、「ホルモンドック」「からだエイジングドック」といった健康診断を受けたことはありますか?クリニックによって内容は少し異なりますが、私のクリニックでは、一般的な検診で測る体重やBMI値(体格指数)などだけでなく、筋肉量や筋肉のバランス、体脂肪や内臓脂肪の量など詳しい体組成を測定します。

ホルモン値も、女性ホルモンはもちろんのこと、成長ホルモンや甲状腺ホルモン、ストレスの指標となるコルチゾールなども計測します。このほか、血管年齢や骨年齢、身体のサビつき度を表す「酸化ストレス度」なども調べることで、自分の今の身体の状態を、人間ドックなどよりも多角的に知ることができます。

40代なのに骨年齢は70代だった

こうしたドックを受診する患者さんが最も驚くのが、骨密度から測定する骨年齢です。例えば40代半ばのAさんは、加圧トレーニングなども取り入れつつ、習慣的に運動しており、見た目も若々しい方です。ところが、自宅でしりもちをついた際に骨折をしてしまい、整形外科を受診し、リハビリを受けていました。

念のため、骨密度を測定してみたところ、思いのほか「スカスカ」の状態で、骨年齢はなんと70代! この状態では、日常生活上、骨折しても無理はありません。さらに詳しくライフスタイルを聞くと、Aさんは幼い頃から牛乳が大嫌いで慢性的なカルシウム不足でした。

また、運動マニアと言えるほど運動を熱心にするだけでなく、ダイエットへの意識も高く、食事摂取量に対してもとてもストイックで、総摂取カロリーに気を取られるあまり、身体づくりに重要な栄養素であるタンパク質まで不足していました。

元気ハツラツな雰囲気はストイックなAさんだからこその「気合い」がなせるものの、本当の身体の「中身」はしっかり老けてしまっていたのです。Aさんは「整形外科ではリハビリの指導はしてくれたけど、『若いし、よく運動しているから』と骨密度なんて調べませんでした」と言って、かなりショックを受けていました。

実は、骨密度(骨量)のピークは、20歳ごろといわれています。それ以降は徐々に減少していき、女性ホルモンの分泌量が急激に低下する閉経以降は、骨密度も低下していきます。減ってしまった骨密度は、残念ながら治療で積極的に増やすことはできません。ですから、ピークの年齢を過ぎている女性は、骨密度を把握して、減少のスピードを緩やかにしていくことが重要になってきます。

ところが、一般的な健診では、骨密度を測定するのは50歳から。Aさんのように、骨折で整形外科を受診しても、骨密度を調べないこともあり、自分の骨密度を知っているという女性は意外と少ないものです。そのため、気づかぬうちに骨密度の低下が進み、圧迫骨折を起こしてから、初めて骨がスカスカになっていることを知る……といったケースもあります。

老化に対するイメージや感じ方は人それぞれ違うと思いますが、患者さんたちに「老化は何歳ごろから始まると思うか」聞くと、「28歳ごろの自分が心身ともにいちばんいい状態だった」と考える方が多いようです。それ以降はなんとなく疲れやすくなった、体重は変わらないのに体型が変わってきた、徹夜などの無理がきかなくなったなど、加齢による何かしらの変化を実感されているのですね。

医学的な面から考えても、女性の加齢による身体の変化は、20代後半から始まっていると言えます。それには、女性ホルモンの分泌量の変化が大きく影響しています。

女性ホルモンは後天的に増やせない

卵巣から分泌される女性ホルモンには、大きく分けるとエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。女性らしい身体をつくり、維持する役割を果たしているのが、エストロゲンで、髪や肌のうるおいを守る、血管や骨を強くする、代謝を促す、自律神経を調整するといった働きがあります。

このエストロゲンは、思春期に初潮を迎えると分泌量が高まり、20代後半にピークを迎えます。その後は緩やかなカーブを描きながら減少し、閉経前後の40代半ばから50代半ばにかけては、急激に低下。女性ホルモンの分泌量は、加齢だけでなく、生活習慣やストレスなどの影響も受けるため、20代、30代の女性でも、無理なダイエットから月経周期が乱れたり、肌や髪が乾燥したりといった不調が表れることもあります。

しかし、こうした心身の不調に女性ホルモンが関係しているとは、思いもよらない人は多いでしょう。クリニックの患者さんでも、疲労感や不眠といった不調を訴えて内科などを受診しても原因がわからず、精神科の受診を勧められたという人もいます。

女性ホルモンの分泌量やその変化には個人差がありますが、一生のうちに分泌される量は、ティースプーン約1杯分とごくわずか。この量は後天的に増やすことはできません。

だからこそ、心身ともに健やかに年齢を重ねていくためには、今現在の自分の女性ホルモン値を知り、その時々に応じたケアを行っていくことが大切なのです。そこで、定期的に冒頭のホルモンドックや、アンチエイジングドックを受けることをお勧めしているのです。

50代のBさんは、以前よりも疲れやすく、仕事をしていても集中力が続かず、やる気も起きないといった不調を抱えていました。いつも曇り空のような「どよーん」とした重い身体。もう50代だから仕方がないのかなと半ば諦めていたものの、覇気のない状態があまりにも長引くので、とうとう近所の内科に行ったそうです。

内科では血液検査などで「問題ない」と診断されましたが、Bさんの不調は続くので、別の内科を受診したところ、今度は「ストレスじゃない?」と、Aさんの想定外の精神科受診を勧められました。「もしかして、私、うつ病なの?」と、納得いかない気持ちを引きずりつつ、不安を抱えて精神科を受診したところ、抗うつ効果と食欲増進効果のあるお薬を処方されたものの、効果は芳しくありませんでした。

最終的に当クリニックのからだエイジングドックを受診し、詳しくホルモン値を調べたところ、潜在性の甲状腺機能低下症であることがわかりました。いわゆる「不定愁訴」と言われる症状に対しては、診断がつくまでに時間がかかってしまうことも多く、Bさんもいくつもの病院を巡る結果となってしまいました。

平均寿命と健康寿命の「差」

甲状腺機能低下症は、血液中の甲状腺ホルモンが不足する病気で、疲労感や倦怠感、集中力の低下といった症状を引き起こします。中にはうつ病のような精神状態になる人もいて、心療内科や精神科を受診してしまう人が少なくありません。

このような、原因がわかりにくい心身の不調に早めに気づき、適切な治療やケアをしていくためには、ホルモンドックなどを受けることが有効です。とくに、35歳を過ぎた女性は、1年に1度は受診していくことをお勧めします。

日本は世界でもトップクラスの長寿国で、女性の平均寿命は87歳を超えています。一方、介護などを必要とせず自立して生活できる健康寿命は約75歳と、10年以上の開きがあります。この差をできるだけ短くして、健やかに、美しく年齢を重ねていくためには、心身両面からのケアをしていくことが重要なのです。

骨密度が低下していたAさんは内服薬と食事療法による治療を始め、今では以前よりもアクティブにトレーニングに励んでいます。今までのようにやみくもに運動量を増やすのでも、負荷を上げるのでもなく、まず食事と睡眠という「土台」をしっかり見直し、そのうえでご自身の身体にとってどれくらいの運動を行うべきか、理論的に考えながら取り組んでいます。

当たり前のことですが、患者自身が、不調がどういった病気のサインなのか、そもそも病気であるのかを正しく判断するのは難しく、「これくらいなら病院に行くほどでもない」と我慢してしまうことは少なくなく、Bさんのように複数の病院を巡ることになってしまうケースも多々あります。

検査を受けるのはなんとなく気が重たいと感じ、なかなか足が向かない人も多いことでしょう。でも、アンチエイジングドックの検査時間は1時間程度で、食事など、事前の厳しい制限などもないことがほとんどです。心身の不調や衰えについて安心して相談し、前向きに年を重ねていくサポートを受けられる場所として、活用してみてはいかがでしょうか。

記事画像

浜中 聡子:Dクリニック東京 ウィメンズ院長

【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します