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2019.10.06

生理痛を我慢してはいけない!毎月訪れるのに意外と知らない生理の話

kencom公式ライター:森下千佳

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お腹が痛い、腰が痛い、頭痛に、吐き気・・・
「生理=毎月来る辛いもの」で、しんどいけれど、女として産まれたからには我慢して付き合っていくしかない! そんな風に思っていませんか?

本来、生理は強い痛みを伴わないもの。強い痛みや激しい不調を感じているのは何かの病気のサインかもしれません。
今回は、「そもそも生理って何?」「なんで具合が悪くなる?」「治療はできるの?」など、生理に関する様々な悩みを、女性のための総合ヘルスクリニック イーク表参道副院長の高尾美穂先生にぶつけてみました。
これを読めば、もう生理痛を我慢しなくなるはず!

高尾美穂(たかお・みほ)先生

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イーク表参道 副院長
東京慈恵会医科大学大学院修了後、慈恵医大病院 産婦人科助教などを経て現職。専門は婦人科がん(特に卵巣がん)。産婦人科専門医・医学博士・スポーツドクターのほか、ヨガ講師としてGyne Yogaを主宰する。

どうして生理になると痛くなるのか基本から解説

生理痛ってなに?

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生理痛とは、生理の時に下腹部にある子宮周辺を中心に痛みを訴える事。中でも、下腹部痛以外にも痛みが出たり、日常生活に支障をきたし治療の対象になるものを「月経困難症」と呼んでいます。

本来、生理は激しい痛みを伴うものではありません。にもかかわらず強い痛みを感じているのならば、子宮やその周辺の組織に何らかの異常が起きているという事になります。
月経困難症を治療せず我慢していると日常生活に支障をきたすだけでなく、背景に潜んでいる別の病気を見逃してしまったり、不妊につながってしまったりする可能性もあります。
つまり、生理痛は身体の異常を知らせるサインと言えるでしょう。

月経困難症の種類

月経困難症は大きく分けて「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」の2種類があります。

①機能性月経困難症

機能性月経困難症の多くは、まだ子宮が未熟で、妊娠、出産の経験がない10代〜20代前半の世代に起こります。
生理の時には、子宮を収縮させる「プロスタグランジン」と言う物質が、剥がれて出ていく子宮内膜によって作られ、子宮内膜を体外に押し出すために子宮の筋肉をギューッと収縮させます。これが、下腹部や腰が痛くなる原因です。

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このプロスタグランジンの分泌が過度に増えてしまったり、子宮の入り口が狭いことが原因で物理的に子宮内膜が子宮外へ出ていけなかったり、子宮や血管、腸管が過剰に収縮したりすることで痛みなどの症状が引き起こされるものを指します。
また、機能性月経困難症の場合は、特定の病気が原因で引き起こされているわけではないのも特徴の一つ。
一般的に身体の成熟とともに症状は治まるとされていますが、生活に支障があれば治療が必要です。

②器質性月経困難症

一方の器質性月経困難症は、子宮や卵巣の病気が原因で起こるものです。20代後半以降に多く、加齢とともに増加します。生理痛が持続性で、月経期間中にずっと痛みがあることも多いです。

器質性月経困難症の原因で多いとされている病気は、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫です。自然治癒することはなく、治療しないで我慢していると、原因となっている病気が徐々に進行してしまうため、原因に合った治療が必要となります。

生理痛を我慢しないことが病気や自分の気質に気づく第一歩に

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若い頃に機能性月経困難症を抱えていた人、つまり何にも病気がないのに生理が重いと言っていた人が、将来的に器質性月経困難症や、子宮内膜症になったりするリスクは、生理痛がなかった人に比べて2.6倍高いということが分かっています。
つまり、若いうちから下記に書かれているような機能性月経困難症の対策をしておけば、将来の病気のリスクを下げられるという事。生理痛は我慢してはいけません!

生理痛が辛くて学校や会社を1日休んでしまうくらい日常生活に支障が出てしまう人、痛みがひどくなっている人、既定量の鎮痛剤を飲んでも効かない人などは、何らかの病気が隠れている可能性が高いので、早めに婦人科にかかるようにしましょう。

学んでおくと楽になるかも?ひどい生理痛の治療とQ&A

生理痛は原因に合わせて対策を練る

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器質性月経困難症の場合は、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などの病気が原因で症状が起こっているため、治療しないでいると病気が進行してしまいます。そのため、原因となっている病気に合った治療を行うことが必要です。
その場合、下記に紹介する薬物治療に加えて、手術なども選択肢となります。

発見が早かった場合や、機能性月経困難症も治療の方針は同じく、薬物治療から行うことになります。
どちらも、将来の妊娠などに影響はありませんので安心して利用してください。

①鎮痛薬

どんな病気の背景があっても、まずは鎮痛薬を使って痛みなどの症状をやわらげます。主な鎮痛剤は、生理痛の原因となっているプロスタグランジンの合成をブロックして、子宮収縮を緩和させます。

②低用量ピル

低用量ピルなどのホルモン剤による治療もファーストチョイスのひとつです。低用量ピルは子宮内膜が厚くなるのを抑えて、生理の出血量を少なくするので、生理時の子宮の収縮も少なくて済み、痛みが軽くなります。

基本の対処法:痛いときは我慢せず、鎮痛剤の手を借りよう

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病院を受診し特に病気がないとわかった場合は、痛み止めの力を借りて生理痛を乗り切ることも大事です。市販薬でも構いません。
薬は身体に良くないからと飲まずに我慢する方もよくいらっしゃいますが、生理痛で処方される鎮痛剤は、朝昼晩1ヵ月飲み続けても大きな問題がないように作られているので、安心して飲んで大丈夫です。ただし、用法用量は必ず守って飲んでください。

意外に知られていないことですが、薬を飲むタイミングも重要。
痛みの元となるプロスタグランジンを作らせないようにするためには、痛くなってから飲んでいてはダメ。痛み出す前に早めに服用することが大切です。
私はよく患者さんに「鮮血が少しでも見えたら飲んでね」と伝えています。

低容量ピルは本当に安全?

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「ピル」と聞くと、未だに避妊薬のイメージが強く、「子供が欲しくないのに性交渉したいから飲むんでしょ?」と偏ったイメージを持っている方が多くいらっしゃいますが、月経困難症や子宮内膜症の保険適用がある治療目的としても使われる薬です。ピルには卵巣がんなどを予防する効果もあります。

ただし、マイナートラブルはあります。一番多いトラブルは不正出血。 他には、胸が張ったり、むくんだり、食欲が増えたりする事もあります。しかし、そういった症状は1割程度の人にしか当てはまりません。しかも、マイナートラブルは飲み続けていれば約3ヵ月後には気にならなくなる人が多いです。困っていた訴えが改善する方も多く、前向きに捉えてもらえる治療薬だと思います。

ただし、タバコを吸う方や、肥満の方、今まで飲んでいない40歳以上の方、血圧が高い方は血栓症のリスクが上がるので処方できません。

漢方は本当に効果ある?

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婦人科で使う漢方は病気自体を治すという西洋医学的な考え方ではなく、骨盤周りの滞った血流をよくしましょうという東洋医学の基本である体質改善に使うものです。基本的には漢方薬を中長期的に服用することで、徐々に身体の調子を整えて、それでも辛い場合はその他の薬を併用して使うということが多いです。

生理痛のための漢方は、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「加味逍遥散(かみしょうようさん)」などがあります。どの漢方が効くかは、個人差があるので婦人科で相談してから飲むようにするといいでしょう。

生理痛を和らげるセルフケアはある?

残念ながらセルフケアでは、プロスタグランジンの子宮収縮によって起こる1〜2日目の強い痛みそのものを解消することはできません。しかし、子宮収縮に波及して起こる不快感やだる重さは、セルフケアで十分改善することができるので覚えておくと良いと思います。

▶︎湯たんぽやカイロ、腹巻きで温める

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よく、生理中はお腹や腰回りが冷えていると感じますよね?
これは、子宮が収縮すると同時に子宮周りの血管も収縮し、暖かい血液が子宮の周りに流れにくくなっているからとも考えられます。カイロや腹巻きなどでお腹や腰周りを温めることで、皮膚の下にある筋肉が温まると血管が拡張するので、冷えや腰痛、だる重さなどの不快感であれば緩和することができます。

▶︎ストレッチやヨガ、ウォーキングで骨盤周りの血流UP!

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また、骨盤周りの筋肉を動かすような運動も効果的です。
私たちの血液は、安静時には脳に全体の15%、胃や腸には25%などと分配が決まっているものですが、身体を動かすと、動かしているその筋肉に血液が集まってきます。つまり、筋肉を動かすことで、血液を送りたい場所に送ることが出来るということ。

生理痛時には骨盤周りの血管が細くなり血流が落ちていますから、骨盤周りの筋肉を使うことによって骨盤周辺に血液を集めて血管を拡張し、血液の流れがよくなることで骨盤周りが温まり、だる重さや腰痛などを緩和することができます。

例えば、骨盤周りをしっかりと動かすようなヨガや寝る前のストレッチなど、骨盤周りを動かすような運動を試してみるのも良いと思います。

生理痛は「辛いもの」ではなく、「我慢しなくて良いもの」

生理痛は「辛いもの」ではなく、「我慢しなくて良いもの」。
この言葉を聞いただけでも、何だかずっと軽やかな気分になりませんか?
不調は何でも婦人科に相談すること。痛みには早めに対処することで、快適生理ライフが手に入りそうです。

ぜひ、しっかりと対策して、スッキリした日々を送りましょう!

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
お茶の水女子大学理学部卒。2000年に東海テレビ放送に入社し、主に報道記者として事件、事故を取材制作。女性ならではの目線で取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。2009年に家族の転勤で、ニューヨークに渡り4年間移住。当時日本ではなかなか手に入らなかったオーガニックのベビー商品、コスメなどを日本に届けるベンチャー起業を立ち上げに関わる。2013年帰国し翌年に女児を出産。2016年より子宮頸がん検診の啓発活動と健康教育を手掛ける一般社団法人の理事を務める。2019年よりフリーのエディターとして、主に女性と子供の健康、子育てに関する取材、発信している。