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2019.09.26

『小さな変化』ばかりに追われると、習慣化できない理由とは【習慣の心理学#34】

kencom公式:心理学ジャーナリスト・佐々木正悟

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何かを習慣化したいときに、ついつい小さな変化や成功体験にこだわってしまうことがあります。ですが、この小さい変化ばかりにこだわることもまた、習慣化につまずく原因になることをご存知でしょうか。
ときに変化の捉え方を変えることで、習慣化はよりしやすくなるものです。どういうことなのか、早速見ていきましょう。

習慣における変化の捉え方を学ぼう

継続か三日坊主かの分かれ目を見つけよう

習慣化というのは一般的には、「小さな変化をコツコツと積み上げていって、やがて大きな変化を引き起こす」というものだと考えられているでしょう。原則的にこれは正しいと思っています。
たとえばダイエットでも英会話でも、最初は「本当にこれでやる意味があるんだろうか?」というレベルにとどまりますが、長期にわたりコツコツ継続していった先に、自分でもびっくりするような好ましい成果につなげられます。

いわゆる「継続は力なり」というものですね。
これは習慣化の王道です。本当にこれだけでいけるなら、いちばん理想的な考え方だと言えるでしょう。

ただ、これだけではいかにもストイックすぎるかもしれません。
特に初めのうちは、「本当にこれでやる意味があるんだろうか?」という疑問に苛まれるうちに、イヤになって止めてしまうのです。
いわゆる「三日坊主」です。
「継続は力なり」と「三日坊主」は、習慣化でもっとも出てくる慣用表現だと言えるでしょう。
いつでもポイントは
『どうやって三日坊主を避け、継続の力を引き出せるか?』
につきます。

短期間の大きな変化が習慣化のきっかけになることも

その方法がライフハックや習慣化の技術にあるわけです。
そういう大きな「力」になってくれるものとして、今回は「短期間の劇的な変化」をあげたいと思います。

私自身習慣化に際して、そういう都合のいい「短期間の大きな変化」を再三経験してきました。
もちろん「ミラクル」に類いするモノではありません。
英検5級レベルだったのに、3日でTOEIC900が取れるなどというのは、誇大広告というものです。あくまでも「大きな変化」「劇的な変化」は、「自分の中で」という条件付きです。

たとえば私は、食事改善を始めたときがそうでした。開始して2日で、それまで荒れていた肌質が劇的に改善されたのです。
後から振り返ればそれは、その後の長い食習慣の入り口に過ぎませんでしたが、その2日間の経験がその後の継続に大きな力になったのです。

どうすればそういうことができるのか。興味はそこに向くでしょう。

最初に大きな成果を上げるための4つの方法

すべての「習慣化」についての一般論とまでは行きませんが、最初、短期的に大きな成果をまず得るためには、

1.「自分の中で」という条件で観察するようにする
2.自分の弱点や欠点だと感じている部分に集中する
3.少しだけ極端に始める
4.その成果は「モチベーションのため」ととらえるようにする

この4つに集約されます。

1についてはすでに述べたことです。「劇的な変化」はあくまでも自分比です。他人と比較したりするとそうは考えられなくなります。
英語学習にしても、自分の中で急激に上達したということと、だから英検1級が取れるといった話は別です。

私がもっとも大切にしているのが2です。苦手克服をまずは考えてみましょう。何がいちばんやりたいのか。そこから手をつけます。
英語でも、いろんな分野があります。最終的には全部やりたいとしても、最初は「読みたい」のか「しゃべりたいのか」を見極めて、どちらかだけをやってみましょう。

そして3です。最初は少し極端に。私は食事改善を最初は極端にやりました。具体的には、甘いものを全部食べないようにしたのです。お菓子を口にしないのはもちろん、果物も一口も食べませんでした。
その後徐々に緩めることはむしろ必要ですが、最初は糖分過多気味だったのを、一時的に減らすことで効果を大きく出せるようにしてみたのです。

最後に4です。結局これは入り口の成果なのです。
いつまでも同じように極端にやっていたら、すぐに反動が来て失敗に終わります。ただ、最初に効果が大きいと、続けたいと思う気持ちに現実感が与えられます。
それが習慣化を長く支える力となってくれるのです。

大きな変化を感じると人は自然と続けたくなる

これらは、いわゆる成功体験を元にした習慣化の手法と言えるでしょう。
ポイントは前述した通り、「自分の中」での大きな変化であること。
ダイエットなら、たとえ1kgでも減ったことで驚きを感じたなら、それは継続への第一歩へとつながるかもしれないのです。(もちろんもう少し大きな変化の方が驚きは大きいでしょうが)
何かを始めようとする際は、4つの方法をしっかりおさえて、取り組んでみましょう。

著者プロフィール

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■佐々木正悟(ささき・しょうご)
心理学ジャーナリスト。「ライフハック」の第一人者。専門は認知心理学。1997年獨協大学を卒業後、ドコモサービスに入社。2001年米アヴィラ大学心理学科に留学。04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。05年帰国以来、「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求し続けている。
著書にベストセラーとなった『ビジネスハックス』『スピードハックス』などのハックシリーズ(日本実業出版)のほか、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)などがある。

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