メニュー

2019.09.11

健康にいい紫外線の浴び方とは?【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

記事画像

紫外線を浴びると皮膚トラブルの原因になりますが、骨のためには日光を浴びたほうがいいのだとか。
紫外線は浴びるべきなのか、浴びてはいけないのか。健康のためにはどちらが正しいのでしょうか?

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにkencom監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、kencom読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、2016年のInternational Journal of Dermatology誌に掲載された、日焼けによる皮膚の害と、その健康に良い作用であるビタミンD産生との、バランスについて検証した論文です。

これは皆さんが素朴に疑問を感じることを、科学的に検証したとても興味深い研究です。

▼石原先生のブログはこちら

健康のためには紫外線を浴びる?浴びない?

記事画像

今は紫外線が非常に強い時期です。

こうした時期にはなるべく紫外線を浴びない方が健康に良い、というように言われます。
紫外線は皮膚癌の原因となり、皮膚の免疫力を低下させ、しみやそばかすの原因にもなります。

こうした観点から言えば、紫外線など一切浴びない方が良く、完全にUVカットをした方が良い、ということになります。

その一方で骨粗鬆症の予防のためには、なるべくお日様を浴びましょう、というような健康指導もしばしば行われます。
これはどういう意味かと言うと、骨の健康を維持するために必須のビタミンであるビタミンDは、皮膚で紫外線を浴びることにより産生される、という仕組みがあるからです。

従って、なるべくお日様を浴びた方が、骨の健康のためには良いということになる訳です。

要するに、お日様の紫外線は皮膚の健康には害になるけれど、骨の健康のためには必要なのです。

じゃあ、一体どうすればいいのよ!と誰でも疑問に思うところです。

この間とある健康番組を見ていたら、肌の健康のためにはなるべく日焼けしないのがいい、という話を専門家と称する方がしていて、ゲストのタレントが、「でも紫外線は骨のためにはいいんでしょ」と当然の疑問をぶつけると、「でも、皮膚のためには日焼けしない方がいいんです」とあまり答えになっていない受け答えをしていました。

これは実際どう考えるべきなのでしょうか?

最も健康的なのは、正午あたりに短時間日を浴びること

記事画像

紫外線にはその波長によってA波、B波、C波、という3種類があります。このうち主に地上に降り注いでいるのは、波長の長いA波と短いB波の2種類です。B波の波長が280から315nm、A波の波長は315から400nmとされています。

このうちA波は真皮にまで達してその深い部分の細胞に障害を与え、それが皮膚癌のうち主に扁平上皮癌や基底上皮癌の原因となります。

一方でB波はより皮膚の表層に影響を与え、強い刺激は所謂「日焼け」という火傷の原因となります。
過剰なB波はメラノーマという皮膚癌の原因となります。そして、ビタミンDの産生は主にこのB波の働きによっています。

このB波は昼間の日差しが強い時には、ほぼA波と同じくらい吸収されるのですが、朝や夕のような紫外線の少ない時期には、比率的にはかなり少なくなっている、という特徴があります。

ここで主に文献的検証を行ったところ、皮膚の癌化に結び付くダメージを最小限にして、ビタミンDの産生を最も活発に行うためには、正午くらいの日差しが強い時間に、日焼けをしない程度にお日様を浴び、それ以外の時間は極力UVカットするというのが、最もバランス的に健康に良い紫外線の浴び方である、という結論を上記文献では導き出しています。

A波を避け、短時間でなるべくB波だけを浴びるのがいい

記事画像

面白いですよね。
普通に考えると昼間を避けて、日差しの弱い時間に活動した方が、紫外線の害は防げるように思うでしょ。

それが違うのです。
短時間でなるべくB波を主体に浴びて、A波を浴びないことが最も良いので、こうした理屈になるのです。
B波を浴びすぎると日焼けになるので、皮が剥けるような日焼けは避けつつ、昼間に日差しを浴びるのが正解なのです。

科学は時に常識を裏切るような結果を出すのが、面白いところですね。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36