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2019.08.28

実は怖い初秋の「紫外線」が頭皮をダメにする|肌だけケアしていればセーフではない

東洋経済オンライン

秋は髪の健康にとって重要なシーズンだ(写真:プラナ/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/299463?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

秋は髪の健康にとって重要なシーズンだ(写真:プラナ/PIXTA)

現代の女性たちは、1人の女性として、部下や後輩を持つ上司・先輩として、妻や母、娘として、さまざまな役割を担っています。仕事に趣味、家事や育児、介護などを同時にこなす女性も多く、多岐にわたる悩みやストレスを抱えていらっしゃる方も少なくありません。

私が院長を務める「Dクリニック東京 ウィメンズ」でも、多くの女性が悩みや不安、心身の不調を聞き、その方らしい充実した生活を送れるように、医療面からサポートしています。

頭髪専門外来を訪れる人は10年で7倍に

近年はとくに、女性頭髪専門外来を訪れる患者さんが増えていると感じます。それだけ、薄毛や抜け毛に悩む女性が多いということでしょう。実際、2007年には約3000人だった患者様数が、2017年には2万人超、2018年には約2万3000人と、7倍以上に急増しています。

昔から「髪はオンナの命」といわれますが、身体だけでなく、髪も年齢とともに変化していきます。髪の密度は20代がピークで、太さは35歳がピークとなり、その後は徐々に、密度も太さも衰えていきます。すると、だんだんと髪のハリやコシがなくなり、うねりが目立つようになっていきます。そして、40歳前後になると、白髪や抜け毛、薄毛など、急に加齢による変化を感じる女性が増えます。

女性頭髪専門外来には10代~90代までさまざまな悩みを抱えた人が訪れますが、最も多いのが40代です。女性の薄毛の原因は主に、血流の低下やホルモンバランスの乱れが原因となることが多いのですが、ストレスや遺伝的な要素など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。

例えば、20代から40代の女性は過度なダイエットや出産によるホルモンバランスの変化が、40代以上の方は閉経に向かってのホルモンバランスの変化が大きく影響します。その他、心身のストレス負荷はもちろんのこと、食生活の乱れや睡眠の質の低下、喫煙など、生活習慣も関与しています。1人ひとり原因が異なり、その原因によって対処法も違ってくるので、まずは現状を把握することが大切です。

夏から秋に向かう今の時期は、夏休みに国内外への旅行やレジャー、ゴルフなどのスポーツを楽しまれた人が多く、より注意深く頭皮の状態を観察します。なぜなら、夏の強い日差しによるダメージを受けている場合が多いからです。

先日も、海外でゴルフを楽しまれた40代の女性のAさんが検診に訪れ、「紫外線対策はバッチリしていたので、ほとんど日焼けはしていないでしょ?」と、腕や首元の肌を見せてくれました。確かに、日焼けの跡は見られません。「本当ですね」と言うと、うれしそうにこんなことも伝えてくれました。「やっぱりシミが気になるから、顔はとくに日焼け止めをこまめに塗って、サンバイザーでしっかりガードしていたんです」。

炎症を起こすと頭皮が乾燥状態に

ところがサンバイザーのひさしの境目や頭頂部の分け目のあたりの頭皮が真っ赤に炎症を起こしていました。通常の頭皮は青白い色をしていますが、日焼けをすると炎症を起こして、ピンク色や赤茶色などの色味を帯びてきます。また、頭皮のバリア機能が乱れて、乾燥した状態にもなります。

マイクロスコープを使ってさらによく頭皮を観察してみると、頭皮の乾燥が進んで、皮膚が浮いて剥がれかけてきていました。その様子を画像で見せると、Aさんは「うそ!? 頭皮ってこんなに真っ赤になるんですか?」と驚かれていました。

Aさんが最初に女性頭髪専門外来を訪れたのは昨年末のこと。髪の分け目や額の生え際、うなじの薄毛や脱毛が気になるという相談でした。これは「牽引性脱毛症」と呼ばれる典型例です。

Aさんは大手企業で管理職を務めていて、仕事のときはいつも髪をシニヨンにまとめているといいます。若い女性のまとめ髪はふわっとルーズにされることが多いですが、彼女の場合、きちっと分け目をつけて、キュッとしっかり結ぶようなまとめ方をされていました。そうすると、頭皮が強く引っ張られるため、髪の生え際や分け目などの毛が薄くなったり、切れやすくなったりして、地肌が透けて見えるようになってしまうのです。

そこで、カウンセリングの後に育毛剤などによる治療を始め、毎月検診にも来ていました。発毛を促す治療は、毛髪の生え変わりのサイクルなどを考慮して、最低でも6カ月ほど続けていきます。その頃に、効果を感じ始める人も多いようです。

Aさんも治療開始から半年を過ぎて、だんだんと発毛の効果が表れていたときでしたが、その安心感と、治療を始めてから初めて夏を迎えたということもあり、少し油断してしまったのかもしれません。

近年は、紫外線による肌へのダメージが知られてきて、美白信仰が強まり、レジャーやスポーツ、外出時に、日焼け止めなどの紫外線対策をされる人が多くなりました。ただ、顔や腕など肌が露出している部分はしっかりUV対策をしていても、髪や頭皮まで意識されている人はごくわずかです。

しかし、体の中で最も紫外線を浴びやすいのは、実は髪と頭皮です。髪の分け目の頭皮が見えている部分は、顔の2倍の紫外線を浴びているとの調査データもあります。髪の分け目の頭皮への紫外線ダメージを少なくするという意味では、分け目を頻繁に変えることをおすすめします。

先のAさんにもそれを伝えると、「頭は髪の毛があるから、大丈夫だと思っていました」とおっしゃっていました。そう思っている人はきっと多いことでしょう。

髪の「夏バテ」「秋バテ」防ぐには

街中で、顔全体を覆い隠す溶接工のようなサンバイザーをかぶり、腕にはアームカバーをされた女性によく遭遇するのも、その表れの1つだと思います。顔や腕はあれだけしっかりガードしているのに、“顔隠して、頭隠さず”の状態になってしまっているのがもどかしく、つい「アタマを忘れていますよ!」と声をかけたくなってしまいます。

紫外線によるダメージは、頭皮の日焼けや乾燥だけでなく、枝毛や切れ毛、パサつき、脱色など、毛髪のトラブルも起こします。Aさんも頭皮の乾燥だけでなく、髪のパサつきも進んでいました。「そのままにしていると、乾燥で浮いた頭皮がフケのようにパラパラと落ちてきてしまうので、頭皮専用の保湿剤を処方しておきますね」と伝えると、Aさんはホッとした様子でした。

そして、ゴルフのときはサンバイザーではなく、通気性のいいUVケアの帽子をかぶること、日焼け止めは顔や体だけでなく、頭皮や髪用のものもあるので、それもぜひ使ってほしいこと、しばらくの間はパーマやカラーリングは控えたほうがいいことなどをアドバイスしたところ、「わかりました! 9月の連休にもバリでゴルフをする予定なので、ちゃんと帽子をかぶります」とのこと。

少し涼しくなったといっても、9、10月の紫外線量は初夏と同じくらいあるので、しっかりケアをしたいものです。

近年の夏は命に関わるほどの暑さで、体力も奪われがちです。今の時期は夏の疲れが出ないよう、体調にも注意が必要です。免疫力が落ちると、抜け毛が増えたり、健康な髪が生えにくくなったりします。

大きな病気をしたり、精神的にショックな出来事が起きたりしたときに、白髪が増えた、髪がごそっと抜けてしまった……といった話を聞いたことはないでしょうか。人間の体は危機的な状況になると、命にかかわるところから免疫機能が働くので、それ以外の髪や肌、爪といった部分が犠牲になってしまうのです。

皆さんも夏バテや秋バテをしないよう、バランスのよい食事や睡眠をしっかり取るように心がけていただきたいと思います。秋のレジャーを楽しむときも、紫外線対策はお忘れなく。

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浜中 聡子:Dクリニック東京 ウィメンズ院長

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