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2019.09.25

実はアレルギーだけじゃない!今更聞けない『じんましん』のイロハ

kencom公式ライター:森下千佳

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ある日突然現れ、「かゆみで眠れない」「集中できない」など、生活の質を大きく下げる『じんましん』。一生のうちに5人に1人はかかるという身近な病気ですが、実はじんましんについて間違った認識を持っている人が殆どだと言います。今回は、日本の炎症疾患の第一人者・五十嵐先生に悩ましいじんましんについて基礎から教えていただきました。

五十嵐敦之 (いがらし・あつゆき)先生

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NTT関東病院皮膚科部長
1984年東京大学医学部医学科卒業。同年東京大学医学部皮膚科学教室入局。1993~1994年東京大学医学部付属病院分院皮膚科講師。1994年4月NTT東日本関東病院皮膚科常勤医師。1996年4月NTT東日本関東病院皮膚科医長。 2002年1月より現職。アトピー性皮膚炎など炎症性疾患の国内第一人者。

突然のかゆみを引き起こす『じんましん』の原因とは

じんましんとはどんな病気なのか?

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皮膚の一部に突然、蚊に刺されたような赤い膨らみが現れ、しばらくすると跡かたもなく消えてしまう病気です。
大抵は痒みを伴いますが、チクチクとした痒みや焼けるような感じを伴うこともあります。
多くの場合、数十分から数時間以内に消えますが、中には半日から1日くらいまで続くものもあります。

大きさや形は様々で1~2mm程度のものから、手足全体を覆うほどの大きなものもあります。

じんましんと湿疹、虫刺されとの違いは時間差

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じんましんの非常に特徴的なのは、あとが残らず数時間で消えること。数時間経つと腫れが引くと同時に、痒みも治まっていきます。痒かった部分に色素沈着も起こりにくいです。
中には、「じんましんが出たままずっとひかない」という人がいますが、それは消えたそばから別のじんましんが絶えず出続けているだけで、一つのじんましんが2〜3日も出っぱなしということはありません。

一般的には同様な症状とされている『湿疹』は消えるまでに少なくとも数日はかかります。また、虫刺されの場合も何日かしこりのようなものが残ったり、ひっかいているうちに表面がジクジクしたりするケースが多いです。
一見虫刺されの様に見えるブツブツでも、数時間以内に跡かたなく消えてしまうようであれば、じんましんの可能性が高いといえます。

図解:身体の中でこうじんましんはできる

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皮膚の血管の周りには肥満細胞と呼ばれる細胞がちらばっていて、この細胞がなんらかの刺激を受けることによって活性化されます。すると、細胞内からヒスタミンという物質が細胞の外へと放出されます。ヒスタミンは神経に作用して、肌に痒みを感じさせるようになるのです。

またヒスタミンは皮膚の血管に働くと血管を拡張するので(このため、皮膚の表面が赤く見える)、血管の隙間から血漿成分(血液から白血球、赤血球などの細胞成分を除いた液体)が外に漏れ出してきて、皮膚が盛り上がるというのがじんましんの仕組みです。

じんましんの原因は1つではない

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じんましんの原因には様々なものがあり、皮膚の症状の形や経過にも幾つか特徴的なものがあります。例えば、食べ物が原因となっているケースや、アスピリンなどの解熱鎮痛剤や抗生剤が原因となっていることもあります。また、風邪など感染症によって出ることもあります。
冷たい風や冷水による刺激によって引き起こされたり、日光に当たることで出たりすることもあります。
他にも、疲労やストレスなどによってもじんましんが出やすくなったり、症状が悪化することもあります。
要因は必ずしも明確にはされませんが、そのなかでも原因や症状などの特徴や定義が比較的はっきりしている種類としては、以下のようなものがあります。

出展:日本皮膚科学会蕁麻疹診療ガイドライン改定委員会(2018)『蕁麻疹診療ガイドライン 2018』,日皮会誌128(12)2503-2624,P2504表1を改編

出展:日本皮膚科学会蕁麻疹診療ガイドライン改定委員会(2018)『蕁麻疹診療ガイドライン 2018』,日皮会誌128(12)2503-2624,P2504表1を改編

必ずしも1種類のじんましんが起こるのではなく、同時に2つ以上のタイプのじんましんが現れることもあります。

じんましんはアレルギーだけという誤解

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よく「じんましんはアレルギーによる病気」と思われていますが、実は食物など外来物質によるアレルギー性のじんましんは全体の5%程度にすぎません。
そのため、原因を突き止めようとアレルギー検査をしても無意味なケースがほとんどです。

もちろん、サバやアジといった青魚、豚肉を初めとする肉類、エビやカニなどの甲殻類など、食物が原因となることはあります。食物によるじんましんは特定の食物を食べた時にのみ症状が出現することが多いので、多くの場合は原因食物を予想することができます。

しかし、何週間も続けて毎日のように繰り返して出没するじんましん(慢性じんましん)の場合には、食物が原因となっていることはほとんどありません。

田中稔彦ほか,アレルギー2006;55:134-9.の図を改編

田中稔彦ほか,アレルギー2006;55:134-9.の図を改編

アレルギーが原因でないのなら、何が原因なのでしょうか?

残念ながら、じんましんの7割以上は原因不明です。
原因はさまざまあるとお話ししましたが、じんましんを理解する上で最も重要なことは、「原因を特定できるケースが非常に少ない」ということ。

こう聞くと「治らないのでは?」と不安になるかもしれませんが、「原因不明」=「治せない」ということではありません。じんましんの多くは、薬の内服によって治すことができます。

原因不明でも治療は可能!じんましんの治療法とは

身近な病気であるにも関わらず、実は原因特定も難しいというじんましん。ですが、治療や予防法はしっかりと確立されています。

次回の記事では、じんましんの治療法や、どうしても治らないじんましんどうしたら良い?など、治療法や予防のための生活習慣についてお伝えします。

■痒いじんましんはこう治す!じんましん治療・予防の最先端はこちらから

参考文献

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
お茶の水女子大学理学部卒。2000年に東海テレビ放送に入社し、主に報道記者として事件、事故を取材制作。女性ならではの目線で取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。2009年に家族の転勤で、ニューヨークに渡り4年間移住。当時日本ではなかなか手に入らなかったオーガニックのベビー商品、コスメなどを日本に届けるベンチャー起業を立ち上げに関わる。2013年帰国し翌年に女児を出産。2016年より子宮頸がん検診の啓発活動と健康教育を手掛ける一般社団法人の理事を務める。2019年よりフリーのエディターとして、主に女性と子供の健康、子育てに関する取材、発信している。