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2019.09.23

良い眠りには〇〇が大事!?「規則正しい生活」が大事な訳も丸わかり!【快眠ナビ#3】

kencom公式:睡眠改善インストラクター・鈴木麻里子

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睡眠を知るうえで、欠かすことができない知識が「生体リズム(別名:体内時計)」です。

なぜ生体リズムが大切になってくるのでしょうか。最も大きな理由は、生活の乱れによる不調の原因を理解するのに役立つからです。

時差の大きな地域への移動によって生じる「時差ボケ」をはじめとして、交代勤務や徹夜など、昼夜逆転した生活は睡眠の質の低下や身体の不調などを引き起こしやすいと言われています。この原因の多くは生体リズムなのです。
この生体リズムを知り、意識的に改善することで、睡眠の質がアップする可能性はグッと上がりますよ。

生体リズムを知ると、規則正しい生活がいいといわれる理由が分かる!

体内のリズムを整える時計遺伝子という存在

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まず、同じ睡眠時間でも、眠る時間帯による寝起きの違いを思い浮かべてみましょう。
例えば、午前0時前後から7時間眠ったときと、徹夜のあと朝方から7時間眠った場合、どちらが「よく寝た」と満足感を得られるでしょうか。
おそらく前者のほうが目覚めたときの熟眠感は高いはずです。

実はここに関わるのが、人間のほとんどの細胞に潜んでいる時計遺伝子と呼ばれる存在です。
この時計遺伝子は、脳の時間感覚に影響を与えるのはもとより、肝臓や小腸で代謝リズムを支配したり、皮膚などの末梢に存在して再生を司ったりなど、全身の体内リズムを調整する役割を持っています。

睡眠に深く関係するリズムが「サーカディアン・リズム」

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時計遺伝子によって生み出される体内リズムは、周期によっていくつか種類があります。睡眠にもっとも関係が深いリズムは24時間±4時間の周期のもので、「サーカディアン・リズム」(概日リズム)といいます。一度は聞かれたことがあるのではないでしょうか。
睡眠に関連する機能でいうと深部体温(内臓など身体の中の温度)の変化や、ホルモンの分泌リズムなどを調整しています。

ちなみに「サーカディアン・リズム」より短いものは「ウルトラディアン・リズム」、28時間を超えるものは「インフラディアン・リズム」といいます。
「ウルトラディアン・リズム」の例としては、約90分サイクルで繰り返すレム睡眠の周期や、約2時間周期で現れる日中の眠気などがあたります。

身体中にバラバラに存在し、それぞれ周期が異なる時計遺伝子ですが、すべて勝手に動作しているわけではなく、連動しているのも特徴です。
この連動を司り、マスタークロックといえるのが脳内にある視床下部の「視交叉上核」。もし視交叉上核が機能しなくなると、体内からすべてではないものの、サーカディアン・リズムが消失してしまうと言われています。

睡眠中にサーカディアン・リズムが行なっていること

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では、このサーカディアン・リズムが司る深部体温の変化や、メラトニンやコルチゾールといったホルモンの分泌がどう睡眠と関係するのでしょうか。
それぞれ解説していきましょう。

・深部体温の変化

深部体温は、個人差はあるものの、午後7〜8時頃もっとも高く、午前4〜5時頃が最も低いというリズムをもっています。この温度変化が睡眠に関係します。

たとえば、深部体温が高い時間帯は眠ろうと思ってもなかなか眠りにつくことは難しいです。一方、高かった体温が下がり始めると眠気が生じてきます。
体温が下がるに伴って、身体が休息モードに入るわけです。
また、覚醒においては逆の現象が起きています。睡眠時の最低温度時から上昇に転じた2〜3時間ほど、身体が程よく温まったタイミングで起床時間を迎えるようになっています。

・メラトニンとコルチゾール

深部体温と同様に睡眠に関わるのがメラトニンとコルチゾール、2つのホルモンです。

睡眠ホルモンと呼ばれているのが「メラトニン」。メラトニンは分泌が増え始めると眠気を感じ、減り始めると覚醒に向かう特性があります。
メラトニンは規則正しい生活をしている場合、寝る時間の1〜2時間前から分泌が始まり、最低深部体温になる約1時間前に最大に、起床後1時間程度で分泌が終わるというサイクルをとります。

一方の「コルチゾール」は副腎皮質から分泌されるホルモン。
本来は血糖値の維持や抗炎症、免疫促進のほか、ストレスに対抗するための作用などがあります。
特徴的なのは、メラトニンと全く逆のサイクルを描く点。起床に備えて睡眠の後半から分泌が増加し、起床前後で最大となります。
これは起床後のストレスに備えて増えていると考えられています。

これらは睡眠に関わる現象の一部ですが、それでもそれぞれがリズムを持って睡眠に関係していることがわかります。

サーカディアン・リズムの乱れが快眠を妨害する一因に

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このサーカディアン・リズムは本来生活していく中で体内で徐々に形成されていくものですが、外部からの刺激によって影響を受けやすい面があります。
なかでも最も影響が大きいのは外界の光です。

特にメラトニンは光の中でも440〜490nmの波長を持つ青色光で分泌が抑制されてしまいます。つまり、本来分泌されるはずのタイミングで青色光を多く含む光を浴びると、眠れなくなってしまうわけです。
メラトニンには深部体温を下げる作用もあるため、メラトニンの分泌が止まることで深部体温のリズムにも悪影響が及んでしまいます。

では、サーカディアン・リズムが乱れるどどんなことが起こるのでしょうか。
イメージしやすいように指揮者(マスタークロック)とオーケストラの関係をイメージするとわかりやすいかもしれません。それぞれソロで勝手なリズムで演奏しだしたら、不協和音が生じてしまいますね。人間の場合、それがだるさや眠気などの不調となって現れます。

すべての調和がとれてこその健康ですが、睡眠覚醒のリズムは、外界の影響はもちろん、本人の意思で簡単にズレてしまいます。規則正しい生活がいいといわれる理由はここにあるのです。

飛行機に乗らなくても時差ボケになる?

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冒頭で紹介した時差ボケは、サーカディアン・リズムである深部体温リズムと睡眠覚醒リズムの大きなズレが原因になります。

しかし、現代では夜更かしや休日の寝過ぎ、昼夜逆転生活など、社会的背景から起こる時差ボケ症状もあります。
これらは「ソーシャル・ジェット・ラグ」と言われ、問題になっている現象。
よく言われているのは、2日間朝寝坊をすると体内時計が30~45分遅れてしまい、そのリズムを戻すために要した時間の倍近くはかかるということ。

冒頭で触れた寝る時間についても、早寝したほうが体調がいいと感じたことがある方なら、それは身体が本来刻んでいるリズムに合った寝方ができたからといえます。

睡眠の質改善につながる生体リズムを整える行動

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では具体的に、サーカディアン・リズムを整え、睡眠にプラスの効果を与える行動はあるのでしょうか。
色々と要因はありますが、自分自身で簡単にできる内容でいうと下表のようなものがあります。

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これらはちょっとした工夫で簡単に取り入れられる上に、効果も感じやすいものです。ぜひ、できることからやってみましょう。

なお、交代勤務に従事されている方で、慢性的な不調を感じている場合、その原因の一部には体内時計のズレによって睡眠の質が低下している可能性が高いです。眠り方や過ごし方を、医師や専門家に相談するなどの対策を講じるといいでしょう。

サーカディアン・リズムを整えて、睡眠の質をあげよう

睡眠の質を高める一つの方法として、普段の生活の改善が有効であることはわかっていただけたのではないでしょうか。
規則正しい生活をする中で、特に注意したいのが休日の過ごし方。土日だからといってちょっと寝坊すると、生体リズムは崩れて、翌週に少なからず影響を残すことになります。

最近眠りの質が悪いなと感じていらっしゃる方は、土日の寝坊から改めてみると体感が変わるかもしれませんよ。

参考文献

日本睡眠改善協議会編(2019)『基礎講座 睡眠改善学 第2版』,ゆまに書房

白川修一郎(2018)『命を縮める「睡眠負債」を解消する』,祥伝社

著者プロフィール

■鈴木麻里子(すずき・まりこ)
ライター、睡眠改善インストラクター。睡眠系の話題に限らず、IT系から家電関連まで幅広いジャンルをカバーする。主な著書に「Facebook仕事便利帳」「iPhone 4 仕事便利帳」(ソフトバンククリエイティブ)など。

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