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2019.08.28

風邪より辛い?アレルギー性鼻炎の基本と対策【みんなの健康相談室】

kencom編集部

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「鼻水出てるけど、風邪かしら?」
「小さいころから鼻炎なんだよね……」

季節を問わず、日常的に鼻をかんでいるとしたら、慢性的なアレルギー性鼻炎の可能性がありそうです。

当人からすると厄介な鼻の悩みは、なんで起こるのか?

今回の健康相談室は、「アレルギー性鼻炎」について石原先生にお聞きしました。

アレルギー性鼻炎ってなに?

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アレルギー性鼻炎の原因はよく耳にするとおり、花粉やダニ、ホコリなどが挙げられます。これらの物質は、本来人体に影響を及ぼすものではないのですが、何らかの理由で免疫機能が過剰反応し、鼻水を使って外に出そうとします。

1970年以降、アレルギー性鼻炎の症状を訴える人が増えている傾向にあり、生活環境の変化が原因ではないかと言われています。とはいえ、なぜ免疫機能が過剰反応するのかについて、まだ明確な原因はわかっていないというのが現状です。アレルギー系の病気全般にいえることですが、Ige因子の特定ができないため、なぜ発症するのかがわからないのです。

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スギ花粉やブタクサに反応する花粉症による鼻水の症状はアレルギー性鼻炎と同じ仕組みです。もし花粉症により目にも症状がでるようであれば、アレルギー性結膜炎を併発していることになります。

大きな違いはありませんが、花粉症の場合は決まった時期にだけ起こるため「季節性アレルギー性鼻炎」、1年中の鼻炎の症状が出る場合は「通年性アレルギー性鼻炎」に分けられます。

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風邪の場合、多くはウイルス性のため人にうつることがあります。アレルギー性鼻炎の場合は、体内に入った抗原に対する反応なので、他人にうつることがありません。

また、風邪であれば全身症状として身体の痛みやだるさ、食欲不振などがありますが、鼻炎の症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりの3つなので、自覚症状が判断の目安になるかもしれません。

しかし、鼻炎があまりにもひどいと炎症から熱が出ることもあります。風邪と間違えがちですが、ズルズルと鼻水が止まらないようであれば、アレルギー性鼻炎の可能性を疑ってみましょう。

アレルギー性鼻炎はどう対処する?

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非常に煩わしいアレルギー性鼻炎ですが、基本は対処療法となります。
そのため、アレルギーを抑える薬を服用するのが一般的な治療法です。市販薬ですと、アレルギーを抑える成分が抗ヒスタミン剤しかなく、副作用で眠気がくるものがあります。

最近では改良されて眠くなりにくいものが出ているので、医師の診断を受けた後に薬局で薬剤師に相談してみるといいですよ。

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アレルギー物質がダニやハウスダストとわかっているようであれば、抗原(アレルゲン)を遠ざけるようにしましょう。家の中の掃除をまめにしたり、布団を綺麗にしたりと室内の環境を清潔にすることが考えられます。

花粉症の場合、外出時はメガネやマスクをかけたり、帰宅時は手洗いうがいを徹底したりといったことで多少の防御はできますよ。

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アレルギー性鼻炎の治療方法は、舌下免疫療法やレーザー手術などの方法があります。
舌下免疫療法は、3~5年ぐらいかけて少量のアレルゲンを含む治療薬を舌の下に投与しつづけアレルギー反応を押さえていく方法です。

レーザー治療はアレルギー性鼻炎で反応する粘膜にレーザーをあてて、焼灼する方法です。

どちらも、確実に成功するわけではなくリスクも伴います。さらに、再発するケースもあるので、実施する際は医師とよく相談をしてください。

※舌下免疫療法はスギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎と確定診断された場合のみ受けることができます。

幼少期の治療、高齢での発症は要注意

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アレルギー性鼻炎は、10代・20代の方達に多く、最近では1歳程度で診断されることも珍しくありません。まだ身体のできていない幼少期からアレルギーの治療薬を使うのは、副作用のリスクがあるので必ず医師の指示をうけて治療するようにしましょう。

また、高齢の方が急にアレルギー性鼻炎になった場合も要注意です。50、60年となんともなかったのに、高齢になって急にアレルギー反応が出るようになったということは、加齢やストレスなど何らかの原因で免疫力が低下しているというサインかもしれません。

70歳以上になると粘膜機能の低下から、自然と鼻水が出てくる老年性鼻漏になるケースもあります。

もしお悩みでしたら、医療機関でアレルギー性鼻炎かどうか診断してもらいましょう。

(文・kencom編集部)

監修医プロフィール

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36