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2019.08.22

あなたのそのクセ、もしかしたら良い習慣にできるかも!?【習慣の心理学#29】

kencom公式:心理学ジャーナリスト・佐々木正悟

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意識的であれ、無意識的であれ、人は多くの習慣を身につけています。せっかく手に入れたものを活かさないことはありません。
今回は、もう身体に染み付いているさまざまな習慣を、別のことに活用できないかという視点で紹介したいと思います。

すでに身についた習慣を最大限活用しよう

ついついやってしまう「習慣」は誰にでもある

毎日ついやってしまうことってありますよね?
それを習慣だと認識していないケースもあると思いますが、人はついつい日々繰り返し行っていることがたくさんあります。例えばこんなものに心当たりはないでしょうか?

・毎日つい、ツイッターを見すぎてしまう。
・毎日つい、コーヒーを飲みすぎてしまう。
・毎日つい、テレビを見過ぎてしまう。

ありがちではありますが、こうした習慣がせっかくあるのなら、これを「なくす」とか「減らす」ばかりではなく「生かす」というのを考えてみるのもいいでしょう。
そこで3つ、活用法を紹介してみます。

活用法1:ついでにやる

最初は、すでにある習慣とともに、「ついでにやる」を考えてみましょう。よくあるテレビショッピングの通販カタログみたいではありますが、こんなことをしてみると有効です。

・テレビを見ながらちょっとした運動
・ツイッターをするときは必ずスクワット
・コーヒーと一緒に生野菜を食べる

パっと見ただけでも、ものすごくばかばかしい感じがすると思います。でもどうしてでしょうか?
私たちがこだわっているのは単なる「イメージ」だったりします。ツイッターを見ながらスクワットするなんて恥ずかしい、と思い込んでいる部分が大きいでしょう。

しかし誰が見ているわけでもありません。それで何か得られるなら、別に格好くらいかまわないと思いませんか。

活用法2:あえてやる

1つ目の「ついでにやる」がいちばん有名な習慣系ライフハックですが、他にも私が好む発想として「あえてそれをする」というのがあります。
たとえばついテレビを見てしまうなら、お気に入りの番組があると思います。大リーグ中継だったり、料理番組だったり。

もうすっかりそれらを見るのが習慣化しているのなら、その専門ブログを立ち上げてしまうというのも手です。
これはけっこうやっている人が得をする方法でしょう。趣味が高じて専門家よりも詳しくなることはままあります。非公式だけど公式よりすごいサイト、というやつですね。

行うのに何も恥ずかしいと思う必要はありません。たとえば特定のアイドルグループをトコトン追いかけているなら、そのブログを作ったらいいのです。
ファンにとってはもちろん、あなた自身にとっても満足の高いものになるはずです。

活用法3:誰かと一緒にやる

もう一つ「ついついやってしまうこと」の活用方法があります。誰かと一緒にやるのです。
ついついやることは、あなた一人だけが習慣にしているということはほとんどありません。そこを活用して、仲間や家族と楽しむのです。

コーヒーを飲むのも、一人で飲むのではなく誰かと飲む。喫茶店に行くのもいいと思いますし、家で誰かと飲むのもいいと思います。

私も昔からコーヒーフリークで、つい飲み過ぎて急性カフェイン中毒になったりしたものですが、今、家では妻と一緒にしか飲まないようにしています。
そうすると必然的に飲量も絞られますし、新しい発見があるものです。なにしろ自分の好きな味だけにするわけにはいかなくなりますから、自然と新しい出会いが広がります。

望ましくない習慣は、掛け合わせることで抑制できる

ここまで紹介した3つの活用法はいかがでしたか?
不自由だと思われるでしょう。実際不自由です。
でも自由にやっている限りあまり発見がないですし、何より自由だからついやり過ぎてしまうわけです。

そう、実はここまで紹介したお話は、もともとはついやり過ぎてしまうことをほどよくコントロールするための話だったのです。
いわゆる悪習慣対策でしょう。しかし悪習慣だからと言って、やめる、極端に減らすだけというのは面白くありません。

・ついでにやる
・あえてやる
・誰かと一緒にやる

どれも、今までの習慣にはなかった別のメリットが得られます。メリットがあれば習慣は続くものです。それはこの連載でも何度となく繰り返してきたことです。

この3種のやり方は、少なくとも「やめる」必要はありません。特に二番目の「あえてやる」であれば、悪癖が高じてしまってもかまいません。
それが立派な趣味になり、もしかすると副業になる可能性だってあります。

悪習慣をあえてたくさんやってみよう!

悪癖だと思ったものも見方を変えれば素晴らしいものになることもありますし、減らすこともできます。
ぜひ今回の方法を活かして、「あえて」たくさんやってみる道も検討してみてください。

悪習慣というのも、もしかしたら悪いことばかりではない、あるいは悪い習慣ではないと思えるかもしれませんよ。

著者プロフィール

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■佐々木正悟(ささき・しょうご)
心理学ジャーナリスト。「ライフハック」の第一人者。専門は認知心理学。1997年獨協大学を卒業後、ドコモサービスに入社。2001年米アヴィラ大学心理学科に留学。04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。05年帰国以来、「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求し続けている。
著書にベストセラーとなった『ビジネスハックス』『スピードハックス』などのハックシリーズ(日本実業出版)のほか、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)などがある。

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