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2019.07.29

家を買わない「賃貸生活」向く人向かない人の差|賃貸のメリット・デメリットをいま一度整理

東洋経済オンライン

賃貸のメリット・デメリットを見ながら、自分にとってピッタリな住まいのあり方を探ります(写真:タカス/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/294192?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

賃貸のメリット・デメリットを見ながら、自分にとってピッタリな住まいのあり方を探ります(写真:タカス/PIXTA)

人生で一番大きい買い物といわれる住宅。「賃貸」か「購入」かは、消費税増税も予定されているなか、「決めるなら今!」と決断を迫られているご家庭も多いことでしょう。『書けばわかる! わが家にピッタリな住宅の選び方・買い方』を一部抜粋し再構築のうえ、賃貸のメリット・デメリットから、自分にとってピッタリな住まいのあり方を探ります。

住宅資金のかけすぎは老後資金不足に直結

一生涯の中で最も大きな資金には、「住宅資金」「教育資金」「老後資金」の3つが挙げられます。現役時代の収入や退職金、年金といったお金は限られていますから、その中で生活費のほかに、この3つの資金バランスを取ることは重要です。

とくに、老後資金は「老後2000万円問題」でも明らかなように、しっかり計画を立てながら長い時間をかけて積み立てないと間に合いません。なぜなら、3つの資金は綱引き関係にあるからです。次の図にあるように住宅資金などがかさむと、最後に必要となる老後資金が足りなくなる危険性があるのです。

そこで本稿ではこの住宅資金の問題を、賃貸で暮らすという視点で見ていきたいと思います。賃貸住宅は、日々の家計管理において住宅費のコントロールがしやすいのが魅力の1つです。

引っ越し当初には、敷金・礼金などのほか、地域によっては家賃1カ月分ほどの仲介手数料がかかることも。一方、購入となると、住宅ローン返済に加えて、維持費(固定資産税・都市計画税、マンションの管理費・修繕積立金)も継続的にかかります。では、賃貸はどんな人が向いているのかここで確認してみましょう。

① 住む場所が確定していない

「転勤が多い」「介護で親元に行く予定」「今お付き合いしている人と一緒に暮らすかも」など、住む場所が決まりにくい人は「賃貸」向きです。また、年収の変動があり住居費負担が軽い物件に移りたいと思ったときに、「賃貸」であれば自由に引っ越すことができます。対して「購入」して大きな住宅ローン返済を抱えることになれば、何か起きたときに返済が滞って家計が破たんし、自己破産に至る危険性もあります。

②健康状態が思わしくない

健康状態があまりよい状況でないと、高額な住居費を支払い続けることは難しくなります。実際問題として、健康でなければ団体信用生命保険(団信/住宅ローンの返済中に万が一のことがあった場合、残りの住宅ローンが全額弁済される保障制度)にパスせず、住宅ローンの審査に落ちることはありがちだからです。

③大きな借金を背負いたくない

家は高い買い物なので、多くの人が住宅ローンを組みます。その額、数千万円。そんな大きな借金を抱えると、自由に転職できなくなり、仕事に縛られ、ストレスをため込みそう……という人は、賃貸のほうが、日々の精神安定につながります。いつかは買おうと思っている場合も、貯蓄を増やして住宅ローンの借入額を少額に抑えるなど、検討しておきたいところです。

一生「賃貸」は、あり?

働いて収入を得ているときは、苦もなく家賃を払っていけますが、一生賃貸でいくとなると、1番大きな不安は、老後も払っていけるかどうかです。結論からいえば、退職後の月間支出(居住費+生活費など)が年金月額で賄えるなら、基本的には、一生賃貸でも大丈夫です。

賄えない見通しであれば、退職後の住居費を抑えたり(家賃負担の軽いところに引っ越すなど)、退職金や貯蓄を取り崩したりといった、何らかの工夫が必要になります。

その工夫の1つとして、賄えないと判断し、一生涯の住居費を前倒しで払う意味合いで、退職前の完済を目指して住宅購入に踏み切った人も多く見かけます。賃貸生活を続けるうえで、貯蓄を毎月取り崩す必要があるなら、退職後25年分(65~90歳)を退職金やこれまでの貯蓄の取り崩しで賄えるか早い時点で、一度試算してみるのがお勧めです。

具体的な自分の年金見込額を調べるには、「ねんきん定期便」を基にして計算するのが早道です。簡単な計算方法や年金見込額の調べ方などは、『書けばわかる! わが家にピッタリな住宅の選び方・買い方』に掲載しています。ご興味のある方はご覧になってみてください。

シニアの賃貸物件探しは大変!

一方、高齢者が住まい探しをしたものの、なかなかいい物件が見つけられないというシーンをテレビドラマなどで見かけますね。実際のところ、高齢になると賃貸物件は借りにくくなります。その理由の1つは「連帯保証人」です。日本で部屋を借りるときには、原則として老若男女問わず、誰かに連帯保証人をお願いする必要があります。

賃貸の連帯保証人には、単に収入があればよいわけではなく、その物件の家賃に見合う支払い能力が求められます。年齢や勤務先、年収などを所定の書類に記入して、それを証明する書類や実印の印鑑登録証明書なども提出してもらう必要があります。となると、身内以外の人には頼みにくく、引き受け手もいなさそうです。

このため、若い人が家を借りる際には、連帯保証人には現役で働いている親などがなるのが一般的です。そして、逆に、高齢者の親が家を借りる場合は、就労収入のある子どもに頼むのが通常です。もしも、子どもがいない場合には、甥や姪にお願いすることもありがちです。

家賃保証会社を使えば、連帯保証人を不要にしてくれる物件は増えてきてはいますが、実は、借り主が高齢者の場合は、親族などの連帯保証人を立てたのにもかかわらず、それとは別に保証会社の利用を義務づけるケースが2010 年ごろから増えています。日本賃貸住宅管理協会の調査(平成26年度)によると、貸主の60%は高齢者に対して拒否感を抱いているようです。

その理由は、高齢者に貸す際に抱える貸し主側の心配が、家賃の滞納への心配だけではないからです。高齢者は、長期間入院しがちなため家賃の滞納リスクも高まる印象があります。

加えて、心配されているのは「孤独死」です。遺体の埋葬、荷物の処分、部屋のクリーニングなどをしないと次の借り手を見つけられず、かつ、以後の借り手の家賃を引き下げざるをえなかったり、借り手が見つからず無収入になったりするリスクもあるのです。

そのため、ずっと賃貸でいく場合は物件を根気よく探す努力が必要です。

「退職後の暮らし」から決めるのが正解

「借りる」ことは一生涯を通し可能な選択肢ですが、もう一方の「買う」という選択肢にはタイムリミットがあります。買うとなると、現金で全額支払えない場合は、住宅ローンを借りて銀行などに売買代金を立て替えてもらって、数十年間にわたり分割払いしていくことになります。

このとき、銀行が数千万円もの大金を貸してくれるチャンスは、基本的に、安定した就労収入がある現役時代に限られています。言い換えれば、住宅ローンを組むほどの高額な物件を買うか買わないかで悩むことができるのは、就労収入がある間だけ。そして、買うことができるタイミングは、現役時代か退職金をもらったときの二択ということに。


『書けばわかる! わが家にピッタリな住宅の選び方・買い方』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

あとで後悔しないためにも、「退職後の暮らし」のイメージを早めに家族で共有しておくとムダがありません。例えば、「退職後は家族と海外や田舎で暮らしたい」という希望があるなら、自分以外の家族も移住がOKなのかどうか、早めに把握しておくという割と簡単な話です。

幸運にも、家族の意見が同じ方向性であったなら、退職するまでは賃貸暮らしを続けて住居費をうまく抑え、貯蓄に励み、将来の移住資金や長期滞在資金に備えるといいでしょう。

人生100年時代。豊かな老後を送るためにも、人生の終わりを今からイメージして自分にピッタリな住まいを見つけましょう。

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竹下 さくら:ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士

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