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2019.07.27

「体内時計のズレ」を見過ごしてはいけないワケ|重要なのは何を食べるかより「いつ食べるか」

東洋経済オンライン

体の不調がなかなかよくならない、そんなときは「体内時計」がズレてしまっているのかもしれません(写真:Fast&Slow/PIXTA)

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体の不調がなかなかよくならない、そんなときは「体内時計」がズレてしまっているのかもしれません(写真:Fast&Slow/PIXTA)

2017年に体内時計研究者のジェフリー・ホール氏ら3名がノーベル賞を受賞した「体内時計」ですが、いったいどのように私たちの健康に影響を及ぼすのでしょうか。

体内時計研究者の田原優氏の新著『体を整えるすごい時間割』を一部抜粋して解説します。

私たちの「外の時間」が24時間なのに対し、体内時計は少しずれているのが普通です。ちなみに、男性の平均は24.19時間、女性の平均は24.09時間。ですから私たちは、自分の中の時計を外の時間に合わせるべく、毎朝リセットをしなければならないのです。

しかし、この事実を知っている方は、非常に少ない。時計をずれたままにしておけば、健康に害を及ぼすようにもなります。「いつも体がだるい」「肌の調子が悪い」「よく眠れない」「便秘や下痢になりやすい」などといった症状がつねにあるなら、この「体内時計のズレ」が原因かもしれません。

「体内時計」に関しては、2017年に体内時計研究者のジェフリー・ホールら3名がノーベル賞を受賞したことから、一気にその名前が広がりました。現在では、体内時計をどのように健康のために利用していくかという分野にまで、研究の裾野が広がっています。

Breakfastの食事で健康な体をつくる

毎日ずれてしまう私たちの体内時計。それをリセットしてくれるのが朝食です。そして朝ごはんに何を食べるかで、体内時計がうまくリセットできるかどうかが決まります。具体的にはどのようなものを朝食として食べればいいのでしょうか?

結論は「旅館の朝食」です。ご飯にみそ汁、そして焼き魚。これぞ日本の朝ごはん!という定番メニューは、体内時計をピッと調整してくれます。それは次のような理由からです。

体内時計をリセットする物質はいくつかあるのですが、その中の1つが血糖値を下げる働きを持つ「インスリン」と呼ばれるホルモンです。米、すなわち糖質をとると血糖値は上昇します。そしてそれを下げるためにインスリンが分泌されます。このインスリンが体内時計のリセットにつながります。ご飯のように消化の速い炭水化物は、インスリンの分泌を促し、ひいてはそれが体内時計のリセットにつながります。

魚もリセット効果の高い食べ物です。魚の油に含まれる「DHA(ドコサヘキサエン酸)」と「EPA(エイコサペンタエン酸)」が、「インクレチン」というインスリンの分泌を助けるホルモンを増やすことがわかっているのです。つまり、結果的に体内時計のリセット効果を持つインスリンの分泌を助けてくれる、というわけです。

そうはいっても、毎朝焼き魚は難しい……ですよね。それならツナ缶はいかがでしょう。マグロはDHAが多い魚の1つですから、パンの上にツナ缶を乗せて食べてもいいですよ。コンビニで朝ごはんを買う方は、シャケやツナマヨのおにぎり、ツナサンドでも。定食屋や牛丼屋の朝定食なら、「旅館の朝ごはん」をワンコインで実現できます。

朝のリセットタイミングにコーヒーは最高

最近は昔からの習慣が「科学的にもよかった」と証明されることが増えています。コーヒーもその1つです。朝のコーヒーは、あなたの体内時計のリセットに役立ちます。コーヒーに含まれるカフェインには、強い体内時計のリセット効果があるからです。ちなみに夜のコーヒーは、体内時計を遅らせる結果になりますから、コーヒーは朝飲むことをお勧めします。

このように同じものを摂取しても、その時間帯によって体への影響は大きく違います。カフェインのように、朝はプラスの影響があっても、夜はマイナスになってしまう、ということもあるのです。

朝・昼・晩の食事は「7時、12時、19時」が理想

これまでどんな朝食がいいかを見てきました。しかしそれにも増して重要なのが「いつ食べるか」ということです。正解は、

「夜の長い絶食時間を置いた後」

です。

朝食は英語でbreakfastですが、このfastには「断食」という意味があります。つまり朝食は本来「断食を終わらせる」ということ。夜食べない時間を長くとった後の食事が、そもそもの朝食、つまりbreakfastなのです。

私たちの体が何をサインに「これは朝食だから、体内時計をリセットしなくては」と考えるかというと、それはこの夜の長い絶食時間です。そのためにも、夕食から次の日の朝食までの時間を、1日のうちでいちばん長くとらなければなりません。

そのために私がお勧めする食事のスケジュールは、「朝食7時、昼食12時、夕食19時」のような時間感覚のものです。このようなスケジュールであれば、朝食でのリセットはきちんと行われています。それぞれの絶食時間を見て見ましょう。

・朝食(7時)−昼食(12時)の間は、5時間

・昼食(12時)−夕食(19時)の間は、7時間

・夕食(19時)−朝食(7時)の間は、12時間 ←リセット!(いちばん長い絶食時間)

このように、夜寝ている間の絶食時間がいちばん長くとれていれば、体は朝摂取した食事を「朝食」と判断してくれるわけです。

時間がない人は、軽食でフォロー

しかし、このようなスケジュールが難しいという方もいるでしょう。とくに夕食が後ろ倒しになってしまうビジネスパーソンは多いはずです。例えば朝食7時、昼食12時、遅めの夕食を22時に食べる人だと、「昼食(12時)―夕食(22時)の絶食時間が10時間」と最長になってしまいます。22時から翌朝の7時までは、9時間しかないからです。


『体を整えるすごい時間割』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

このような場合は、18時ごろにおにぎりなどを食べるなどして、いちばん長い絶食時間を夜中に持ってくればOKです。このようにちょっとした工夫で体内時計のリセット時間を朝食にもってくることができるのです。

最近は昼食を食べないという方も多く、そうなると昼間の絶食時間がいちばん長くなってしまう可能性があります。ご自身の生活スタイルを振り返り、朝食でちゃんと体内時計がリセットできているかどうか、確認をしてみてください。

体内時計はちょっとしたことでずれてしまいます。しかし戻すコツ、ずらさないコツを知ってしまえば、自分自身でコントロールすることができます。体のリズムを崩さないためにも、だるさを解消してぐっすり眠るためにも、ぜひ体内時計リセットのための知識を活用してください。

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田原 優:早稲田大学先進理工学部准教授、早稲田大学時間栄養学研究所研究所員

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