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2019.08.15

習慣化したいなら「意思」よりもたくさんの「報酬」に頼ろう!【習慣の心理学#28】

kencom公式:心理学ジャーナリスト・佐々木正悟

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端的に言ってしまうと、習慣化を支えるのは報酬です。人は良い習慣であれば、それによって得られることを実感するから続けられますし、悪い習慣ですら、何かいい気持ちになれることがあるから続けられるのです。これを「報酬」と言います。
しかし、この「報酬」はその習慣を行いさえすれば自動的に得られるとは限らず、しかも一種類とも限りません。

ですから、報酬を確実に得られるように常に気をつけておく必要があります。
どんなに続けたい習慣があっても、報酬が得られなくなれば途切れてしまうものなのです。今回はその辺りの話をしましょう。

どんなに良い習慣でも、報酬が途切れれば続かない

ランニングも報酬の明確化が大事

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例えばランニングを例に挙げてみましょう。
少々つらい身体運動でも、実行すれば気分がスッキリするといった爽快感はだいたい得られるものです。ものすごく身体を動かすのが嫌いだという人もいるけれど、よほどの人でなければ、2kmくらい走るのは気持ちがいいと思います。。

けれどこれは、いつでも必ず得られる報酬ではありません。走れば絶対に気持ちが良くなれるとは限りません。初夏は良くても、真夏はつらいだけかもしれません。
つまり、ただ走るというのはそのままでは挫折の可能性を秘めた習慣であるということです。
できれば走ったら絶対気持ちが良くなれるというやり方を構築するのが望ましいでしょう。

真夏であれば、ランニング後に爽快感を伴うスプレーを必ず浴びるとか、ランニング中には絶対気分が向上する音楽を聴くなど、「自分がそれによってどんなメリットが得られるか」をビビッドに実感できる報酬を、毎度欠かさず用意しておく必要があります。

報酬は一つでなくても構わない

逆に、報酬を単発にする必要もありません。ランニングすれば気分が良くなることだけをいつも当てにするというのは、すでに述べた理由で良くありません。
同じ理由で、音楽だけとかスプレーだけに頼るのもよくありません。音楽だったら走らなくても聞けますし、スプレーは冬になると全然爽快さを感じられないものだからです。

そこで、他の報酬も付け足していきます。
ランニングをSNSで応援してもらうとか、毎日体重を量り続けてダイエットになっていることを実感するのも、メリットとしてカウントします。
さらに、Apple Watchのワークアウトなどを使って、いかに自分がいいことをしているかをビジュアルで確認するのもおすすめです。

また、可能ならランニング日誌をブログでアップするのもいいでしょう。
ブログのPVが伸びる様を楽しむこともできますし、あわよくばアフィリエイトなどを連動してお金も稼ぐことにつながるかもしれません。走ることがありとあらゆる報酬に結びついていくわけです。

報酬が挫折の防波堤にもなる

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こうしていけば、ひとつやふたつの報酬が損なわれる事態になっても、ランニング自体からいかなる報酬も得られないということはなくなります。習慣が報酬によって支えられるというのはこういうことです。

また逆に、ランニングをやめてしまうことによって失われる報酬の大きさも、意識しないわけにはいかなくなります。
人は何かを得られる喜びよりも、何かを失う苦痛を強く感じます。10万円を得る喜びの大きさより、10万円失う苦痛を大きく感じるというのは、経済心理学がよく指摘する事実です。
今まで得てきたものを失う辛さを避けるために、習慣化した事柄をそのまま続けてみようと思うことはよくあることなのです。

習慣化するためには報酬をしっかり定義しよう

いちばん理想的には習慣化した事柄自体によって得られる報酬が大きくなることです。ジョギングなら、走ること自体が楽しいというのがいちばん良いのはたしかです。それはたしかに走れば得られそうな喜びではあります。
でも、概して習慣化することは、やる直前の負荷が最大になりがちです。これから走りに行こうとするときの気の重さは、妄想のようなものであれ、大きいのです。
これを打破するために、ひとつでも多くの関連報酬をあれこれとしっかり用意しておくことが、挫折防止にもつながります。

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著者プロフィール

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■佐々木正悟(ささき・しょうご)
心理学ジャーナリスト。「ライフハック」の第一人者。専門は認知心理学。1997年獨協大学を卒業後、ドコモサービスに入社。2001年米アヴィラ大学心理学科に留学。04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。05年帰国以来、「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求し続けている。
著書にベストセラーとなった『ビジネスハックス』『スピードハックス』などのハックシリーズ(日本実業出版)のほか、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)などがある。

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