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2019.08.07

99%飲み薬だけで治る時代に!C型肝炎最新治療法

kencom公式ライター:森下千佳

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肝がんの一番の原因として、長い間恐れられてきたC型肝炎。
前回の記事では、30代以上の多くの人に感染のリスクがあることをお伝えしました。
しかし、「今は、C型肝炎は99%治る時代!」と語るのは、肝臓の専門家・銀座しまだ内科クリニック理事長の島田昌彦先生。
早期発見に不可欠の検査と最新治療法を教えていただきました。

血液検査が基本!C型肝炎のチェック方法

自治体によっては無料も「C型肝炎ウィルス検査」

C型肝炎の検査はとても手軽で、血液検査のみです。
血液中にC型肝炎ウイルス(HCV)抗体があるかどうかを調べます。抗体検査が陽性だった場合は、さらに、専門医による詳しい検査(HCV−RNA検査)に進みます。
HCV抗体陽性判定の中には、「過去に感染していたが治ってしまった人」と「現在感染している可能性が高い人」の両方が含まれるためです。

一般的な健康診断の血液検査で調べるのは肝機能(肝臓の健康状態)で、それだけではウイルスの有無はわかりません。だからこそ自らの意思でC型肝炎ウイルス検査を受けることが大切です。
C型肝炎ウイルスは普通の生活では感染しにくいと言われているので、一生に一度受けておけば安心です。

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「血液検査だけでOK」と、お手軽なC型肝炎ウイルス検査は、各自治体で原則無料で受けられる、とてもお得な検査です。
この事がよく周知されておらず、成人の5割以上が検査を受けていないという調査結果もあります。人生で一度受けておけば安心なので、是非受けて欲しいと思います。

▶︎肝炎ウイルス検査を受けられる施設

◎全国の保健所
→市町村が実施している検査で、満40歳以上で過去に肝炎ウイルス検査を受けた事がない方が対象。受けられる曜日や日時などが決められている事が多いが、原則無料で受けられる。

◎近所のクリニックなど
→市町村から委託されている診療所、クリニックなどで受けることができる。いつでも受けられることが多いが、費用の負担が必要な場合もある。

費用負担や実施方法は、お住まいの地域によって異なりますので、詳しくは市町村の健康増進事業担当課に問い合わせてください。

ウイルスのタイプや肝臓の状態で決まる治療方針

C型肝炎のウイルスの感染が確認された場合は、さらに詳しい検査を受けて治療方針を決めます。ウイルスのタイプや肝臓の状態を十分に把握した上で、治療を始めます。

①ウイルスのタイプ

C型肝炎ウイルスには1型と、2型がありそれぞれaとbがあります。これらは血液検査によって診断が可能です。薬や治療法を選ぶためにも確定が必要になります。

②肝臓の状態

画像検査や生検で、肝臓の状態と肝がんの有無をチェックすることになります。炎症を繰り返して肝硬変になっていないか、がんはないか、肝臓の状態を詳しく調べることでその後の治療に活かすわけです。

③合併症の有無

さらに、心臓や腎臓などの「合併症の有無」によって治療方法が変わってくるため、検査して調べます。生活習慣病を合併している場合は、その治療に使う薬との相性を考慮し、ともに効果的な治療法を探ります。

治療の最終目的は、ウイルスをなくし、肝がんにならないようにすること。そのためには、しっかり検査を受けて、現在の肝臓の状態と感染したウイルスのタイプを正確に把握する必要があります。

日進月歩の進化!C型肝炎の治療法

ほぼ完治可能!C型肝炎の最新治療法

以前の治療はインターフェロンという注射薬が中心で、治る確率がわずか2%ほどという時代もありました。ところが、ここ4〜5年で飲み薬の開発が画期的に進み、現在は直接ウィルスを攻撃する「抗ウイルス薬」を飲むだけの治療方法が主流です。適切な治療ができれば、C型肝炎の99%以上は治癒できる時代になってきています。

新しい薬は手軽で治療効果が高いですが、飲み忘れたり途中休薬したりするとウイルスが再増殖してしまい、薬が効かなくなることがあります。また、ウイルスが変異して「耐性ウイルス」となると、これまで使っていた薬では攻撃できなくなってしまい大変危険です。
C型肝炎のウイルスは変異しやすいので、薬の効果的な組み合わせと量を守って、決められた時間にきっちりと飲むことを徹底しましょう。
手帳やカレンダーで管理したり、服薬をサポートするアプリもあるので、自分にあった方法を見つけるのが大事です。

C型肝炎が治ったあとも定期的に検査を!

C型肝炎が治ったにも関わらず、肝がんになりやすい人の特徴が3つあります。

①お酒を飲む

②糖尿病、メタボがある

③脂肪肝がある

①〜③に当てはまる方は、普通の人に比べて肝がんになりやすいと心得て、定期的に病院にいくことをオススメします。
治療の効果でウイルスがなくなっても、すでに生じている肝臓の線維化など肝臓へのダメージは残るためです。せっかくですから肝臓をいたわる生活を心がけましょう。

肝炎に特化した検査を受けることが大事

繰り返しになりますが、一般的な健康診断や人間ドッグの血液検査で調べるのは肝機能(肝臓の健康状態)で、それだけではC型肝炎ウイルスの有無はわかりません。
30歳以上で、まだ検査を受けたことのない方は、ぜひ一度、ウイルス検査を受けておきましょう!

■30代以上は罹患リスク高め!がんを招くC型肝炎を知りたい方はこちら

島田昌彦(しまだ・まさひこ)先生

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医学博士。銀座しまだ内科クリニック(東京都中央区)院長。
金沢医科大学卒業後、東京女子医科大学消化器内科にて非アルコール性脂肪肝炎を研究。その後金沢医科大学准講師、東京女子医大八千代医療センター消化器内科などを経て現職。日本肝臓学会 専門医・指導医。

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
お茶の水女子大学理学部卒。2000年に東海テレビ放送に入社し、主に報道記者として事件、事故を取材制作。女性ならではの目線で取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。2009年に家族の転勤で、ニューヨークに渡り4年間移住。当時日本ではなかなか手に入らなかったオーガニックのベビー商品、コスメなどを日本に届けるベンチャー起業を立ち上げに関わる。2013年帰国し翌年に女児を出産。2016年より子宮頸がん検診の啓発活動と健康教育を手掛ける一般社団法人の理事を務める。2019年よりフリーのエディターとして、主に女性と子供の健康、子育てに関する取材、発信している。

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