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2019.07.27

夏の風邪は「カビ」が原因かも!?水回り掃除から始める対処法

kencom編集部

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夏になるとよく風邪をひいて長引く、咳がいつまでも出る、家の中に限って体調が悪くなる、そんな症状がある人はいませんか?この原因のひとつとして「夏型過敏性肺炎」が考えられるそうです。夏の肺炎という意外な病気について医師の坂本静樹先生に伺いました。

坂本静樹(さかもと・しずき)先生

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日本医科大学卒業。日本内科学会認定総合内科専門医、日本神経学会認定神経内科専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント、東京総合保健福祉センター江古田の森センター長などを歴任。現在は産業医として企業内でも活躍中。

夏の風邪は家の中に原因あり?

夏風邪と間違えやすい「夏型過敏性肺炎」

肺炎といえば冬に多いイメージがありますが、最近増えているのが夏型過敏性肺炎です。

風邪とよく似た症状なので、ほとんどの人はたいした病気だとは思わず放っておきがちです。病院でも風邪と診断されることが多く、消炎剤や抗生物質などで一時的に症状が良くなるので、治ったように感じます。
ところが秋になって自然に良くなっても、翌年の夏近くになるとまた風邪っぽい症状が出はじめます。これを数年くり返すうち、慢性化して肺の機能が少しずつ低下しすぐに息切れを起こすようになります。

一般的な肺炎と異なり、過敏性肺炎の原因はそれ自体が無害であるカビなどの有機物や化学物質を日常的に吸い込むことにより、肺がアレルギー反応を起こすことにあります。
アレルギー反応を起こすようになった肺の中に再びその物質が再び入ってくると、肺胞に炎症が生じ肺炎を起こします。

夏型過敏性肺炎は夏季をピークとして6月頃から10月頃までの間に発症するため、夏型過敏性肺炎と呼ばれています。冬季には見られず、また夏季であっても秋田県、岩手県より北の地域ではほとんど発症しないと言われます。アレルギーによる発症のため人から人にうつる心配はありません。

原因はカビ

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過敏性肺炎にはその原因に応じて50以上の種類がありますが、その中で日本人が最も多く罹患するのは夏型過敏性肺炎で、1991年の厚生労働省の調査によると過敏性肺炎の約75%をしめると言われています。

夏型過敏性肺炎の原因となる物質はトリコスポロンという室内にいるカビです。トリコスポロンは風通しや日当たりの悪い高温多湿な環境を好み、古民家の柱や梁、畳が腐っているところに生息します。

一方、新しい家でもキッチンのシンクや浴室、洗面所、洗濯機の下の水受け、畳の部屋などにカビが生えているとトリコスポロンがいる可能性が高いです。また、エアコンのフィルターも発生しやすい場所です。トリコスポロンの胞子の大きさは3~10ミクロンと非常に小さいので、エアコンや扇風機の風に乗って家中に飛んでいき、人が吸い込んだ際に肺胞の中まで到達してしまいます。

夏型過敏性肺炎の症状

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夏型過敏性肺炎になると、咳・発熱・息切れ・呼吸困難などといった症状が出ます。トリコスポロンの浮遊する環境で暮らしている人、特に長時間屋内にいることの多い主婦や自営業の人に発症しやすい病気です。
ですので、トリコスポロンの胞子の発生源と考えられる場所から離れることで症状を鎮めることができます。風邪だと思って自宅でゆっくり寝ていても、原因となるトリコスポロン自体が自宅の空気中に浮遊しているために、なかなか治らないのが特徴です。

かえって入院したり旅行に出ると、トリコスポロンから離れるので症状が軽減されたりします。この自宅を離れると症状が良くなることが決め手になって診断されることもあります。また、高温多湿な夏季を過ぎて冬季に入ると夏型過敏性肺炎の症状は見られなくなります。

夏型過敏性肺炎が疑われたら早めに呼吸器専門科を受診することが必要です。病院では症状が重い場合は入院してステロイド薬の内服や点滴でアレルギーに対する治療をします。

ただし、繰り返しトリコスポロンの胞子を吸い込んでしまう環境に晒されている場合は慢性化し、別の環境に移動しても症状が良くならず、日常的に咳や呼吸困難のような症状を発症することもあります。特にタバコを吸う人は夏型過敏性肺炎の悪化が早い傾向があるので禁煙することが大切です。

症状を抑えるには

家でできる対策としては、キッチンシンク、浴室、洗濯機などの水回りやエアコンの内部をしっかり清掃消毒し、トリコスポロンの胞子が発生する環境を作らないことです。

水回り

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トリコスポロンは蛇口部分に多く付着しているので、台所のキッチンシンクや浴室、洗面所、洗濯機の下の水受けなどの水回りに増殖しやすいです。特にシャワータイプのものは水が溜まりやすいので、カビが生えている可能性が高く注意が必要です。水洗いできる場所は、通常のカビ取り剤などで除去し、乾いてから消毒用アルコールを塗るとカビが生えにくくなります。

キッチンや洗面所などの水回りは、カビを除去したら、日ごろから水はねをふき取って湿気を防ぐことが大切です。浴室は、入浴後に壁などの湿気をふき取るだけで、カビの発生をおさえることができます。

エアコン

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エアコンも2週に一度は掃除することが大切ですが、季節の変わり目でしばらく使わないときは、送風運転などで内部を乾燥させるとカビが生えにくくなります。ただし、エアコンをつけたとたん咳が出るような、すでにカビが発生していると思われる場合は専門の清掃業者などに依頼した方がいいでしょう。
またエアコンを回しているときも時々窓を開けて風を通し、カビを外に出すことも必要です。

畳・カーペット・寝具

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トリコスポロンは水回りに多く繁殖する傾向にありますが、畳の下、畳自体やカーペット、枕や寝具に繁殖する場合もあるので注意しましょう。枕や寝具に繁殖してしまった場合にはクリーニングに出しても除去できないので、処分して新しいものに買い換える方がよいでしょう。

寝具は湿気が多い押し入れにしまうことが多いですが、押し入れの床はベニヤでできていて、これも湿気があるとトリコスポロンが好む場所になってしまいます。疑わしい木部はすべて新しく張り替えることで、これから収納する寝具への感染を予防する対策になります。

夏に自宅など特定の場所で出る症状に気を付けて

この病気は医師にとっても疑わなければ診断ができない病気で、診断するには患者さんから家での生活の様子を詳しく聞きだす必要があり、見落とされがちです。

症状が夏風邪や喘息と似ているため、区別がつきにくいですが、夏に自宅など特定の場所で症状が出るという点が夏型過敏性肺炎の特徴です。夏に咳が長く続いたら、なるべく早く病院で診てもらいましょう。

その際に医師に自宅の水回りの状況をよく説明してください。そして、カビを除去すること、カビの発生を防ぐことが、根本的な解決に必要です。
カビは湿度が60%以上で発生しやすくなり、80%を超えると増殖が顕著です。カビは糖類を好み、石鹸カスや身体の垢も栄養源とします。日頃からご自宅の水回りには防カビ剤を使い、汚れが酷い場合は消毒用エタノールを使用し、その後よく乾燥させて清潔にしてください。

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