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2019.07.24

慢性胃炎とさようなら! 健康な胃を取り戻す治療と生活習慣を知ろう 【胃炎・後編】

KenCoM公式ライター:森下千佳

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前回の記事では、慢性胃炎の主な原因「ピロリ菌」について詳しくお伝えしました。
今回はピロリ菌の検査方法と除菌方法、また、ピロリ菌がいないのにもかかわらず、「胃が弱い」と感じられている方への胃に優しい生活習慣など、胃の不調を克服する方法について、引き続き胃腸の専門医近藤慎太郎先生に伺いました。

■胃炎ってそもそもどんな病気?そのメカニズムをやさしく解説!

健康な胃を取り戻す「ピロリ菌」との付き合い方

ピロリ菌の検査方法

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ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる検査には、検査用の薬を飲んだあとに吐いた息を調べる尿素呼気試験、血液や尿を調べる抗体検査、便を調べる便中抗原検査などの方法があります。正確性が高いのは尿素呼気試験で、身体に対する負担も特にありません。

ピロリ菌検査に健康保険を適用する場合には、事前に胃の内視鏡検査(場合によってはバリウム検査も可)を行って、胃炎や胃がんなどが起きていないか胃の粘膜の状態を観察する必要があります。
胃の痛みなどがなく、自主的に検査を受ける場合は、内科、消化器内科、人間ドックなどで受けることができます。全額自己負担で、3,000~5,000円ほどです。

ピロリ菌の除菌治療

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ピロリ菌の除菌治療は、2種類の抗生物質(抗菌薬)と、胃酸によって抗生物質が効かなくなるのを防ぐための「胃酸の分泌を抑える薬」の、合計3種類の薬の服用で行います。
これを1日2回、7日間欠かさずに飲み続けます。これが1次除菌で、治療が終わってから1~2ヵ月後にピロリ菌の検査を行って感染していなければ治療終了となります。
残念ながらピロリ菌が残っていたら、2次除菌を行うことになります。

治療中は胃を含め、腸などに住む細菌も一部は滅菌されてしまうため、下痢や腹痛を起こしやすくなります。
また、1次治療と2次治療を合わせると、除菌の成功率は99%以上と高確率ですが、飲み忘れなどがあるとピロリ菌が薬への耐性を持ってしまうケースがあります。
そうなるとなかなか除菌しにくくなりますので、治療は前後の予定などをしっかり確認した後に始めることになります。

50歳を過ぎたら内視鏡検査を!

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ピロリ菌の除菌は、多くの場合胃がんになる可能性を大きく下げますが、ゼロにするわけではありません。なぜかというと、胃がんになるかどうかは、ピロリ菌がどれだけ長い間、胃にダメージを与え続けていたかが関わってくる問題だからです。ピロリ菌の除菌はあくまで、今以上にダメージを広げるリスクを抑えたということになります。

ピロリ菌の除菌治療前に内視鏡検査を受けますが、胃粘膜の萎縮があると診断された人は除菌後も胃がんが発生していないかチェックするため、定期的に内視鏡検査を受けることをおすすめします。

なかには、検査でピロリ菌が見つからなかったのに胃がんになるケースもあるので、50歳を過ぎたらピロリ菌感染の有無に関わらず、一度、胃の内視鏡検査を受けたほうがよいでしょう。

胃炎にならない生活習慣を心がけよう

ピロリ菌が原因のもの以外にも、胃炎を引き起こす原因はたくさん存在しています。その中でも普段から気をつければある程度防げるものもあります。それが下記の要素。
これらについてもご説明しましょう。

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■ 刺激物を避けて、お酒は適量を守る!

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胃の働きをよくする食べ物や、食べない方が良い食品というのは特にありません。

しかし、胃の調子が悪い時は、極端に辛い食べ物やすっぱい食べ物、またカフェインなどは胃を刺激するので控えた方が良いでしょう。
お酒に関しても適量の範囲であれば楽しむことができます。しかし、大量の飲酒は食道がんをはじめ多くの病気の危険因子になるので飲み過ぎには十分注意してください。

■ 早食い、ドカ食いは厳禁!

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胃の中に食べ物が入っている状態が長くなればなるほど胃の負担が大きくなるので、食べ物をよく噛んで消化を助けましょう。胃の出口というのは、1〜2cmほどしかない狭い穴なので、とにかくよく噛んでこの穴をスムーズに超えて行きやすい状態にしてあげることが大切です。
また、食べ過ぎたりして胃が膨らむと、胃が張り詰めた状態になり、下部食道括約筋が緩みやすく胃酸が逆流しやすくなります。腹八分目を心がけましょう。環境が許すならば、1回分の食事の量を減らし、回数を増やすことも胃にとっては優しい食べ方だと思います。

■ 食事時間は決めて、規則正しく!

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食後は食べたものを溶かそうとする胃酸の分泌が盛んになるため、すぐに横になると胃酸が逆流しやすくなります。
また、重力の影響で食べ物が逆流しやすくもなり、食道にも悪影響です。食後3時間は横にならないように心がけましょう。

■ タバコは大きなリスク。今すぐ禁煙を!

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喫煙すると胃の粘膜になる血管が収縮して血液循環が悪くなり、胃粘膜の抵抗力を低下させます。さらに、喫煙は胃酸の分泌を促進するため、胃粘膜が攻撃され胃痛を引き起こします。
また、胃の動きを悪くする作用があるので、食欲不振を招いたり胃の機能異常を起こしたりする原因にもなります。

胃のメンテナンスで、リスクを回避しよう

ピロリ菌を除菌したり、胃の治療を受けた患者さんはよく「ご飯が美味しくなった!」と語ることが多いです。
長引く胃の不調を抱えているとストレスが溜まるもの。ご飯が美味しく爽快な日々を送るために、胃のメンテナンスと胃に優しい生活習慣を今日からはじめてみましょう。

近藤慎太郎(こんどう・しんたろう)先生

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東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部付属病院を経て山王メディカルセンター内視鏡室長、クリントエグゼクリニック院長などを歴任。消化器専門医として多くのがん患者を診療し、年間2000件以上の内視鏡検査・治療を手がける。著書に『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ!』(さくら舎)など。今年東京・渋谷に近藤しんたろうクリニックを開院。

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
お茶の水女子大学理学部卒。2000年に東海テレビ放送に入社し、主に報道記者として事件、事故を取材制作。女性ならではの目線で取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。2009年に家族の転勤で、ニューヨークに渡り4年間移住。当時日本ではなかなか手に入らなかったオーガニックのベビー商品、コスメなどを日本に届けるベンチャー起業を立ち上げに関わる。2013年帰国し翌年に女児を出産。2016年より子宮頸がん検診の啓発活動と健康教育を手掛ける一般社団法人の理事を務める。2019年よりフリーのエディターとして、主に女性と子供の健康、子育てに関する取材、発信している。