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2019.07.12

肥満外来でも指導する「記録式ダイエット日誌」の効果とは【肥満外来・後編】

KenCoM公式ライター:松本まや

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砂山先生のクリニックでは患者が自ら生活習慣の問題点に気が付き、自発的に改善に取り組むことを目指しています。そこで、1日1日の食事内容や体重の増減ではなく、1週間、2週間単位などある程度の期間で変化を観察してもらいます。
そのために、記録用の日記に毎日の体重と食事内容を記録することが、まず治療の大原則となります。
今回はその方法を特別に公開いただきました。

成功率は?どう進める?肥満外来の治療の進め方

どのくらいの人が続けられるの?

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毎日体重や食事内容を記録するのは少し手間に感じますよね。実際にどれくらいの人が続けているのでしょうか。
砂山先生のクリニックでは半数ほどが半年間継続して受診しています。途中で体重が増えてしまったり、記録が途絶えてしまったりしても大丈夫。完全に諦めてしまわず、細く長く続けていくことができます。
実際に1年間継続した患者は平均して5%程度の減量に成功しています。これは体重80キロの人であれば、4キロ程度。3~5%の減量で、肥満が原因の健康障害が大幅に改善するとされていますので、理想的な数字と言えます。

では、治療はどのように進められていくのでしょうか?

初診では何を調べるの?

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肥満外来を受診すると、まず身長体重の測定や採血、採尿、レントゲンや心電図などの検査をして、健康障害の有無などを調べます。さらに医師の診察、看護師との面談や管理栄養士の食事指導を通して、患者1人1人に応じた治療や生活習慣改善のためのアドバイスを受けます。体重と食事内容を記録するための日記もこのときに渡され、初診のその日から記録を始めていきます。

2回目以降の進め方

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2回目の受診では「運動負荷心肺機能検査」を行います。心電図や血圧計、呼吸分析用のマスクを装着した状態で体を動かし、運動中の心臓の動きや血圧の変化、呼吸を分析し、心疾患の有無や運動能力を判定するための検査です。
この結果を記載した運動処方箋を参考に、今後のトレーニング内容を検討していきます。自力でジム通いをする場合と違って、医学的見地から最適な運動量を調べてもらえるのはとても安心ですよね。

3回目以降は月に1回程度受診し、体重と食事の日記を参考にしながら食事指導や診察を受けていきます。

「記録式ダイエット」守るべきルールはこれ

記録は「1日4回の体重」と全ての食事

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「記録式ダイエット」を実践する際、必ず記録するのが1日の体重の変化と食事の内容の2つです。特徴は、体重を1日4回量ること。瞬間的な体重ではなく、体重変化の流れを確認するためです。実は人の体重は1日の中で1~2キロ増減しており、散発的に体重を測定するだけでは、実際に減っているのか増えているのかの判断が難しいのです。

測定のタイミングは起床後(排尿後)、朝食後、夕食後、就寝前の4回です。規則正しい生活ができていれば、体重は起床時に最も低く、夕食後に向けて増えていきます。1、2週間の単位で体重変化の流れを比較してみて、体重の増減が日によって不規則になっていれば、規則正しい食事ができていないことが分かるのです。

実際にダイエットに使用される用紙。上部の目盛りに体重を記入。
食事は食べた内容はざっくりと、食事開始時間と食事終了時間を記入する。

実際にダイエットに使用される用紙。上部の目盛りに体重を記入。 食事は食べた内容はざっくりと、食事開始時間と食事終了時間を記入する。

回数が多く負担に感じるようであれば、起床後と就寝前の2回だけでも十分参考になります。

朝昼夜の1日3回の食事は、食事の時間とざっくりとメニューを記録する程度で十分。体重同様、1〜2週間の単位で食事の規則性を観察することが目的のため、細かなカロリー計算などは不要なのです。メニューの記録だけでいいのであれば、隙間時間ですぐに書けそうですね。

どうしてもお腹がすいてしまったら間食もOK。ただし、体重増の要因となるため時間や量を詳しく記録する必要があります。記録が面倒で間食を我慢するという人もいるそうなので、食べすぎへの抑止効果も期待できそうですね。

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もしも記録が続かなかったら

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日記を付けようとしたものの3日坊主で続かなかった。そんな経験がある人も少なくないですよね。仕事も忙しい毎日で、欠かさず記録を続けるのは難しいかもしれません。
でもご安心ください。記録が少し空いてしまっても無理に遡って埋める必要はなく、できるところからまた始めれば問題ありません。完璧でなくてもまずは続けることが大事なのです。

目指すべきは規則正しい食生活

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実際に記録ができたら、数週間~1ヵ月のロングスパンで体重変化の流れを確認します。理想は数週間かけてゆるやかに右肩下がりを描いていること。急激な体重減少ではなく、あくまで少しずつ継続的に減らすことを目指します。
その他、早食いにならず十分な時間をかけて食事をしているか、食事の内容や量、時間にばらつきがないか、朝食を抜いてしまっていないかなどを確認し、改善すべき点はないかよく分析します。

ここで理想とする規則正しい食生活とは

・3食きちんと食べていること

・食事の時間にばらつきがなく、食事の間隔が一定であること

・一定の食事量が守られていること

です。
ダイエット中でも3食食べていいなんて意外ですよね。でも、これを守るだけで多くの人は自然と体重が落ちていくのです。

肥満外来では1人1人に合った指導が受けられる

ここまで見てきたように、結局ダイエットに取り組むのは自分自身。成功は減量する本人にかかっています。
ただし肥満外来では無理なく少しずつ痩せること、ダイエットに不可欠な「継続すること」を1人1人に合わせてサポートしてもらうことができます。医学に裏付けられた安全な運動法や専門家の食事指導が、まとめて受けられるのは肥満外来ならではですね。
定期的な受診はハードルが高いと感じる人は、適切な糖質制限の方法や食事内容へのアドバイスだけを受けることもできます。
もし気になっているのであれば、少し覗いてみてはいかがでしょうか。

■どこからいったい肥満なの?がわかる前編はこちら

参考文献

一般社団法人日本肥満学会,「肥満症診療ガイドライン2016」

砂山聡(すなやま・さとし)先生

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順天堂大学医学部卒。水道橋メディカルクリニック院長。虚血性心疾患の研究などに注力。日本循環器学会認定専門医。日本内科学会認定内科専門医。クリニックでは、民間スポーツ施設と密接に連携した治療を行う。

著者プロフィール

■松本まや(まつもと・まや)
フリージャーナリスト。2016年から共同通信社で記者として活躍。社会記事を中心に、地方の政治や経済を取材。2018年よりフリーに転身し、医療記事などを執筆中。

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