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2019.07.12

「最近太ったかも!?」そんな人の駆け込み寺!「肥満外来」って何【肥満外来・前編】

KenCoM公式ライター:松本まや

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2017年11月に厚生労働省が実施した「国民健康・栄養調査」によると、なんと日本人男性の約30%が肥満状態にあります。
「そういえばお腹周りがなんだか気になってきた……」「気を付けてはいるのに歳をとって痩せづらくなってきた……」「この間の健康診断で『メタボ予備軍』と言われてしまった」。
そんなあなたに、医療面から減量をサポートしてもらえる、「肥満外来」という手段があります。
「外来」と言われると「治療するほど深刻ではないかもしれない」と敬遠してしまうかもしれませんが、その実何ができるのでしょうか。「水道橋メディカルクリニック」の砂山聡院長に教えていただきました。

砂山聡(すなやま・さとし)先生

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順天堂大学医学部卒。水道橋メディカルクリニック院長。虚血性心疾患の研究などに注力。日本循環器学会認定専門医。日本内科学会認定内科専門医。クリニックでは、民間スポーツ施設と密接に連携した治療を行う。

そもそも肥満とは何を指すの?

「肥満」「肥満症」って何?

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そもそも「肥満」や「肥満症」の定義をご存知ですか。

肥満と肥満症は、一般に下のBMI(体格指数)を使って判定します。

BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

日本では、この数式によって算出されたBMIが25以上の人が「肥満」と判定されます。
実は世界保健機関(WHO)では、BMI30以上が肥満とされています。日本人はBMI25を超えると高血圧などの合併症リスクが高まることが確認されているため、日本肥満学会ではBMI25を基準と定義しています。

では、肥満と肥満症の違いはどこにあるのでしょうか。
肥満とはBMI25以上であっても、糖尿病などの健康障害を併発していない状態のことをいいます。
一方、肥満症とはBMI25以上かつ、①糖尿病や脂質異常症など肥満に起因もしくは関連する健康障害があるか、②内臓脂肪が100平方cm以上蓄積しており、そうした健康障害が予測される状態で、医学的にみて治療が必要な病気です。

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肥満を放置するとどうなるの?

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糖尿病や脂質異常症、高血圧など11もの疾病に肥満との関連性が確認されています。
これらの多くは減量によって改善が期待できます。

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肥満外来は肥満を改善することでこれらの病気を治療する医療機関です。美容目的ではなく、あくまで治療なので健康障害が確認されれば保険も適用されます。

肥満外来ではどんな治療を行っているの?

具体的な治療は4種類

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肥満外来では大きく分けて4種類の治療が行われます。食事指導、運動指導、薬物療法、外科手術です。
それぞれもう少し詳しく見てみましょう。

① 食事指導、② 運動指導

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意外なようですが、肥満外来で行われているのは「食事指導」と「運動指導」の2つの軸による生活習慣の改善といった、最も正攻法の治療です。
肥満外来では肥満を原因とした健康障害の治療を行っていきます。健康的に減量することが大前提ですので、無理を強いて短期間で痩せるのではなく、継続できるよう無理のない形での生活習慣の改善を目指すことになります。
人の体を形作るのは日々の習慣の積み重ね。医師だけでなく、管理栄養士やトレーナーも一丸となって、食事の習慣や内容、一人一人に合わせた運動指導を行います。 肥満外来での具体的な治療法はこの次で詳しくご紹介します。

③ 薬物療法

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肥満症に対する薬物療法。これだけ聞くと「画期的な痩せ薬が存在するのかも」と期待が募りますよね。
……残念ながら、長期的に使用できる薬は現在ないのです。

日本では唯一、「サノレックス」という食欲抑制剤が厚生労働省からの認可を受け、保険も適用されます。しかし、うつ状態、睡眠障害などの副作用も確認されているため、服用は3ヵ月が限度です。
長期的に少しずつ減量を目指す場合には、あまり向かないのです。

④ 外科手術

重い健康障害に苦しむ方や高度肥満の方には、胃の容量を小さくすることで、少量で満腹感を感じられるようにしたり、栄養の吸収を抑えたりする外科治療を適用することもあります。

外科治療には、胃の一部を切除して、胃をバナナのような形に細くしてしまう「腹腔鏡下スリーブ状胃切除術」や、胃を小さな袋に分け、直接小腸につなげる「腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術」などがあります。日本で保険が適用される術式は現在「腹腔鏡下スリーブ状胃切除術」のみです。

どの術式も慢性的に栄養の摂取量が抑制されるので、長期的な減量効果が期待できるだけでなく、糖尿病による死亡率が90%近く減少するとも言われています。重い合併症を抱える人には非常に有効な手段なのです。

一方で、手術による体への負担も大きく、栄養の摂取が阻害されるいわば「病的な」状態を人工的に作り出すことになり、術後のリスクも高いというデメリットもあります。そのため、早期の治療が必要な高度肥満の方や糖尿病を患っている方への適用が中心で、一般的にはあまり選択されません。

具体的な指導内容は自分たちでも実践できる!

では、実際に肥満外来ではどのように治療が進められていくのでしょうか。
具体的な治療法と減量のためのヒントを後編で見てみましょう。

■具体的な治療法を伝授!後半はこちらからどうぞ

参考文献

著者プロフィール

■松本まや(まつもと・まや)
フリージャーナリスト。2016年から共同通信社で記者として活躍。社会記事を中心に、地方の政治や経済を取材。2018年よりフリーに転身し、医療記事などを執筆中。

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