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2019.07.18

失敗してもくじける必要はない!成功・習慣化にはこんな仕組みがあった【習慣の心理学#24】

KenCoM公式:心理学ジャーナリスト・佐々木正悟

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何かを習慣化する際に、初めの頃はたくさんの失敗をすると思います。多くの人はそこで挫折してしまうのですが、私からするとそれは本当にもったいない話だなと思ってしまいます。
なぜなら、失敗は習慣化を成功させるために欠かせない要素だと言えるからです。もっと言えば、身体に覚えさせる「身体化」こそが大事になるわけです。
今回はそのあたりの話をしましょう。

習慣化は頭ではなく、身体でするもの

小脳が習慣を作る?

もう10年くらい前のことですが、習慣化と言えば何かと「小脳」が取り沙汰された時代がありました。
自転車に乗れるとか、泳げるようになるとか、ピアノを弾けるようになるなど技術的なことをマスターするには、とにかく小脳を活用するので、「失敗を繰り返す必要がある」というような話です。

どこかでお読みになった方も多いのではないでしょうか?
なぜ失敗を繰り返す必要があるかというと、「小脳は失敗を覚えない」ので、たくさん失敗する中の「成功」だけがフィルタリングされ、記憶されていき、最後には「成功した記憶」すなわち技術をマスターできるから、という理屈でした。
技術だからといって全部小脳が覚えるわけでもないでしょうし、自転車はともかく、バイオリンなども失敗を繰り返せば自然とひけるようになるかというと、そうでもないとは思いますが。
ただ、一つ言えるのは

習慣化は身体で 失敗をたくさんするうちに自然と覚えていく

というのは本当だと思います。
私も今では、この原稿を書くのに、タッチタイプの技術と切り離して考えるのはとても無理です。つまり原稿を書くという習慣は、タイピングという習慣と一体化してしまっているのです。

身体による習慣化は「ほぼ自動化できる」のがいいところ

もちろんタイプミスもものすごくたくさん繰り返すうちに、正確なタッチタイプが高速にできるようになったわけです。
「身体による習慣化」をいちばん感じさせられるのが、タッチタイプしているうちに原稿が進むという事実です。

他のライターさんなどがどのように文章を書いているのかは知りませんが、私の本の書き方というのは、こうなのです。つまり、なにも考えずにほんのわずかでも言葉が浮かんだら、すかさずタッチタイプしていって、タイプしている文章を読みながらネタを練っていきます。

何か大それたことを言っているように思ってくださる方がいるかもしれませんが、ありきたりなことなのです。

ピアノが弾ける人だって、指の動きを全部「考えてからひく」ことは少ないかもしれません。私は泳ぐのはかなり得意はほうですが、泳ぐ時は頭で事前にイメージしなくても、水に入って泳ぎ出せば泳ぐことができます。

文章だけはそうではなく、頭で綿密に考えてから書き出すものと思い込んでいる人が多いようなのですが、私にとっては全然違います。文章を書くというのも「習慣」で、それは泳いだり散歩したりするのとよく似ています。事前に考えていることを書くのではないのです。
水に入って泳ぎ出すことが泳ぐことであるように、パソコンでタイプしているうちに書き出すことが書くということになるのです。

考える前に行動に移そう!

そういう意味で早起きにしても英語の勉強にしても、いかに早く身体化していくかという点をもっと強調して実践するべきです。

早く起きるために目覚ましの工夫をするというのもいいのですが、なんだか精神に訴える傾向が強すぎるように思います。まず寝床から出る。冷たい水を飲む。外に出るなど、身体を使ってなにをするかがものを言います。
要するに「起きる」というのは寝床から出ると言うだけではなくて、眠りから目ざめ、朝の最初の時間にいろんなことをする20分ほどの全体を「起きる」というのだと思うのです。
英語の勉強にしても、机に座ってテキストを使う必要があるとは思えません。別に、散歩しながらでもいいでしょう。このように身体の活動中に実行し、同じ事を繰り返す方が獲得が早いですし、獲得してしまったときには忘れにくくなります。

習慣化するにあたっては、
・どのような一連の行動を取るか
・どんなふうに身体を使うか

という視点で考えていって、後はそのように「身体を動かす」ことを繰り返すとラクです。

身体化で新しい習慣を身につける

例えば、ブログを書けないといって悩むよりは、デタラメな文章でいいからタッチタイプしていく方がラクに身につきやすくなります。
他の習慣化も同じ考え方で捉えることができるでしょう。

習慣化は決して頭ですることではありません。身体ですることだととらえて挑んでみてください。きっと成果が出始めるはずですよ。

著者プロフィール

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■佐々木正悟(ささき・しょうご)
心理学ジャーナリスト。「ライフハック」の第一人者。専門は認知心理学。1997年獨協大学を卒業後、ドコモサービスに入社。2001年米アヴィラ大学心理学科に留学。04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。05年帰国以来、「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求し続けている。
著書にベストセラーとなった『ビジネスハックス』『スピードハックス』などのハックシリーズ(日本実業出版)のほか、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)などがある。

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