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2019.06.06

アスリートが記録にこだわる理由は仕事にも活かせる!【習慣の心理学#18】

KenCoM公式:心理学ジャーナリスト・佐々木正悟

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習慣を身につける際、大事であると言われるのが「記録」です。しかし大事だからと言われても、一体何の意味があるのだろうと思いながら記録されている方もいらっしゃるでしょう。
確かに記録をつけるのは大事です。ですが、その活用法や見方・捉え方を学ぶことも同じくらい大事なこととなります。
今回は、その辺りに迫ってみましょう。

習慣化の「記録」はアスリートに通じる

「記録」が重視されるアスリートの世界

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私がよく取り上げる「習慣化」や「仕事術」は何かと記録、記録、記録となりがちですが、別の意味で仕事自体が記録にまみれている世界があります。

それはアスリートの世界です。

先日も、陸上100m走でサニブラウンが9秒99をマークし、日本人としては2人目の9秒台を「記録」しました。
言うまでもない話ですが、日本人がめったに100m9秒台を出していないことも、「2人目」であることも、いずれも「これまでの100m走の記録が残っている」からこそわかることです。

さらに言うまでもなく、そもそもサニブラウンが走っているレースでタイムを計っていたから「9秒台!」とわかるわけです。たまたまタイムを計り損ねていたら、そういうことはわからないのです。

プロ野球でもサッカーでももちろん100m走でも、何かと「レコード」が話題になりますが、そこには必ず記録係という存在があるのです。記録が残されているから、新記録が新記録だとたちまちわかり、世界中の話題をさらったりするわけです。

普通の我々も「記録」を祝おう!

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どうして会社員の人が記録を計り、新境地を開拓したことを、せめて自分だけでも祝ってはいけないことがあるでしょう?

私は毎日、どうでもいいような記録を大量に残していますので、ときどき「新記録!」が生まれることを意識しています。
たとえば、1000文字最速で書けたという日があったりします。または、1日でもっとも多くの文字数を書いた日というのも記録に残っています。

だからなんだと言われると何でもありませんが、私たちは自分の専門分野において、アスリートと同じ存在です。この場合には正規か非正規かなどという話は関係ありません。すべてのアスリートが「正規雇用か」どうかなど、誰もそれほど気に留めていないはずです。

私たちは何らかの形で日々努力していますし、毎日それなりの「ベストを」尽くしているものです。仕事となれば特にそうです。もちろんアスリートのように、きわめてわかりやすい記録を意識できるわけではないにせよ、仕事の成果を何らかの形で数値化することはできるでしょう。

「記録」を活かすには条件を合わせる

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「記録」を取り始めた頃はおもしろいものではないかもしれません。しかし、数日でも同じ条件における達成度を記録していくと、意外なほど数字はそろうということに気づかされるはずです。
それが習慣というものです。
たとえば私自身の一日当たりに書くことのできる文字数は、かなり強めの平均回帰傾向があります。

連載記事などにおいてアクセス数がすべてではなく、ライターにとって文字数がすべてではありません。しかし、調子の波はありますし、調子を上げるように心がけていれば、徐々にいろいろな数値が「上向きに」なっていくのはよくわかります。

私はたとえば今、午前中に仕事の多くをなるべく上げられるように努めています。すると、早く起きて、早めに仕事に取りかかるしかなく、しかも疲れを持ち越さないようにするものです。

これを計るためには、午前中に書き上げた文字数を計測するのが何よりです。もちろん仕事の「質」というのは異なる軸であるにせよ、午前中にまったく文章を書かないような日をなくしていくことによって、成果は大きく向上します。

「記録」のために、普段の過ごし方も変わる

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このための様々な工夫もします。単に文字数を数えるだけではなく、早く起きて書斎に早めに入るだけでもなく、ふだんから記事で使うネタを多めに仕入れておいたりもします。時間がないときにはiPhoneからの音声入力でなるべく早く文書作成ができるようにもします。

さらにアウトライナーで文書の下書きを書くことで、あとで文章順を次々と入れ替えたりもするようにしています。

こうして「新記録」を目指すわけです。新記録を樹立するために、若干でも文書作成能力をレベルアップするように、意識せざるを得なくなります。ちょうどアスリートが0.1秒でも速く走るために、食べ物に気をつけたりストレッチを入念にやったりするのと同じと捉えられるかもしれません。

自分の仕事の「記録」をもっと誇ろう!

会社員とアスリートとを比較はできないと言われるかもしれません。
ですが、同じ専門のために膨大な時間を使って、それによって収入を得ているのですから、価値的な意味での違いなどないとも言えるわけです。

であれば、アスリートの記録には大きな価値があるように、すべての仕事の記録にも大きな価値があるのです。

■もっと習慣化する方法が知りたい方はこちらからどうぞ!

著者プロフィール

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■ささき・しょうご
心理学ジャーナリスト。「ライフハック」の第一人者。専門は認知心理学。1997年獨協大学を卒業後、ドコモサービスに入社。2001年米アヴィラ大学心理学科に留学。04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。05年帰国以来、「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求し続けている。
著書にベストセラーとなった『ビジネスハックス』『スピードハックス』などのハックシリーズ(日本実業出版)のほか、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)などがある。

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