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2019.04.29

「勉強が苦手な子」と「得意な子」の決定的な差|「寝たいときは寝る」ほうが非常に効率的だ

東洋経済オンライン

「勉強が得意な子」は何をやっているのか?(写真: cba/PIXTA)

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「勉強が得意な子」は何をやっているのか?(写真: cba/PIXTA)

「一生懸命塾に通って勉強しているのになかなか成績が上がらない」という子どもがいれば、「塾に通わずガリ勉でもないのになぜか成績がいい」という子どももいます。その違いは頭の良しあしではなく「勉強の仕方」にあるかもしれません。

39万部のヒットとなっている書籍『学びを結果に変える アウトプット大全』の著者で精神科医の樺沢紫苑氏が、「勉強上手」な子どもと「勉強下手」な子どもの違いについて解説します。

勉強しているはずなのに頭に入ってこない、記憶してもすぐに忘れてしまう。そんな人はもしかしたら「インプット」ばかりになっていて「アウトプット」が不足しているかもしれません。

インプットとは、脳の中に情報を入れる、つまり「入力」すること。アウトプットとは、脳の中に入ってきた情報を脳の中で処理し、外界に「出力」することです。 具体的にいうと「読む」「聞く」がインプットで、「話す」「書く」「行動する」がアウトプットです。

本を読むのはインプット。その感想を友人に話せばアウトプットになります。本の感想を文章に書くのもアウトプットですし、 本の内容をもとに実際に行動してみることもアウトプットです。

勉強でいうなら、教科書を読むのがインプット。問題集を解く、テストを受けるのがアウトプット。理解した内容を友人に説明する、教えるのもアウトプットです。

「最も理想的なのはインプット3:アウトプット7の割合」です。もしお子さんが、一生懸命勉強しているはずなのに成績が伸びないという場合は「アウトプット」メインの勉強法に変えてみましょう。具体的な方法をご紹介します。

「手作業」が記憶力を向上させる

「読む」というのはインプットです。ただ「読む」だけでは、 記憶に残りづらく、数カ月するとほとんど忘れてしまいます。その「読む」という行為を、一瞬でアウトプットに変える方法があります。それが「書き込み」をしながら読む、という方法です。

アンダーラインを引く。字を書く。いずれも手を動かし運動神経を使う「運動」ですから、アウトプットです。そして、文字を書くことで、脳幹網様体賦活系(RAS)活性化されて、「注意せよ」というサインが脳全体に送られ、脳が活性化するのです。

教科書や参考書を読むときはアンダーラインを引きながら読む、先生の話を聞くときはノートを取りながら聞くなど、とにかく手を動かすようにすると記憶力がアップします。

よく授業中に落書きをしている人がいます。彼らは一見授業に集中できていないように見えます。しかし、落書きについての興味深い研究があります。

プリマス大学(イギリス)で、40人の参加者に人と場所の名前を聞かせ、あとでそれを書き出してもらうという実験を行いました。実験の際、参加者の半数には紙に落書きをしながら聞いてもらいました。結果、「落書きをした」参加者は、「しなかった」参加者より 29%も多くの名前を思い出すことができたのです。なんと、落書きは記憶力を高めるという、驚きの結果となりました。

落書きをすると集中力が損なわれるように思いますが、実際は逆なのです。その理由として、落書きは感情を刺激するので、記憶に残りやすいと考えられています。記憶の法則のひとつに、「喜怒哀楽が刺激されると記憶が増強される」というものがあります。

「とても楽しい出来事」「とても悲しい出来事」は、10 年前のことでもよく覚えているはずです。落書きで、かわいらしいイラストを描いたり、ハートマークを描いたりすると、それだけで感情が刺激され、記憶が強化されるというわけです。落書きは決して悪いものではない。記憶力や創造力を高めるものなのです。

説明がうまい人は「記憶力がいい」理由

人に説明することは、アウトプット力を鍛える恰好のトレーニングになります。さらに、説明することによって、 圧倒的に記憶に残りやすくなります。

たとえば、三角形の面積の公式は「底辺× 高さ÷ 2」ですが、「なぜ底辺×高さ÷ 2 なのか説明してください」 といわれたら、小学生レベルの問題ですが、 意外と難しいですよね。

説明さえできれば、公式を忘れることはない(画像:『学びを結果に変える アウトプット大全』)

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説明さえできれば、公式を忘れることはない(画像:『学びを結果に変える アウトプット大全』)

「まず、三角形を含む長方形を書きます。三角形の頂点から垂直に線を下ろします。そうすると、左側と右側に面積の等しい三角形が2つあらわれました。だから、長方形の面積『底辺×高さ』を2で割ると三角形の面積になるのです」

このように説明できると、三角形の面積の公式は絶対に忘れないでしょう。

説明によって、「意味記憶」が「エピソード記憶」に変換されるので、圧倒的に記憶に残りやすくなります。「意味記憶」というのは、英単語「apple =りんご」の組み合わせのように、関連性の薄い組み合わせのこと。「エピソード記憶」というのは過去にあった出来事や体験、つまり物語、ストーリーとしての記憶です。「意味記憶」は覚えづらく忘れやすい、「エピソード記憶」は覚えやすく忘れにくいという特徴があります。

ロンドン大学の興味深い研究があります。あるものを暗記してもらう実験で、最初のグループには、「これが終わったあとにテストをしますので、暗記してください」と言います。もうひとつのグループには、「これが終わったあとに他の人に教えてもらいますので、ちゃんと記憶しておいてください」と言います。

同じ時間をかけて暗記してもらった結果、両方のグループに同じテストをしました。その結果、「教えてもらいます」と伝えたグループのほうが高い得点をとったのです。

人に教えることを前提に勉強するだけで、記憶力がアップして学びの効果が上がるということです。人に教えた経験がある人はわかると思いますが、しっかり理解していないと、人に教えることはできません。友人同士で協力し、自分の得意な分野を教えて、不得意な分野を教えてもらうなどするのはとても効果的です。

「運動」が集中力を高めてくれる

集中力を高めるおすすめの方法は「有酸素運動すること」です。30分以上の有酸素運動をすると集中力が高まります。なぜかというと運動することによってドーパミンやエンドルフィンという脳内物質が分泌されます。

ドーパミンはもともとは幸せな気持ちにさせる「幸福物資」ですが、学習効果を高める「学習物質」でもあることが実験などによって証明されています。ドーパミンが分泌されると集中力が高まり頭がよくなるということがいえます。

例えば休日だったら、午前中に勉強したら、一度運動の時間をとって再度勉強をすると、また朝起きたときのようなスッキリした頭で勉強に取り組むことができ、集中力が持続します。文武両道は勉強の成績アップにもつながるのです。

ただし、あまりにもハードな運動をしすぎると、猛烈にお腹が空いたり眠くなってしまい、逆に集中力が下がってしまいます。人によって適切な運動時間と運動強度が違います。自分に合った運動を取り入れましょう。

また、睡眠も極めて重要です。睡眠不足の状態では、集中力、注意力、記憶力、ワーキングメモリ(作業記憶)、学習能力、数学的能力など、ほとんどすべての脳の機能が低下することが明らかにされています。ちなみに、睡眠不足というのは6時間未満をさします。

寝ないで勉強するのは「非効率」

ある研究では、6時間以上の睡眠をとらないと、勉強した内容が記憶として定着しづらいことが明らかにされています。 睡眠不足(睡眠6時間未満)の状態で勉強をすることは、バスタブに栓をしないでお湯を入れるようなものです。何も積み上がらないし、記憶や経験として残らないし、当然、自己成長にもつながりません。


『学びを結果に変える アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

「睡眠不足」の状態は、ざっくりいえば、能力の半分も発揮できないようにリミッターをかけるようなものです。アウトプットをして自己成長するためには、7時間以上の睡眠は必須です。

もしお子さんが未就学児の場合は、読み聞かせするときに質問しながら読み聞かせをする、家族でお出かけしたら帰宅後に「何がよかった?」と感想を聞くなど、アウトプットの機会を普段から意識して取り入れてみましょう。アウトプットする習慣が、子どもの効率の良い学習を助けてくれるはずです。

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樺沢 紫苑:精神科医、作家

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