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2019.05.29

匂いの刺激でタバコへの誘惑を抑えられるか【KenCoM監修医・最新研究レビュー】

KenCoM監修医:石原藤樹先生

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禁煙を試みてもなかなか長続きしないのは、タバコの匂いに強い誘惑を感じてしまうからかもしれません。

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにKenCoM監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、KenCoM読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、2019年のJournal of Abnormal Psychology誌に掲載された、タバコの離脱症状に対するユニークな試みについての論文です。

▼石原先生のブログはこちら

禁煙が長続きしないのは、離脱症状が現れるから

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喫煙が多くの生活習慣の中でも、最も健康に悪影響を与える習慣であることは、医学に携わっていて否定する人はほぼいない事実です。

ただ、長年の喫煙者が禁煙をしてそれを続けることは、決して容易いことではありません。

一旦は禁煙に成功しても、それが長続きしないことが多いのは、タバコには強い離脱症状があって、タバコを止めることにより、それより以上に強いタバコへの渇望が生まれるからです。

現行の禁煙治療である、ニコチン補充療法にもバレニクリンのような飲み薬にも、その離脱症状を取り除くような力はありません。

現状は、強い精神力で個人が乗り越えるしかない、ということになるのです。

しかし、それで本当に良いのでしょうか?

医学者はこの離脱症状への有効な手立てを、提示する義務があるのではないでしょうか?

タバコの匂いを他の匂いにすり替えたら、離脱症状を抑えられるか?

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それでは、どのような方法があるでしょうか?

タバコには特有の匂いがあり、それはタバコを吸わない人にとっては不快な臭いですが、タバコを吸う人にとっては好ましい匂いであり、特に禁煙をしたばかりの人にとっては、非常に強い喫煙への誘惑となります。

つまり、タバコの匂いは、タバコの離脱症状の大きな構成要素です。

匂いを感じる嗅覚神経というのは、脳に直接的な刺激を与え、アルツハイマー型認知症では最初に障害されるという知見もあるように、認知機能にも大きな影響を与えている場所です。

それでは、タバコの臭いに対して、別の匂いをぶつけることで離脱症状を軽くすることが、出来るのではないでしょうか?

他の匂い刺激で喫煙願望を抑えることが可能

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この仮説を検証するために今回の研究では、1日10本から30本くらいのタバコを吸っている喫煙者に、しばらく喫煙を我慢してもらい、好ましいと思う匂いを選んでもらった上で、喫煙再開の誘惑を与え、その時に好ましい匂いの刺激を与えた場合と与えない場合とで、喫煙の誘惑への反応を比較しています。

その結果、好ましい匂い刺激により喫煙への渇望は低下し、93%の被験者は好ましい匂いの刺激を思い出すことで、自分の喫煙への欲望を抑えることが可能となりました。

好きな香りが禁煙の助けになるかも

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このように、ある種の匂いがタバコの離脱症状を和らげるという結果は、非常に興味深く、今後匂い刺激の有用性が、これまでのアロマテラピーなどの枠を超えて、議論されるようになるかも知れません。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36