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2019.04.29

本当はわからないけど、聞くに聞けない……を解消する方法【ココロノセンタク#10】

KenCoM公式:臨床心理士・小室愛枝

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こんにちは。臨床心理士の小室愛枝です。
春になり、街で新社会人のみなさんをたくさん見かけるようになりました。新卒、初めての就職、まだ仕事のことは何も知らない……そんな頃は、積極的に質問をするとやる気があると思われて、好印象だったりすることでしょう。
しかし、だんだん『本当はわからないけど、聞くに聞けない……』という場面がやってくるかもしれません。そんな時どうしたらいいのか、一緒に考えてみましょう。

聞きたいことをそのまま聞けないのはネガティブな反応を恐れているから

目の前に知っている人がいるのに聞けないジレンマ

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目の前に上司がいる。以前同じ仕事を担当していた先輩も近くにいる。聞いたら知っていそうな人、教えてくれそうな人はいる……でも、なんだか人に聞くのをためらってしまう。そんなこと、毎日の中にときどきあるのではないかと思います。

こんなこと聞くの恥ずかしいな。怒られたらやだな。こわいな。
こんなこと聞いたら仕事のデキないやつだと思われるかな……やだな。
聞きたいけどいつも忙しそうだし……こんなことで相手の時間をとってしまうのも申し訳ないな。

思いはいろいろあるかもしれません。『わからない、と言うのは恥ずかしい』というのは、大人だけでなく、子どもたちにもよくみられます。
わからない、と言ったときに、他者からポジティブな反応が返ってきた経験のある人は少ないかもしれません。むしろ、嫌な経験をしている人の方が多いと思います。それが、心に引っかかって、聞くのを邪魔しているのもあるでしょう。

聞く・聞かないのメリットとデメリットを書き出そう!

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さて、そのうえで、そのときわからないことを聞くことのメリット・デメリット、聞かないことのメリット・デメリットを整理してみましょう。正方形の真ん中に縦横の線を1本ずつ引いて、4マスある表を作るとわかりやすいと思います。

聞いたときにチクチク言葉を言われる、悲しくなる。それは聞くことのデメリットですね。

一方で、聞くことのメリットはいろいろあると思いますが、

・わからない内容がひとつわかると、そのあとの仕事がスムーズに進む
・聞けたことですっきりする
・勇気を出したことに自分にご褒美をあげる
・むしろわからないことがわかるようになり長期的に見ると賢くなる!
・成長する!
・ステップアップする!

など、考えていくと楽しそうです。

聞かないデメリットをみると、聞く気になることも

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逆に、聞かないことのメリットは、自分が聞こうとする相手から一時的でも怒られないですむこと、などが挙げられるでしょうか。

そして、聞かないことのデメリットをみてみると、

・仕事がわからないので相手先から怒られる
・途中でつまずくために予定通り進まなくなる
・仕事が遅いと思われる
・ずっとわからないままでいる

…などが思いつきますが、他にもあるかもしれません。

こう書き出してみるとわかることですが、聞かないことのデメリットは、並べてみるとけっこう避けたいことばかりですね……。聞いても聞かなくてもけっきょく誰かには怒られる可能性が浮かんできます。
それなら、相手先に怒られた上に何もわからないまま……というよりも、どうせ怒られるなら上司のほうに怒られておいて相手先とはスムーズに仕事をするほうを選ぼう、という気持ちになれるかもしれません。

聞けないとき聞くコツは枕詞を入れること

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ちなみに、上司や先輩に聞くときのコツですが、『今さらこんなことを聞いてすみません』『忙しいところ基本的なことをお尋ねしますが』など、ちょっとした枕詞を入れてみるとよさそうです。
それによって上司や先輩も、『あー簡単な質問がくるな』と予測ができ、突然簡単な質問をされるときよりも衝撃が少ないので、感情に任せて怒ることが減るかもしれません。

話しかける方としても、枕詞があった方が怒られたときの衝撃が少ないのではないでしょうか。
『そんなことも知らないのか?』『今まで何をやってきたんだ』等、いろいろとチクチク刺さる言葉を投げかけられるかもしれませんが、そうしたある程度現実的な予測を立てておく。それを最初に覚悟しておくことも大切です。
そうすると、チクチクの痛みは少し緩和されるかもしれません。まったく予期していないところからボールが飛んできてぶつかるより、ボール投げをしていて、ボールがこちらに投げられてくることがわかっているときのほうが、ぶつかったときの痛みが少なく感じられるのと似ていますね。

聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥を意識してみよう

あまりに有名なことわざですが、『聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥』これに尽きるのかもしれませんね。聞いてみたときのスッキリ感、この春からぜひ味わってみませんか。
たとえ相手の反応がよくなくても、自分で勇気を出して聞いてみたのですから、きっとまた一歩成長した自分に出会えるはずですよ。

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著者プロフィール

■小室愛枝(こむろ・よしえ) 
臨床心理士・特別支援教育士。早稲田大学で心理学を学んだのち渡米。ボストンで心理カウンセリングの修士号を取得後、帰国。医療・教育・福祉分野での勤務を経て、現在は大学の学生相談室、乳幼児の発達相談、小学校の巡回相談心理士、NPO法人らんふぁんぷらざ(発達に偏りを持つ子どもと家族のための支援機関)にて乳幼児から大人まで幅広い層の臨床を行っている。共訳著に『虐待・DV・トラウマにさらされた親子への支援――子どもー親心理療法――』(日本評論社)、『虐待・トラウマを受けた乳幼児の心理療法――発達と愛着の回復をめざして――』(日本評論社)がある。

(文/小室愛枝)

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